【習作】無題の裏取引

その売人は明滅する街灯の下、ベンチに腰掛けて俺を待っていた。
無個性な灰色のスウェット姿。俺は周囲に気配が無いことを確認し、ゆっくりと同じベンチに座る。売人は視線を落としたまま、独り言めいてモゴモゴと二言三言呟いた。問題はなさそうだ。俺は心中で安堵しながら、適切な合言葉を返した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?