この記事は「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のルールセットに対応した、アジトの拡張に関するファインメイド・ルールセットを収録するものです。
これらは厳密なゲームバランスを考慮して調整されてはおらず、幾つかのアイデアをデータの体裁に整えてみた程度の内容に留まっているため、実際にはプレイグループの参加者とよく相談してから運用するようにしてください。
なお収録されたデータやオブジェクトのアイデアには、以下の公式プラグインを参考に調整を加えたものが含まれています。
アジト模様替えのルール
このルールセットを導入することで、各プレイヤーキャラクターは余暇処理のタイミングで、自身が住居としているアジトの模様替えやリフォームを行うことができるようになる。
アジトの各オブジェクトは1マス単位で【万札】コストが定められており、新しく設置するたびに【万札】を支払う必要がある。一方で、オブジェクトの撤去や移動には特にコストは要求されない。この模様替え/リフォーム作業に余暇日数は消費しない。
ゼン・スコア
アジトには『ゼン・スコア』という評価基準が設けられる。これは配置したオブジェクトに応じて増減し、0点を基準にプラス方向に多ければ多いほど「生活感があり暮らしやすいアジト」とみなされ、逆にマイナス方向に少なければ少ないほど「実用的でエマージェントなアジト」とみなされる。
受けられる恩恵を確認するには、最終的な『ゼン・スコア』の合計値を以下の表に当てはめる。そこに記載されている効果を、アジトに所属するPC全員が個別に受け取ることができる。
◆ゼン・スコアに応じたボーナス
個別表記がない場合、スコアがプラスであればアジト外でのシナリオ時のみ、
マイナスであればアジト内での戦闘時のみ適用されるボーナスとして考える。
±0 効果なし。フラットな状態。
±5 緊急回避ダイス+1
±10 緊急回避ダイス+2
±15 緊急回避ダイス+3
±30 緊急回避ダイス+3、リチャージ・ポイント+1
±45 緊急回避ダイス+3、リチャージ・ポイント+1、精神力+1
±60 緊急回避ダイス+3、リチャージ・ポイント+1、精神力+1、体力+1
細則(接続配置)
本文中で「接続するように」や「接続配置された」という表現が使われることがある。「接続されているか否か」は以下の図に従って判断すると良い。
原則として、同じ種類のマスであれば、途切れないように配置されている1まとまりが「接続されている」と判断される。
オブジェクトの配置について
アジトのリフォームには、Google スプレッドシートで作成された、以下の専用テンプレートを使用することを推奨する。
リンクを開き、画面右上の「ファイル」▶「コピーを作成」と操作し、自身のGoogle ドライブへとコピーしてから編集すること。リンク先のファイルを直接編集することはできない。
専用テンプレートには、上記のような2種類の枠が用意されている。基本的な考え方として、左側はアジトで戦闘処理をおこなう際に使用するプレイ用マップであり、右側はオブジェクトの配置を指示する設計図/見取り図である。
アジトを作成するには、右側の「見取り図」へ「各種オブジェクトの略称」を上記の例のように記入する。
「略称」は2つのマップの下側にリストが用意されている。原則として、ここから「略称」を選択して「見取り図」へ記入する。
「見取り図」が編集されると、スクリプトが自動的に「アジトマップ」のセル背景を塗り分ける。似たような色が多く判別が難しいが、詳細が記入された「見取り図」と「アジトマップ」を交互に参照することで全容が把握できるという仕組みだ。
必要に応じて「アジトマップ」へ、キャラクターの配置などを書き込んでも構わない。セル背景色以外はスクリプトに上書きされることはないので、通常のマップと同様に使用できる。
壁系オブジェクト
これらのオブジェクトは、アジトそのものの外周枠や、内部の部屋の区切り目を表すために使用される。基本的に通過は不可能だが、一部は破壊してしまうこともできる。
