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Wilco / Summerteeth (1999)

ウィルコが「オルタナ・カントリー」を完全に抜け出し、アメリカを代表する実力派にして知性派ロック・バンドへと進化していく契機となった3作目のアルバム。

カントリーをはじめとしたアメリカン・ルーツ音楽の香りは残しつつ、ビートルズ直系の普遍的なメロディの美学とプログレッシヴな実験精神との両立を図った飛躍の1枚。
サウンドは明確に強力に構築されているのに、不思議と全体的に浮遊感があるところは次作を予兆させる。

メイン・ソングライターのジェフ・トゥイーディを中心に、前作から加入したマルチ奏者のジェイ・ベネットとの共作も多く、各メンバーの才能の本格開花とバンドとしての成熟が音楽性の高さに直結した、とにかく捨て曲なしの充実作。
地元シカゴをタイトルに冠した"Via Chicago"はボブ・ディランの領域に手が届くようだし、シンプルな"My Darling"にはジョン・レノンの哀愁が宿る。

その後も傑作が続くウィルコにとって、「ポップ・アルバムとしての完成形」はこれなのかもしれない。



2日過ぎてしまったが、僕が敬愛する、いずれも8月25日生まれの偉大なるアーティスト、エルヴィス・コステロ、ジェフ・トゥイーディ、スチュワート・マードックそれぞれのバンド作品を取り上げたい。

まずはジェフ率いるウィルコの3rdから。1〜2作目から飛躍的に成長を遂げた本作は、来たる21世紀のアメリカン・ロックの在り方を予め示しているかのようで、そのメロディもサウンドも演奏もアレンジも多様性も(ジェフのシンガーとしての成長も含め)非の打ち所がなく(強いて言えば若干尺が長いかな)極めて優れたロック・アルバムだと思う。

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