6月下旬に国産NFTが歴史に残る変化を迎えた件について

NFTmeijinの今村です。様々なNFTの分析やコミュニティ運営を行なっています。第7回となる今回は国産NFTが歴史的な変化を迎えた件について解説します。特に

  • 6月から国産NFTの世界シェアが拡大し、グローバルの11%のシェアに到達した

  • 国産NFTのシェアが拡大している理由はいくつも考えられるが、数字で示せるような原因は不明

  • 今後NFT市場に大きな変化が生まれる可能性がある

について説明します

国産NFTの世界シェア率


まず4月時点での国産NFTの世界シェアはどの程度だったのでしょうか。SimilarwebによるとMetamaskのMAUベースでは日本のユーザーが世界に占める割合はたった0.7%だったようです。当然国産NFTのシェア率もそれに沿ったものとなっていると考えられます(similarwebを利用した分析は下記noteに記載しています)。

ここでは、より詳細な国産NFTの世界シェアを計算してみましょう。今回は、国産NFTの取引量として、 miinさん#NFTランキング を活用させていただき検証を行いました。具体的には、 #NFTランキング のデータを利用して、Openseaにおける週ごとの国産NFTのトップ1000の総取引額を計算しました。

これに対して、Duneで公開されているOpenseaにおける週あたり総取引額で割り算することで「国産NFTの割合」を計算しました。その結果がこちらの表です

  • 青数字:週あたりのOpensea上の国内NFT上位1000件の国産NFT売上額

  • 黄数字:週あたりのOpensea全体のNFT売上額

  • 赤数字:国産NFTの割合=(国産NFT週売上)/(全NFT週売上)

NFTランキングデータおよびDuneデータより計算した「国産NFTの割合」

これをみると、村上フラワーやGalverseの影響がない通常の週は、国産NFTはグローバルの1-1.8%程度のシェアを占めていることがわかります。これは、日本人は世界的には比較的裕福であることを考えると、MetamaskのMAUとも概ね整合的な数字です。

村上フラワーのようなビッグタイトルがリリースされると、グローバルに占める「国産NFTの割合」が大幅に上昇していることも可視化されています。6月に入ると「国産NFTの割合」は、徐々に上昇し、6/5から6/19の3週間の平均は2.1%となっています。

さらにNFTNYCが開催されていた6/26の週は「国産NFTの割合」が11.2%となり、ついに国産NFTがグローバルシェアで2桁%を突破するという偉業を成し遂げています。

なぜ国産NFTのシェアが拡大したか

では、国産NFTのシェアはなぜ拡大したのでしょうか。

これは国産NFT取引量が単純に増えた、というわけではありません。先ほどの表を見るとわかりますが、グローバルの取引量の減少よりも国産NFTの取引量減少の方がより緩やかだった、というのが正しい理解です(ただし6/26の特異な増加は除く)。

ではなぜ、国産NFTの取引量減少はより緩やかなのでしょうか

これについては明確な原因を数値で捉えることは難しいため、ここではあくまで考えられうる仮説について説明する程度に留めます(ファクトベースでこの原因を説明できる方がおられたらぜひお教えいただきたいです。また、Twitter Spaceでこの辺りを私と議論してくれる方も募集しています)。

以下、考えられうる仮説の一部

  • 言語のギャップのために海外の悲壮感が国内にそこまで伝わっていない

  • STEPN経由でNFT投資を始めた新規加入者が多く、新規参入者が市場を盛り上げている

  • 国産NFTはグローバルNFTと比べて、3ヶ月前後のトレンドの遅れがある

「国産NFTの割合」の増加が市場に与える影響

最後に、今回の「国産NFTの割合」が11.2%になったことで、市場にどのような影響を与えるか、について説明します。

大前提として、このトレンドが続くかどうかは不明です。もしも継続すると仮定した場合、国内のNFT市場はグローバルでも一定のプレセンスを見せることになります。

その場合、これまでNFTクリエイターに必須とされていた海外展開が必要ではなくなるかもしれません。なぜならば国内市場だけでも十分な市場規模が存在するからです。英語が苦手な方にとっては朗報と言えるでしょう

また、今後このトレンドが続かない場合であっても、グローバルにおいて(少なくとも一時的にでも)国産NFTが存在感を出すことができています。特に、海外勢が国産NFTに参入する障壁を下げることに成功したというのは非常に価値があります。具体的には、CNPなどでは海外勢が国産NFTに自主的に協力を申し出るなど、これまで見られなかった協力関係を構築することに成功しています。

まとめ

今回のポイントをまとめます

  • 6月から国産NFTの世界シェアが拡大し、グローバルの11%のシェアに到達した

  • 国産NFTのシェアが拡大している理由はいくつも考えられるが、数字で示せるような原因は不明

  • 今後NFT市場に大きな変化が生まれる可能性がある

謝辞

末尾になりますが、今回国産NFTのデータを利用可能な形で公開してくださっている miinさんには多大な感謝を申し上げます。また、グローバルデータについてはDune さんにも多大な感謝を申し上げます。

最後に

NFTmeijinは、NFTを通したブランド強化のための戦略立案や運営、マーケティングのご相談にものっています。
また、NFTに関する研修なども行っております。
どちらも無料で相談をお受けしておりますので、Twitter DMまたはNFTmeijinの問い合わせフォームよりご連絡ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?