壁【万札:1】
何の変哲もない通常の壁。
脆い壁【万札:0】
ショージ戸、あるいは薄く脆い低品質の壁。
ガラス窓【万札:1】
ガラス窓やガラス張りの壁などを設置する。屋内に開放感が生まれる一方で、敵の侵入経路・脱出経路ともなり得る。
扉系オブジェクト
空間同士を接続する開閉可能なオブジェクト。これらには物理的な錠が設けられており、アジトを所有するPCによって施錠の有無を決定できる。
施錠されている扉を通過したい場合、アジトの所有者はマスに隣接した状態で、「その他の行動」として1行動を消費して解錠する必要がある。敵がこれらを通過したい場合、さらに追加で判定を求められる。
扉【万札:2】
部屋と部屋、もしくは屋内と屋外を繋ぐ扉を設置する。2つ以上隣り合った状態で設置した場合、それは大扉やシャッターなどとみなされる。
セキュリティ扉【万札:5】
この扉は通常より頑丈に作られており、一般的な商業施設やサーバールームなどで用いられるレベルの錠が取り付けられている。
強化扉【万札:10】
機密会議室や重役室に用いられるような、極めて強固な扉。
装甲隔壁ドア【万札:15】
ランチャー砲の直撃にも耐えられるような、軍用レベルの強度を持つ扉。
装飾系オブジェクト
植物【万札:2】
ボンサイやバンブーなど、オーガニック/バイオ様々な植物を設置する。
低い家具【万札:2】
ローテーブルやソファ、ベッドなど、直立しているキャラクターの視線を遮らない程度の高さの家具を設置する。
高い家具【万札:2】
タンスや巨大マネキネコなど、直立しているキャラクターの視線を遮る程度の高さの家具を設置する。目隠し用のパーテーションなどもここに該当する。
家電製品【万札:3】
テレビや冷蔵庫、電子レンジなど便利な生活家電を設置する。
ポスター/掛け軸【万札:2】
壁にお気に入りのアーティストのポスターや掛け軸などを設置する。絵画や小さな芸術作品を飾るためのスペースが壁に設けられていると考えても良い。
警備系オブジェクト
侵入者に備えた監視装置や警備装置などのオブジェクト群。基本的には単体ではあまり役に立たず、複数種類を組み合わせることで本領を発揮する。
監視カメラ【万札:3】
天井に警備用の全方位監視カメラを設置する。
警報装置【万札:5】
緊急事態を知らせ、警備設備をアクティブ化する警報装置を設置する。
セキュリティ・タレット【万札:5】
天井に埋め込んだり、灯籠に偽装したりしたAI制御のマシンガン・タレットを設置する。
緊急閉鎖レバー【万札:5】
電子操作可能なロックや、警備用シャッターを一斉に降ろして密閉状態を作り出す。
モーターヤブ【万札:50】
十分に広いアジトであれば、戦闘兵器を警備用に配置することも可能である。オムラ製のモーターヤブ、その横流し品を設置する。
モータードクロ【万札:100】
オムラ製のモータードクロ、その横流し品を設置する。
電装系オブジェクト
各種オブジェクトに電気制御式の機構を取り付け、遠隔制御など高度な運用を可能とするオブジェクト。一方でハッキングターゲットになってしまうという弱点も併せ持つ。
電子ロック【万札:5】
扉に電子錠を取り付ける。ハッキングによる解錠が可能になると同時に、遠隔で施錠・解錠することも可能となる。
解錠パスワード【万札:1】
様式美として、ダンジョンの錠には解錠用の鍵が用意されているものである。
トラップ制御ユニット【万札:2】
管理用UNIXからの制御信号を受信する、有線・無線接続方式の制御モジュール。
配線【万札:2】
制御信号を伝えるための、専用の配線を壁などに埋め込む。
電脳系オブジェクト
電算室などに設置される、セキュリティ制御用のオブジェクト群。これらを設置することで、設置済みの警備オブジェクトを制御したり強化したりすることができる。
警備用UNIX【万札:5】
各種セキュリティを操作するための基幹UNIXを設置する。
ファイアウォール【万札:10】
ハッキング攻撃に備えた防護壁を増設する。
