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<インタビュー>プロ人材の活用で企業の課題解決を目指す『スキイキ』とは

新しい働き方や、会社組織における新しい人材活用の方法について情報を発信している田代コンサルティングのnote『新しい働き方研究会議』。
今回は、人材関連サービス大手企業のマイナビさんが提供されている「スキイキ」の事業責任者・光川さんのインタビューをお届けします。
プロ人材の活用によって企業課題を解決するスキイキ事業をスタートされたきっかけや、サービスの内容、実際に活用して成功している企業の事例などをおうかがいしました。

■「今すぐお客様の力になるHRサービスを作りたい」そんな想いが、スキイキをはじめた理由

――本日はよろしくお願いいたします。最初に、光川さんがなぜスキイキの事業を始められたのか、その理由をおうかがいできますか。

光川さん(以下、敬称略):はい。もともと私はマイナビ入社後に新卒採用を支援する部署におり、営業やコンサルティングを担当していました。企業さんに喜んでいただけるやりがいのある仕事だと思っていましたが、新卒採用支援は会社の未来に対する投資のご支援です。自分たちがお手伝いしたことが、どのくらい花開いているのかをウォッチし続ける事が難しく感じていました。

その想いから、「今すぐお客様の力になるHRサービスを作りたい」と考えたのがきっかけです。新卒採用とは真逆の、「明日からできる人が手伝ってくれる」というサービスを提供しています。

――ありがとうございます。スキイキのサービス案内サイトを見た時に「大手クラウドソーシングサイトに似ているのでは」と感じる人もいるのではないかと思います。それらの事業とスキイキが特に違う特徴などをお伺いできますか。

光川:有名クラウドソーシングサービスは、10年ほど前から名前が出てきたかと思います。クラウドソーシングは社内で処理しない、できない仕事をクラウドの中に投げるような感覚でした。「一週間後にこの記事を納品してくださいね」などの短期的な仕事のイメージがある方も多いと思います。

一方で、スキイキがやるべきことは「スキル・経験がある人を仲間にできる」ことだと思っています。人を採用する、雇用することとニュアンスとして近いのではないかと思います。(もちろん雇用のサービスではありません)スキルや経験を持って課題解決ができる人(=プロ人材)を採用することで事業の加速やノウハウの社内蓄積に繋がるのはもちろんのこと、柔軟な組織体制の構築が可能となります。一般的なクラウドソーシングとの違いとして、我々の方が一緒に働く期間がかなり長期にわたります。たとえば、新規事業の立ち上げやウェブマーケティングの強化など、中長期的に付き合いが必要となるケースも少なくありません。そうした際に、スキイキでは期間を設定することなく目標達成に至るまで共に併走するだけの体制が整っています。

――クラウドソーシングはいわゆる外注ですよね。それとは考え方自体が全く違うということですね。

光川:そうですね。そのため我々は「外注」という言葉はできるだけ使わずに「パートナーを探す」や「プロとして働く」などの言い方をしています。スキイキではミドルからハイクラスの、なんらかの分野において複数の成功体験があり、再現性のある成功のロジックを持っている方が在籍しています。そのため、他のチームにポンと入っても少しキャッチアップすれば力を発揮できるのです。こうした点で、私たちが提供しているものは有名クラウドソーシングサービスとは異なると考えています。

――登録した人がどのようなスキルを持っているか、社内で確認することはあるのでしょうか?お客さんに提案するときに確認するのでしょうか。

光川:前提として、スキイキはプラットフォームビジネスであり、人材紹介ではありません。データベースの中からお客様が自由に採用していく形を取っています。サービスのご紹介時にはデータベースについて詳細まで説明させていただいております。また、スキルの担保に関しては社内でもたびたび議論に上がるのですが、登録スキルと実際のスキルを100%一致させることは難しいですね。対策は考えております。

職務経歴書や得意なスキル、働き方などを登録をいただいていますが、すべて自己申告です。その代わり、裏付けとして「こういう会社でこんなことをしていました」と登録していただいています。

■企業とプロ人材がスキイキを活用するメリット

――スキイキを利用する企業側と人材側のメリットについてお伺いできますか。

光川:まずは企業側のメリットですが、スキイキの導入によって外部のできる人を上手く巻き込むことが可能です。また、ただ巻き込むだけでなく、活躍してもらうための環境を構築するため、業務設計や報酬要件など、入り口の支援を徹底的におこなっています。

会員側に対しては、マッチングしたあとのズレが生じないようなコミュニケーションを心がけています。採用された後も活躍の機会を与えてもらっているか、その人の力を会社がきちんと活かせているかなど、併走してサポートを行っています。
  また稼働が始まった後も、当初想定とズレがないか・活躍できているかを企業と確認し、アドバイスも行っております。会員様がお持ちの能力・スキルが発揮できる環境の構築に貢献できるよう努力しています。

――スキルを持つ多くの登録者を選ぶのは基本的に企業側になりますが、その選定に対してアドバイスをされるのでしょうか?

