掌編 「放課後」

放課後。
今日も運動靴が捨てられているかもしれないー
僕は靴箱に向かうのが嫌だった。
もしかしたら、そこに向かうまでの間に学年の嫌いな上位カーストのいじめっ子に会うかもしれない。
僕は、本を読んだ。
帰宅するまでの地獄を先延ばしにするために。
「何読んでんのよ」
彼女が話しかけてきた。
同じ小学校の彼女は、学年でも1,2を争うくらいに人気がある。
女子グループでも上位グループに居るが、何故か他の女子と違って、僕の陰口を聴こえるように言わないのだった。
「小説。ファンタジーの」
「面白いの」
「面白いよ」
「そうなんだ」
彼女は、興味無さそうに言った。

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