巡回マーカー【万札:1】
警備の巡回ポイントをマーカー指定する。これは物理的にチップなどが埋め込まれている場合もあれば、電子的な位置情報のみの場合もある。
巡回警備プログラム【万札:5】
クローンヤクザやオイランドロイドに巡回警備の指令を送り、その挙動を制御する。
トラップ系オブジェクト
侵入者を検知・撃退するための様々な非道オブジェクト群。ほとんどは別の何かに偽装されているか、巧妙に隠された状態で配置されている。
重量感知床【万札:2】
荷重を感知して制御信号を発信するシンプルな感知装置。
レーザーセンサー【万札:5】
肉眼では知覚不可能な赤外線センサーを設置する。
ガス・マネキネコ【万札:15】
様々なガスを噴霧する機構が組み込まれた、巨大なマネキネコを設置する。
キンタロアメ・レーザー【万札:25】
複数の殺人レーザーが照射され、侵入者をキンタロアメめいてバラバラに切断する非道トラップ。
トレジャーボックス【万札:1】
様式美として、ダンジョンには宝箱が用意されているものである。偽札の山など、侵入者の目を引くダミーとして配置することもできる。
トリイ・ギロチン【万札:30】
伝統的なトリイ・ゲートに擬態しているが、その下を未登録の人間が通過しようとするとギロチン式トラップが発動する。
隠蔽モジュール【万札:10】
各種トラップを巧妙に隠し、察知を困難にする。
警報モジュール【万札:10】
各種トラップのセキュリティを強化し、警報のトリガ機構を外付で増設する。
ミニオン系オブジェクト
アジトにはカネで雇った、あるいは買った労働力を配置することができる。
クローンヤクザ【万札:3】
旧型のクローンヤクザを警備として配置する。基本的には型落ち品を運用することになるため、キャンペイグンの進行状況に関わらず常にY-10型/11型のデータを使用すること。
◆クローンヤクザY-10型/11型 (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)
カラテ 1 体力 1
ニューロン 1 精神力 1
ワザマエ 3 脚力 2
ジツ – 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 1/3/1/1
◇装備や特記事項
チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1
オイランドロイド【万札:15】
標準的仕様のオイランドロイドを配置する。
◆オイランドロイド (種別:戦闘兵器)
カラテ 4 体力 6
ニューロン 4 精神力 –
ワザマエ 3 脚力 3
ジツ – 万札 3
攻撃/射撃/機先/電脳 4/3/4/6
◇装備や特記事項
ハンドガン: 銃器、連射1、ダメージ1
機械の体: 近接武器、ダメージ1
イタマエ【万札:10】
訓練されたイタマエ(あるいはイタマエの格好をしただけの一般人)を料理人としてアジトに配置する。
オイラン【万札:10】
訓練されたオイラン(あるいはオイランの格好をしただけの一般人)を娯楽用としてアジトに配置する。
ハッカー【万札:15】
模様替え系オブジェクト
これは1つの空間全体を専用の用途向けに「模様替え」してしまう、全体のテーマを決定するオブジェクトである。
空間に1マスでもこれを配置すると、空間が構成する部屋全体に効果が適用される。2マス以上配置しても効果はなく、また複数種類を配置した場合も効果を発揮しない。
ゼン・モジュール【万札:15】
枯山水や畳敷きのドージョーなど、その空間全体をゼンに満ちた格調高い空間に整える。
防音設備【万札:15】
その空間全体を防音室仕様に改装する。楽器演奏用途などのほか、筆舌に尽くしがたい残虐行為を行う際にもこれが必要になることがあるだろう。
サイバネ工房【万札:15】
テック武器やサイバネを自身でメンテナンス・管理するための空間を整える。
鏡の部屋【万札:35】
