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HAIM / Days Are Gone (2013)

カリフォルニア出身、エスティ&ダニエル&アラナのハイム三姉妹によるロック・バンド、ハイムの輝かしいファースト・アルバム。

両親とのファミリー・バンド時代のレパートリーだった60〜70年代のクラシック・ロックや姉妹が青春時代に親しんできた90年代R&B、同時代性のあるモダン・ポップ感覚、ダニエルのジュリアン・カサブランカスのソロ・ツアーなどへの参加も含め、これまでの全ての音楽経験を参照した上で自分たちの音楽表現を確立している。

その音楽性をジェイムス・フォードやアリエル・レヒトシェイドら腕利きのプロデューサーとともにさらにモダンにブラッシュ・アップさせたことで、プリミティヴなロック・アルバムでありながら戦略的なポップ・アルバムに仕上がり、その鮮烈な印象と高い完成度でこの年最高の新人バンドの座を掴んだ。

ソングライティングにも音作りにも長けた音楽的才能の豊かさと、三姉妹のクールでキュートでどこかノスタルジック(かつクラシック)な佇まいによるアイコン性を土台に、キラー・チューンも内省的でダークなナンバーも織り交ぜ、幅の広さと奥行きを見せている。




ハイムは「ガールズ・バンド」の安易な枠を超えて、いちロック・バンドとして音楽性に優れていると思うし、このアルバムは2010年代においても屈指のデビュー・アルバムだったと思う。

シンクロした姿勢でサングラスをかけて芝生に置かれた椅子に座る、三者三様のファッションの三姉妹の姿が何とも象徴的な本作は、ロックのダイナミズムとスケール感、モダン・ポップの洗練と眩さ、豊かな将来性の全てを自然体のまま明確に内包した傑作で、個人的にはポピュラー・ミュージックの理想形だと思う。
ドライヴ・ミュージックとしても最適な1枚。

今日はこのアルバムと、録音してあった日曜サンデーを聴きながら、近所の住宅街の坂道を2時間ほどじっくりと徘徊してみました。
疲れた脚にウイスキー・ソーダとスプリッツァを注入し、日曜の昼下がりを過ごします。

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