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【ブロックチェーン比較】結局どのチェーンを使えばいいの?(後編)

前編のおさらい

前編では、チェーンの選定にあたって考えるべき要件を6つご紹介しました。今回この後編では、具体的にどのチェーンがどのような特徴を持っていて、どのようなプロジェクト(以下PJ)に向いているのかをご紹介します。

前編とデータ編はこちら

チェーンごとの特徴

それでは、チェーンごとにどのような特徴を持っているかをご説明します。今回は、Ethereum, Polygon, Aster, Solanaの4つに絞って説明していきます。既に公開済みの「データ編」では、これらを含めた17種類のチェーンについて比較していますので、そちらも併せてご覧ください。

Ethereum

イーサリアム

Ethereumはブランド力が特に強みで、NFT単体に大きな価値をつけたい場合は有名PJの多いイーサリアムを使うのがおすすめです。OpenSeaなどを見てみても、フロア価格が高いものや取引額が大きいものは、やはりEthereumチェーンのNFTが大半です。
しかし、Ethereumの最大の欠点として「ガス代が高い」「取引処理速度が遅い」があるため、大量のNFTを作成したい場合はこのチェーンは向いていない可能性が高いです。

Polygon

ポリゴン

Polygonはガス代が安く、NFTの大量生成に向いている上に、マーケットシェアも大きいため二次流通にも向いています。例えば、NFTをミントする際には4/30のある時点でEthereumだと約$12かかっていたのに対し、Polygonでは$0.5ほどで済んでいます(詳しくはデータ編を参照)。したがって、百枚・千枚単位でNFTを発行したい場合や、お試しでNFTを作ってみたい、という場合はPolygonを選択するのがおすすめです。

ASTAR

アスターネットワーク

Astarは、日本人である渡辺創太さんが開発を進めているチェーンで、日本国内の知名度はかなり高いです。ポテチNFTやJR九州NFT、羽田空港NFTなど、さまざまな国内のプロジェクトに関わっているチェーンです。Astarの特徴は、日本での知名度だけでなく、ガス代が安いことにもあります。それにより、不特定多数の人にNFTを配布する際にも使われることが多いです。
しかし一方で、Astarは海外での知名度はあまり高くなく、OpenSeaをはじめAstarチェーンを取り扱っていないマーケットプレイスも数多く存在しています。したがって、二次流通をさせたり、ブランド感を持たせるのは難しくなってくるでしょう。

Solana

ソラナ

Solanaは、取引スピードがかなり速くなったL1チェーンで、時価総額も7/25 14:00時点で9位と、大きな市場を形成しているチェーンです。NFTに関しても、Magic Edenというかなり大きなマーケットプレイスで扱われており、市場も大きいです。少し前までは、SolanaはEVM互換性がなく、DApp開発が他のEthereum系チェーン上での開発と違う方法を取らざるを得なくなっていたのですが、2023/7/18にEVM対応になり(CoinPost記事)、開発の幅がグッと広がりました。
欠点としては、Ethereumに比べると安いものの、PolygonやAstarと比べるとガス代が高い点や、ネットワークが時々止まってしまうトラブルが発生する点、ここ最近の価格のボラティリティが他の主要通貨に比べても比較的高い点などが挙げられます。


プロジェクト別のおすすめチェーン

これまでのチェーンごとの特徴を押さえた上で、いくつかのプロジェクト例についてみていきましょう。

販売益を主目的としたNFTアート

デジタルアートや音楽などの、NFTアートを作るためのコストが高い場合は、ブランド力やセキュリティを考えてEthereumを使うのがおすすめです。CryptoPunksやBAYC、Snoop Doggなど、様々なアート作品がEthereumチェーン上で発行されています。

ゲーム内アイテムとしてのNFT

ゲーム内アイテムをNFTとする場合、レアなアイテムはEthereum、ノーマルなアイテムはPolygonのように数量や価格別に使い分けをするのもアリでしょう。また、ゲーム内において高速な取引が必要な場合は、AvalancheチェーンやSolanaチェーンなどを用いることも可能です。

キャンペーンやプロモーションを目的とした配布用のNFT

多数のNFTを無料で配布するような場合はガス代が安く、主要なNFTマーケットプレイスでの取り扱いがある(つまり、NFTの情報を簡単に見られる)PolygonAstar Networkがおすすめです。特に日本においては、Astarチェーンを使った配布用NFTは数多く存在しています。

会員証や証明書、チケット、バッジなどユーティリティ付きのNFT

会員証や証明書、チケット、バッジなどのユーティリティ付きNFTでかつたくさん配布するような場合は、ガス代が安く主要なマーケットプレイスで取り扱いがありグローバルで使用されているPolygonがおすすめです。例えば大学の学修証明書、一時期話題となった岸田トークンなどはPolygonで作成されています。ただ、Not a Hotelという、全国各地にある大豪邸を分割して所有するための所有権としてのNFTのように、1NFTの価格が高価で、ブランド感をつけたい場合は先のアートのようにEthereumを使うのもありです。

簡易的なチェーン選定のYes/Noチャート

ここでは、簡易的なチェーン選定のYes/Noチャートをご紹介します。全てのPJで当てはまるわけではないですが、このような考え方でプロジェクトに使用するチェーンを選定すると良いと思います。
例えば、「ある日本のweb3関連イベントで来場してくれた人に来場記念NFTを配布したい」と考えている場合、まず日本向けなのでYesに進み、ブロックチェーン初心者がターゲットではないのでNo、2次流通も考えていないのでNoと進めば、このPJの場合はAstarやShidenなどといったチェーンを使うと良い、というように簡単な選定をすることができます。NFTプロジェクトに限らず、何かしらのブロックチェーンを使った事業をやりたい場合は是非ご参考にしてください。

チェーン選定のための簡易的なYes/Noチャート (Connectiv作成)

まとめ

前編、後編、データ編の3つからなる「ブロックチェーン比較」、いかがでしたでしょうか?

何千種類もあるチェーンの中から使うチェーンを1つに決めるには様々な観点から考えなければなりません。「市場が大きそうだから」「ガス代が安いから」など、なんとなくで決めてしまうと、後で響いてしまう可能性があるので注意が必要です。
自らのPJの要件をしっかり固めた上で、チェーン選定に移りましょう。

選定の際に今回の内容がお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました!


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