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サスティナブル一家

こんにちは、ちんちんむしです。みなさん、当たり障ってますか?
私は元気です。

さて、今日は今私の中で人気急上昇中の「楽しいムーミン一家」の話をします。
見始めたきっかけは創作のためでした。今までは私の服のブランドで自分の絵のプリントものを出すために背景のない絵をたくさん描いていたのですが、絵本を作り始めるようになってからは、「背景を描かない」ではなく殆ど描く力がないことが自分の今一番の欠点だと気づき、ペン画で参考になる絵の本や資料を集めても物足りないと思い本以外でも探そうと、自然の多い可愛くてメルヘンな背景で、アニメではあり着色はあるものの背景の主体はペンの精密描写であり原作よりも広大な背景であることから、まずはムーミンのアニメを選びました。アニメを見ながらいい背景やいい画角やいいモチーフのところで停止し、スケッチブックに模写しています。そしてスケッチ以上にスナフキンを描いています。スナフキンってやっぱり大好き。

さて、背景のために見てるとは言え、私はかなり久々に「楽しいムーミン一家」を見ています。小5の時にテレビがなくなった以来でしょうか。私は殆どキッズステーションとカートゥーンネットワークを見て育ったので、小さい頃はほぼ毎日見てたのですが、あの頃は正直興味がそこまではありませんでした。パワーパフガールズとかポピーザぱフォーマーとか、カラフルでドギツいアニメの方が好きだったので、一見ほのぼのしたムーミンにはそこまで興味がなかったのです。ただパステルカラーのカバと友達が馴れ合ってるだけだと思っていました。
が、大人になってから見るとこんなに素晴らしいアニメなんですね。
本当は、何話がこういう話で素敵だ、ということを書きたかったのですが、それ以前のよさからお話しします(次回以降、各話のあらすじや感想を書きたいと思います。)。

まず、私が小さい頃流し見ていたイメージとの一番のギャップで一番好きな部分なのですが、「別にムーミン谷のみんながみんなとっても仲良くて思いやりがあって仲良しだというわけではない」ところがとても良いです。国外問わず絵本や子供向け文学作品、子供向けアニメを沢山見てきたと自負しているのですが、大抵みんなが仲良しで意地悪な発言は喧嘩する時くらいで、そっけない言葉はそもそもクールなキャラクターの演出、が多いと思います。ただ、「楽しいムーミン一家」は違います。ムーミンママがただひたすら誰にでも優しい聖母なだけで、普段の仲間内でも「みんな仲良し!」って感じではないんですね。普段優しく穏やかなキャラクターでも、「あいつはこういうやつだから隠しておきたい」とか、普段一緒にいるのにチクチクしたことを言ったりだとか、明らかな悪役ではないのにささやかに迷惑そうにしたりだとか、「みんながお互いに大好きなんだ!」の世界ではないのです。超現実なのです。ある種の私が大好きなシュルレアリスムなのです。
それぞれのキャラクターが自分の感情に正直です。普通に生きてて、会うことはあるし一緒にいることはあってもここが嫌い、まぁでも関わらないといけないから、またはもう友達なんだし嫌だけど許せるとか、今はいらないなとか、どんな存在の相手でも自分以外と関わる以上、絶対にある感情だと思います。そんな、別にみんなと常に仲良しでなくていい関係は私はとても落ち着きます。そんな雰囲気でずーっとムーミン谷のみんなは当たり障りなく関わっています。
これは、地上波で放送当時どのような層を狙ってたのかを分からないのが悔しいのですが、絵の雰囲気やキャラクターだけで「子供向けのほのぼのアニメだ」と判断していた私が馬鹿馬鹿しい。大人になってからの方が絶対に共感するのです。頭が良くて小難しい言葉を使うスナフキンが大好きだった私が、18年の時を経て言葉の意味がちゃんとわかった上でスナフキンが余計に大好きになったりもしました。

そして、もう一つ好きなところが、これだけみんなの正直な感情が飛び交う上で、優しい嘘が存在するところです。これも、超現実です。
ムーミンが恋人から重圧をかけてプレゼントされたハートの貝殻を訳あって手放したあと、1人で一生懸命同じ形の貝殻を探して、貝殻を手放してないと嘘を吐くシーンがあったりします。世の中は知らないですけど、私は本当に私に気づかせないでいてくれるのならそんな嘘も優しさだと思います。ただ、誤魔化す背景に相手を想う気持ちがどれだけあるかの話ですが。

こんな感じで、「楽しいムーミン一家」では、そこそこ正直に、そこそこの仲の良いそこそこの関係で、そこそこ優しい嘘をついて、そこそこな感じでなんだかつながって続いています。大抵全てのことがそうなのかなと思えてくるのです。自身を大切にしながら生きていくなら、そしてあらゆる関係を続けていくなら、「こういった関係ならこうしなければいけない」も別になくて、0と100、白か黒かの世界ではないのだなと思うのです。


早くちょうちょになりたい