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【禅 ZEN】公案とは一般法則(ジェネララル・プリンシパル)


公案とは一般法則(ジェネララル・プリンシパル)


――「現成公案」を読み解いていくわけですが、
一般的に「公案」というと、ややこしい問いとか、
まったく意味不明なものが多いです。
 たとえば、「狗子仏性(くしぶつしょう)」
(犬にも仏性があるか)
「隻手(せきしゅ)の音声(おんじょう)」
(両手を打つと音が出るが、片手にはどんな音があるか)
「父母未生以前(ぶもみしょういぜん)」
(自分はもちろんのこと、父母もまだ生まれない前)
のような、何を伝えようとしているのかがわからない。
そのようなイメージです。この「現成公案」の「公案」
とはどういう意味でしょうか。


道元禅師のいう「現成公案」とは、
そうした意味不明な「公案」ではありません。
 まず「現成」とは、
「現前成就』という言葉を縮めた表現で、
隠れることなく、目の前にありありと現れている(もの)
という意味です。
そして、
「公案」とは、一般法則(ジェネラル・プリンシパル)
という意味で言っているんです。
客観的な事実、真理ということです。
たとえば、
「地球は自転している」
「公転している」
とか、そのような一般法則なんです。
 また、「凝縮した公式」ともいえます。
アインシュタインが「相対性原理」を表すと、
[=mc
(エネルギーは質量光速度の二乗の積に等しい)
という方程式になりますが、そのようなものです。
 つまり「現成公案」とは、
わたしたちの目の前に現れているものは、
そのまま真理を表している

ということを言っているのです。

――地球は自転していることが客観的な事実だとしても、
私たちには実感できません。
なにしろ味の回転速度というのは猛スピード。
時速にして約一七〇〇キロメートル。
公転速度も時速一一マンキロメートルといわれます。
私たちの体は地球上にいるのですから、
地球の動きと同様にものすごい速度で動いている。
でも、そんなことは、
事実として実感できることではありませんよね。


 私たちには、
事実として地球の自転も公転も実感はできません。
けれども、実感できないからと言っても、
厳然として事実としてある
道元禅師が言っているのは、
そういう意味での「公案」なんです。

こちらの内容は、

『スマナサーラ長老が道元禅師を読む』

発行所 株式会社佼成出版
著者 アルボムッレ・スマナサーラ
2024年4月30日 初版第1刷発行

を引用させて頂いています。


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