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('84) Prefab Sprout / Swoon

稀代の名ソングライター、パディ・マクアルーン率いるプリファブ・スプラウトの1作目。当時はパディと弟のマーティンのマクアルーン兄弟+ウェンディ・スミスの3人体制。

時は1984年。”ネオ・アコ”/ギターポップ全盛の時代にデビューしたわけだが、パティによる転調を繰り返す複雑で難解なコード進行は独特のものであり、ポップで瑞々しいメロディ・ラインの中で異質な存在感を放っている。

パディとウェンディの混声ヴォーカルのハーモニーも一服の清涼剤のよう。演奏や音質に粗さこそあるが、最も洗練されたポップ・バンドとなる前の原石の輝き(またこの言葉を使っちまった)がある。


プリファブ・スプラウト。この洒脱で耽美な響きの名前を持つバンドは、気品とともに、どこか近寄りがたい雰囲気がある。メロディ自体は綺麗でポップなのに、何だか気高い。美しく複雑な音を繊細に神経質そうに紡いでいく、職人のイメージ。本作では熱い歌唱もあったり若々しさも感じられるが、それでも根幹は”頑固ポップ職人”(何それ)。こういう人好きです。こういう音も好きです。

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