エンターテイメント用途か、防衛用途か、あるいは何らかのフェティシズムを満たすために、空間全体を鏡張りにする。
オプションルール
マスターはアジトの解像度をあげたり、その運用をより容易にするオプションとして以下のルールを任意で採用しても構わない。
祝い金
PCがニンジャ組織やメガコーポに所属するニンジャである場合、そうした組織や面倒見の良い上司は「祝い金」を支給してくれる可能性がある。
例えばソウカイヤであれば、ニュービーが与えられた事務所などに最低限の家具が揃えられるよう、ソニックブームなどがポケットマネーでこれを賄ってくれるケースも想定できる。
金額の目安としては、PCの現在のレベル帯における、1シナリオの報酬分の万札が基準になるだろう。マスターはこれを、アジトの模様替え/リフォームにのみ使用できる万札として支給すると良い。
アジトの維持費
作成したアジトをパチンコ店、カジノ店などシノギ系の拠点とする場合は特に、マスターはその維持費をプレイヤーに要求しても構わない。
目安としては、アジトに配置されているオブジェクトの総額の10%を「維持費」としてセッション終了毎に要求する。代わりに、マスターは「シノギ判定」を余暇消費なしに1回だけ使用可能など、ボーナスを与えてやると良い。
リフォーム費用を稼ぐ
通常セッションの万札報酬だけでは、現実問題このルールを用いたアジトのリフォームやメンテナンスは極めて困難だろう。マスターは以下のオプションを使って、プレイヤーがより自由にアジトの模様替えをおこなえるようにすることができる。
アジト・カタログ
ここには専用テンプレートで作成した、幾つかの間取りのサンプルが収録されている。テンプレートの仕様上、現状はあまり大きなマップは作成できないが、サンプルを参考にすれば、少なくともPC4人程度ならなんとか住まえるアジトが用意できるはずだ。
ヤクザの事務所
サンプルシナリオに見られるような、ヤクザオフィスをイメージした間取りのサンプル。右端を入り口として、広間、右側に電算室、宝物庫と繋がり、左端にはボスルームであるオヤブンの部屋が設けられている。
電子ロック扉を警備用UNIXに配置されたハッカーが監視しており、宝物庫には重量感知床と接続されたキンタロアメ・レーザーが待ち受けている。
カンオケ・ホテル
3x2マスに生活必需品を押し込んだ、激安のカンオケ・ホテルをイメージした間取りサンプル。ベッド、保管用チェスト、UNIX端末の3つだけが備えられている。UNIX端末はPCが自分で持ち込んだものだ。
PCによっては扉を強化したり、隣の部屋も借りて壁を壊す違法拡張に手を出したりするかもしれない。かろうじて、まだ拡張の余地はある。
安アパート
シルバーカラスが拠点にしていたような、1~2人程度は生活できる程度の安アパートをイメージした間取りサンプル。
外から入ると右手にはキッチンと、トイレに繋がる扉がある。突き当りは簡易的なドージョーとしても使える畳敷きのリビングルームで、左手の扉を抜けると風呂場と寝室がある。
テンプレートの高度な使い方
配布されているテンプレートは、スプレッドシートの操作に慣れたユーザーであればある程度自由にカスタマイズして使用することができる。
例えば「マップ凡例」に書かれた要素は自由に書き換えて、好みの「略称」や効果、コストに変更することができる。さらに「色」列のセル背景色を塗り替えれば、自動塗り分けの色も連動して変化する。
スクリプトはこの「マップ凡例」のテキストや、セル背景色を直接参照して塗り替え処理を行なっているためだ。
当然、リスト下部のスペースにオリジナルのオブジェクトを追記しても構わない。行の追加さえしなければスクリプトは正常に機能する。
同じスプレッドシート内で、複数のマップを管理したい場合、デフォルトの「アジト」シートをコピーしてから編集すること。
スクリプトは塗り替え処理実行の有無を判断する条件として、「A1」セルに「A」というテキストが格納されているかどうかをチェックしている。こうした処理との競合を避けるため、上記のコピー処理を前提に編集するのが望ましい。