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パチスロ依存症の北電子時代・4/6

全国各地の警察から届く鑑定依頼は、証拠品であるソレノイド式体感器と
「鑑定依頼書」なる書類が、その一式であった

鑑定依頼書には、各都道府県の警察署の角印が捺されており
それはそれは仰々しいものである

容疑者の住所や氏名、年齢や、被害に遭ったホール名と被害額に加え
供述調書の写しが添付されているものもあった

その内容のひとつひとつまでを読み込んで、今でも覚えていられるほど
悠々と作業している時間など無いからこそ、私が派遣社員として
この業務に専業で充てられているわけで、早速実機を前に、その体感器の鑑定を
日がな一日、私が一時行なっていたのだ

体感器を使用することで、大当りの出現率は
その体感器の精度や、使い手の上手い下手にもよるのだが
最低でも4倍(設定6なら通常確率1/240に対して1/60で大当りが出現)
最高では7倍以上のものもあり、これに加えて、ブドウなどの小役出現率も
大幅にアップするのだから、一度タイミングを掴んでしまえば、もうヒラ(普通の打ち方)では
打つ気にならないだろうことは、私でも容易に想像できた

住居等侵入、窃盗、そして詐欺の3つの罪ではあるが
被害金額(あくまでその1軒のお店で抜いた分)は、せいぜい1万数千円程度ものが多く
これで本当に全部が全部起訴となるのかまで、私には解らない

その人の前科前歴が問題であったり、供述調書を読む限りでは
情状酌量、というのもありそうで、これはケースバイケース、かつ
私の与り知らぬ領域の話である

パチンコの業界は、すべて警察庁の取り仕切りであることから
このような鑑定依頼にも、メーカーは協力を要請され
そしてそれに応える必要があるのだろう

当然、現在のジャグラーなどは「当り」となる乱数の値の配置が
固まっていないよう、対策が施されていることは、お断りしておきたい

私が北電子で担っていた仕事は以上だが
それよりも、この時期に北電子に居られたことに、私は大きな
運命のようなものを感じる出来事があったわけだが
それはまた次回に

つづく

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