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鍛刀塾コース新設

弟子と関わる中で、
また世の中の若い世代の人達を見渡してみて、
感じることがあります。
それは、徒弟制度は多くの場合、今の時代の若い人達の意識構造にあまり合っているとは言えないということです。
そもそも、徒弟制度と言っても、私が弟子入りして修行していた頃ですら、昭和の徒弟制度とはだいぶ変わってきていたと思います。
その昭和の徒弟制度もそれ以前から比べたら、まただいぶ違うものになっていることでしょう。
なので、細かい制度的な話は抜きにして、
弟子入りして修行する上での1番の要である
「技を見て盗む」即ち、
「やり方を事細かに教わるのではなく、自ら気付く力を養って、技を見て習得する」という点にテーマを絞って書いてみたいと思います。

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弟子入りして修行することは、ごくシンプルに言えば、この"自ら気付く力"を向上させるためにあるのだと感じています。
そしてこの自ら気付く力を向上させるためには、自ら気付く体験を繰り返すとともに、それをどんどん繊細な領域で為していくということに尽きるのだと思います。
技術的なことを、今は最低限説明はしますが、
それでも出来る限り自ら気付いてもらうために、あまり懇切丁寧に手取り足取り教えはしないのが通常の弟子入りしての修行です。
自ら気付く力が養われれば、様々な応用が効き、トラブルの解決や回避にも活かせるし、
新たな方向を模索する上でも不可欠な能力となります。

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冒頭の、徒弟制度が今の意識構造に合わないというのは、
この自ら気付く力を自分自身から進んで伸ばしていくというのが
なかなか難しいということです。
もちろん現代においてもそれが出来る人も少なからずいます。
が、しかし、教育制度の結果か、
はたまた時代のエネルギーや意識の流れなのか、
それが苦手な人が結構多いという印象があります。

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そこで、当道場に入門する場合の修行において、
この令和6年4月の新年度から
新たなコースを新設します。
従来の修行をする「修行コース」とは別に、
新たに新設するのは「鍛刀塾コース」です。
こちらの鍛刀塾コースでは、基本的な説明だけでなく、
刀剣の製作工程全般にわたり懇切丁寧に指導します。
従来の修行ではできる限り自ら気付く力を養うことを最重視していましたが、
鍛刀塾コースの場合それは少し傍に置いておき、
一通りの製作工程をマスターすることをまずは目指します。
そしてその後で、ゆっくりでも良いから自ら気付く力を向上させていきましょう。
という方針のコースです。

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この鍛刀塾コースですが、こちらはあくまで塾ですので、授業料を頂きます。
そうすることで、こちらも負担なく時間を割いて懇切丁寧に指導することができますし、
また弟子入りする側もプレッシャー少なく、
学ぶことに専念できると思います。
ただ、資金面で課題が生じる場合も多いと思うので、このコースではアルバイト可能とします。
従来の修行ではしっかり技術習得するために、出来得る限りの時間をかける必要があるので、アルバイト不可としていました。
でもこの鍛刀塾コースでは、懇切丁寧に指導する分、
技術習得自体は大幅に早まるため、
刀鍛冶としての仕事の休日にアルバイトをしても良いという方針です。

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というわけで、新年度から新たなコースを新設するわけですが、
コース選択は1年更新としようと思っています。
それは、修行コースを選んだものの、自分には鍛刀塾コースの方が向いているかなと途中で気付くこともあるでしょうし、
逆に鍛刀塾コースで始めたけれど、これなら修行コースでやりたいと思う人もいると思われるためです。
やってみて初めて分かることがほとんどです。

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と、ここまで書いてきて、そもそもの話ですが、
当道場では入門希望者を受け入れてはいますが、誰でもというわけではありません。
それは修行コースだけでなく、鍛刀塾コースでも同様です。
面談の上、双方合意した場合にのみ受け入れています。


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