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NFTiffに学ぶハイブランドNFT戦略

NFTmeijinの今村です。様々なNFTの分析やコミュニティ運営を行なっています。第8回となる今回はNFTiffに学ぶハイブランドNFT戦略について説明します。特に

  • ティファニーがなぜ高価格戦略をとったか

  • Crypto Punksとどのようにしてコラボを成立させたか

  • NFT事業者が、ハイブランド戦略を取るためにどうするべきか

について解説します。

NFTiffとは

先日、ティファニーがNFTiffというNFTを販売しました。
NFTiffは、1つ30ETHのNFTを250個発売して即完売となっています。
7500ETH(発売日のレートでおよそ17億円)を売り上げて話題になりました。
NFTが冬の時代にあると言われている最中、なぜこのような売上を立てることができたのでしょうか?

この質問に答える前にNFTiffが他とどう違うのかについてまとめておきましょう。
一般的なNFTプロジェクトでは、次のような戦略をとることが多いです。

  • 価格は安め

  • 10000個のジェネラティブNFTを一般向けに作成

  • Discordやツイッターなどを活用。giveawayマーケティングなどを行う

一方、NFTiffは次のような戦略を取りました。

  • 高価格(30ETH。発売当日のレートでおよそ700万円ほど) 

  • 250個のNFTをCryptoPunks所有者向けに作成 

  • 自前のコミュニティは作らず、CryptoPunksとのコラボマーケティングをした

NFTiffはなぜこのような戦略をとったのでしょうか

ティファニーがなぜ高価格戦略をとったか

まず重要なのが、250個という非常に少ない発行枚数です。
一般的なNFTプロジェクトでは、10000個くらい大量に発行することが多いです。 
発行枚数を絞ることにより、希少性を煽ることができ、FOMO的感情(FOMO:Fear of Missing out)を呼び起こすことができます。
加えて売れ残りのリスクを下げることもできます。

ただし、単に発行枚数を少なくするだけでは誰も買ってくれません。
ここで鍵になるのが、CryptoPunksというNFTとのコラボである点です。

CryptoPunksはNFTの世界を代表するブルーチップNFTです。 
本記事の執筆時点だと、最低でも1体あたり1000万円くらいのフロア価格です。
NFTiffは、このCryptoPunksのNFTを持っている人向けにNFTを発行しました(厳密にいうと、引換券であるNFTiffパスの販売になります。 少し複雑なので、今回はティファニーがNFTを発行したと理解しておいてもらえれば大丈夫です)

NFTiffは、CryptoPunks所持を前提としたNFTです。
 1000万円以上もするCryptoPunksを持っている人は富裕層であるため、最初から富裕層向けにターゲットを絞っていることを意味します。
「このような富裕層は、NFTiffのような30ETHもする高額NFTを買える可能性も高いだろう」と、 ティファニーのマーケティング担当者は考えたのだろうと推測できます。
なかなか秀逸なマーケティング戦略ですね。

CryptoPunksとどのようにしてコラボを成立させたか

では、ティファニーはどのようにして、CryptoPunksとコラボを行ったのでしょうか?
ティファニーくらい有名なブランドだと、CryptoPunksとコラボするのは容易だったのでは、と推測される方がいるかもしれません。
しかし、実際にはティファニーはCryptoPunksの運営元と公式にはコラボしているわけではありません(下記ツイートで直接関わりはないと明言しています)。
これはどういうことでしょうか

まず、CryptoPunksの知的財産権は、Yuga Labsという会社が所有しています。
Yuga Labs社は、BAYCを展開するNFTスタジオでもあります。
このYuga Labs社は、CryptoPunksのホルダーに対し、「CryptoPunksを商用に使っていいですよ」という商品化権を付与していました。

ティファニーはここに目をつけました。 どういうことかというと、ティファニーは今回のNFTを作るにあたって、CryptoPunksのホルダーと個別に契約を結んだのです。
ティファニーは、Yuga Labs社と契約したのではありません。あくまで、CryptoPunksのホルダーと契約を結びました

もう少し詳しく書くと、ティファニーは、CryptoPunksのホルダーの中で「NFTiffを買おう」と考えている人に対し、「私はティファニーに対し、私が所有するCryptoPunksを、ティファニーがペンダントとかNFTに使うことを許可します」という契約を結んでもらったのです。

これはつまり、Yuga Labsではなく、CryptoPunksの所有者が、ティファニーにペンダントを作っていいよと個別に許可を出したということです。

NFT事業者が、ハイブランド戦略を取るためにどうするべきか

上記の戦略は、これから高額ハイブランドNFTプロジェクトをやろうという人にとっても非常に役立ちそうです
例えば、今回のCryptoPunksのように、商品化権を付与されているブルーチップNFTに対し、ホルダー向けにそのNFTのグッズを自由に作ることが可能です。

また、ブルーチップNFTを持っているのは富裕層なので、高額のグッズも買ってくれる可能性が出てきます。
加えて、NFTという新しい領域の中でもブルーチップPJとコラボすることで、自分たちの製品の先進性やブランド力にとってもプラスになるでしょう。

もちろんNFTごとに権利関係の条件が異なるので確認は必要です。
また、ティファニー並の強力なブランドを持つ会社はほとんどないので、そっくり真似するのは難しいかもしれません。 ただし、ハイブランド戦略を取りたいNFT事業者にとっては、ブルーチップNFTプロジェクトとコラボすることで自社のブランド力を高めることができる可能性はあります

まとめ

今回のポイントをまとめます

  • ティファニーがなぜ高価格戦略をとったか

  • CryptoPunksが商標権を解放しているところを利用してコラボを成立させた

  • ハイブランド戦略を取るために商標権を解放しているブルーチップとコラボをするという手段がある

最後に

NFTmeijinは、NFTを通したブランド強化のための戦略立案や運営、マーケティングのご相談にものっています。
また、NFTに関する研修なども行っております。
どちらも無料で相談をお受けしておりますので、Twitter DMまたはNFTmeijinの問い合わせフォームよりご連絡ください。


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