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国内でNFTが盛り上がりをキープしている理由

NFTmeijinの今村です。様々なNFTの分析やコミュニティ運営を行なっています。第9回となる今回は「国内でNFTが盛り上がりをキープしている理由」について説明します。特に

  • 海外と国内とで、NFTを買う際に重視するポイントが大きく異なる

  • この違いの背景にある社会的構造

  • NFTの販売戦略を立てる際に意識すべき点

について解説します。

既にご存知の方も多いと思いますが、7月のNFT取引ボリュームは世界全体で過去最低を更新しました。また、8月は7月以上に取引ボリュームが小さくなる見込みとなっています

Openseaでの取引ボリューム(ETHベース)

一方で国内のNFTは、海外と比べ相対的に盛り上がった状態をキープしています。 実際に、海外ではほぼフリーミントが多いのに対し、私が関わった国内NFTであるMETA KAWAIIは0.06/0.08ETHという価格で完売しています。

では、海外と国内との間で、なぜこのような違いが発生しているのでしょうか。

これについて説明する前に、まず、海外と国内とで、NFTを購入する理由がどう違っているのか?という点を見てみましょう。

海外のNFT購入者がNFTを購入する理由

まず海外のNFT購入者について。 @Dexterlabdata のアンケートによると、海外の人がNFTを購入する理由の最大の理由は「お金を稼ぐため」です。 アートが好きだったり、コミュニティが好きだから買うという人は全体の2割以下に留まっています。

https://twitter.com/Dexterlabdata/status/1530143749992505345

もちろんこれはtwitter上のアンケートであるものの、回答は1300票を超えており、それなりに信憑性はありそうです

また、海外における別の調査でも、NFTを購入する最大の理由は「収益」であることがわかります。

「Non-Fungible Token Survey」より引用

以上を見る限り、海外勢は、NFTを主に投資対象と見ており、「収益性」を強く重視していることがわかります

国内のNFT購入者がNFTを購入する理由

次に、国内のNFT購入者についてみてみましょう。消費者庁のNFT動向に関するレポートによると、NFTを購入する理由は「コレクション」が59%となっており、次に「値上がり益」と「NFTを利用したサービスの利用」がそれぞれ47%となっています。

「第45回インターネット消費者取引連絡会」より引用

「コレクション」とは「コンテンツの収集を目的としての所有」という意味です。そのコンテンツ自体を好きだから買っているわけですね。 一方、「NFTを利用したサービスの利用」とは、「そのサービスを利用したいからNFTを買う」というユーティリティを重視した購入動機だといえます。

ここから、国内のNFT購入者は、「収益性」や「ユーティリティ」だけではなく、「そのコンテンツ自体を好きか?」という点を考慮に入れる人が多いことがわかります。

なお、かねりんさん のこちらのツイートは、国内勢と海外勢の違いを非常にうまく捉えています。海外からすると国内勢の「コンテンツが好きかどうか」は画像で遊んでいるだけに見えているのかもしれません。

話を戻すと、日本国内のNFT購入者は海外勢と異なり、「コンテンツ自体を好き」だから買う傾向が強いです。
なので、NFTの市況が多少冷え込んでも、収益性を重視する傾向が強い海外勢ほどには熱量が下がりにくいと考えられます。 では、なぜ日本国内のNFT購入者はそのような傾向があるのでしょうか。

なぜ日本国内ではNFTの熱が冷めづらいか

ここで、キャラクタービジネスの世界ランキングを見てみましょう。 驚くべきことに日本は、ランキングトップ25のうち10をたった1つの国で占めています。 日本は圧倒的にIP、つまりキャラクタービジネスの強い国と言えます。

https://storage.googleapis.com/titlemax-media/f02c60d2-25-highest-grossing-media-franchises-all-time-4.png

私自身もアメリカに5年半ほど住んでいましたが、アメリカでは「キャラクターというのは子供向けのもの」というイメージが強くあります。 一方、日本では生活のあらゆるところにキャラクターが入り込んでいます。

日本がキャラクター大国になった理由には多数の調査研究があります。 詳細は省きますが、最大の理由は「漫画、アニメ、ゲームなどの各分野で、優れたクリエイターが過去、素晴らしい作品を地道に創ってきた」というものです。 結果、キャラクターを愛する文化が日本社会に定着しました。

日本人のNFT購入傾向にも、上記のような日本の文化的・社会的土壌が大きく関わっていると私は考えています。

NFTは、キャラクターにまつわるものがとても多いです。 日本人は海外勢よりもNFTを一つのキャラクター、一つのコンテンツとして見る傾向が強くなったのだろうと私は考えています。 (私たちNFTmeijinはより詳細な分析もしていますが、ここでは割愛します)。

最後に、もし今回の仮説が正しいとすると、どのようなマーケティング戦略をとるのが望ましいのでしょうか。

上記で説明したように、国内NFTでは「収益性」や「ユーティリティ」よりも、「そのコンテンツ自体を好きかどうか」という点が重視されます。 そして、その理由は文化的なところから来ていると考えられます。 この仮説が正しいとすると、この状況が今後も簡単に変わることはなさそうです。

つまり、

  • 海外をターゲットにするのであれば、徹底的に「ユーティリティ」と「話題性」に拘り、「収益性の高さ」を追求すべき

  • 国内へのNFT展開を狙っているのであれば、「収益性」や「ユーティリティ」のみならず、「そのコンテンツ自体を好きになってもらうこと」を強く意識すべき

と言えます。

また今回提案している仮説を基に考えると、「なぜ国内NFTが、海外に比べて継続して盛り上がっているのか」という点についても説明できます。

その理由は、そのコンテンツ自体を好きかどうかという軸が大きいため、単に投資対象として儲かるかどうかだけが重視される海外よりも、飽きが来づらいからではないかと考えられます。

今回のポイントをまとめます

  • 海外の人はNFTを買う際、収益性やユーティリティを重視する傾向が強い。一方、国内の人は海外勢が重視する点も重視するが、何よりそのコンテンツ自体が好きかという点を重視する傾向がある。

  • この違いは、キャラクターに対する社会的受容度が高いことに起因していそう

  • NFTの販売戦略を立てる際は、この国内と海外との間にある差を認識し、適切に対処する必要がある

最後に

NFTmeijinは、NFTを通したブランド強化のための戦略立案や運営、マーケティングのご相談にものっています。
また、NFTに関する研修なども行っております。
どちらも無料で相談をお受けしておりますので、Twitter DMまたはNFTmeijinの問い合わせフォームよりご連絡ください。


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