なぜフリーミントや低価格NFTが増えているか

NFTmeijinのナオトです。様々なNFTを分析することを趣味として生活しています。第5回となる今回は特定のNFTではなく、NFTの価格について解説します。特に

  1. フリーミントや低価格NFTが増えている理由

  2. 今後もこの戦略は有効か

について解説します

TL;TR

  • フリーミントや低価格NFTが増えているのは、NFTが冬の時代(=Traded Volumeが極端に低い状態)を迎えているから

  • NFTのTraded Volumeが回復すればこの傾向はおそらく変わり、以前と同様に高価格のNFTも出てくるようになる

本当にフリーミントや低価格NFTは増えているのか

最近は、海外だとgoblintown.wtf(フリーミント:無料)、国内だとCryptoNinja Partners(0.001ETH)のようにフリーミントや低価格のNFTの人気が高まっているように感じます。

そもそも本当にフリーミントや低価格NFTは増えているのでしょうか?

まず下図のOpenseaのDaily Volume(1日当たり取引量(USDベース))を見ると、5/1に543millionのピークをつけた後(これはOthersideの売上と思われます)、5/8ごろから取引量が大幅に低下しています。ただし、これは単に総取引額なのでこれだけではフリーミントや低価格NFTが増えているかどうかはわかりません。

図1:Duneより引用

では次に、Openseaの1日当たり取引回数を見てみましょう。こちらを見ると5/12に32489トレードという底を打った後、取引回数は上昇傾向にあり、4月と同水準まで回復しつつあることがわかります。総取引額が低下しているにもかかわらず、取引回数の水準は同じなので一回あたりの取引額が減少しているだろうということがわかります。

図2:Duneより引用

これをわかりやすくプロットしたものがこちらです。1日当たりの1回の取引での平均金額を表しています。
これを見ると、5/1に一回あたりの平均取引金額は$6000=78万円のピークをつけた後、5/15以降急減しています。5/29には$175=2.2万円=0.1ETHと平均取引金額は大幅な低下をしています。このことから、取引されるNFTは低額なものが中心となっていることがわかります。つまり、フリーミントや低価格NFTが取引の中心になっているということです。

図3:Duneより引用

フリーミントや低価格NFTが増える理由

ではなぜフリーミントや低価格NFTが取引の中心になっているのでしょうか?

それはNFTが冬の時代(=Traded Volumeが極端に低い状態)を迎えているからだと考えられます。先ほどのDaily Volumeを再掲しますが、5/8ごろから取引額が大幅に低下しています。

図1再掲

ではNFTが冬の時代になるとどうなるのでしょうか。まずいわゆるブルーチップと呼ばれるNFTの価格を見てみましょう。

BAYC:150ETH -> 89ETH (40%減)
CryptoPunks:60ETH -> 45ETH (25%減)
Azuki:32ETH -> 10.4ETH (68%減)
Cool cats:10ETH -> 3ETH (70%減)
CyberKongz:40ETH -> 19ETH (52%減)

このようにありとあらゆるNFTが大幅に価格減少しています。ブルーチップは比較的値下がりしづらいとされていますが、そのようなブルーチップであってもここまで値下がりをしています。皆さんがお持ちのNFTも軒並み価格低下しているのではないでしょうか。このような環境下では何を買っても価格低下するため、ユーザーは一次流通で高額なNFTを購入することを控えるようになります。その結果、平均取引額が大きく減少していると思われます(図3)。

ではNFT運営側の目線に立つとどうでしょう。このような状況下では高額なNFTを販売してもそもそも購入されることがありません。そのため、販売戦略として1次流通は無料もしくは低価格でMintしてもらい、2次流通で稼ぐモデルが適しています。goblintown.wtfなどはまさにその代表的なビジネスモデルと言って良いでしょう。goblintown.wtfは記事執筆時点(6/1)で16500ETHのTraded volumeとなっており、すでに運営側は2億円ほどの収益を得ていると推測されます。

今後もフリーミントや低価格戦略は有効か

ではこのようなフリーミントや低価格戦略は今後も有効なのでしょうか。

結論からいうと、おそらく今後もこういった手法はとられる可能性は高いものの、NFTのTraded Volumeが復活した後は一次流通でそれなりの価格のNFTもMintされるようになると考えられます。そのため、冬の時代が過ぎた後はまた元のように低価格ではないNFTが購入されるようになるのではないかと考えられます。

購入者の観点でいっても、低価格NFTは儲けも少なくガス代が馬鹿になりません。そのため、今後もこのような状況が続けばPolygonやSolanaのようなガス代が低いチェーンに人気が集まるかもしれません。

ちなみに記事執筆時点(6/1)ではブルーチップの価格指標であるBlue Chip Indexが改善を見せており、NFTの冬の時代は終わりを迎えつつあるのかもしれません(もちろん今後下がる可能性も十分あり得ます)。

NFTGOより引用

まとめ

  • フリーミントや低価格NFTが増えているのは、NFTが冬の時代(=Traded Volumeが極端に低い状態)を迎えているから

  • NFTのTraded Volumeが回復すればこの傾向はおそらく変わり、以前と同様に高価格のNFTも出てくるようになる

最後に

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