光川:判断は企業様にしていただいていますが、求められる度合いに応じて、どのような軸で見ると良いか・要件に合う人はどの人か、といった助言をさせていただいています。

――採用してみたものの合わなかった、というケースが発生することもあると思いますが、そういった時に調整は行われるのでしょうか?

光川:いわゆる入れ替えというケースは、残念ながらゼロではありません。その際は成功報酬なしで対応させていただいているので、入れ替えには費用が発生しない仕組みになっています。

――企業側のメリットについて理解できました。人材側がスキイキを利用するメリットについてはいかがでしょうか?

光川:人材側のわかりやすいメリットの一つとして、中抜きがないことがあげられます。求人情報の条件が提示されていても、実際には3割から5割程度引かれるサービスも少なくありません。しかし、スキイキでは中抜きのないバランスが取れた報酬設計ができると考えているため、納得感があると思います。

私たちのサイトでは募集中の案件しか掲載しないため、情報の鮮度が常に保たれています。掲載企業に対するサポートにも力を入れており、一部の企業様には採用や応募者採用の代行も行っています。そのため、企業と応募者との間のやりとりがスムーズに行われることが応募者にとってのメリットであり、私たちの強みであるといえるでしょう。

――企業がプロ人材や副業人材をうまく活用している事例を教えていただけますか。

光川:人材を上手く活用している事例では、ある米国税理業務を行う企業様があげられます。本業として税務のサポートを行っており、そこでスキイキを活用していただいていました。しかし、そこにプラスで新規のプロジェクトを立ち上げる必要があり、そちらでもスキイキのプロ人材を活用することによってスムーズな体制作りが可能となりました。

【事例】3ヶ月で顧客管理の仕組みを構築!フルリモートでも活躍できる「プロ」の条件とは

「スキイキ!プロ活らぼ by マイナビ | 企業×外部人材の可能性を学ぶメディア」へ遷移します。

ー他にはありますか。

光川:入社につながった事例では、自社プロダクトを中心に開発するIT企業様が良い例だと思います。この企業様では、Co-work採用を活用していただきました。Co-work採用とは、副業として共に働いてから双方の意思を確認し、正式に正社員としてオファーする方法です。ミスマッチのないこうした採用手法は、今後さらに増えていくと思われます。

【事例】今まで出会えなかったマーケターをCo-work採用!即戦力として、新たな体制の起爆剤へ

「スキイキ!プロ活らぼ by マイナビ | 企業×外部人材の可能性を学ぶメディア」へ遷移します。

他には、総合商社の新規事業開発会社での事例があります。新規事業に関する知見やノウハウを補強する観点から、プロ人材を3名登用いただき、サポートさせていただいています。

【事例】代表以外は外部人材!? フレキシブルな体制で事業拡大を叶える人材活用と組織づくりの考え方

「スキイキ!プロ活らぼ by マイナビ | 企業×外部人材の可能性を学ぶメディア」へ遷移します。

■スキイキを活用できる企業とプロ人材の傾向

――スキイキをうまく活用できる会社の傾向などあればおうかがいできますか。

光川:スキイキの活用が成功する会社の傾向として、プロ人材を仲間として扱っていることがあげられます。遠慮しすぎず、現状の悩みや過去の成功・失敗事例などの情報開示を、適切に行っていることが重要です。

プロ人材であっても、社内情報がなければ業務が進まないので、スキルを活かせる情報を提供できることが大切です。極端な例として、前述のIT企業様のように、飲みに行くこともあります。ただし、飲み会が良いというわけではなく、お客様扱いを避けることがポイントです。社員とプロ人材は共通の目的を持ってチームを組んでいる仲間です。よい関係・距離感を作る努力は必要だと思います。これが成功の共通項だと考えます。

――逆にうまくいかない場合はありますか。

光川:プロであるがゆえに放置されるケースがあります。プロだから自己判断で進められるとはいえ、情報提供や連絡が不足し、人材側が進捗確認やミーティングを求めても「プロだから1人でできるでしょ」と対応されてしまうケースもあるようです。外注の業者さんなら「この仕事をしておいてください」でよいのかもしれませんが、チームの一員として考えると、そのような扱いは適切ではありません。

――そこが大きな違いなのですね。最初にお話いただいた通り、外注であってもチームの一員として社員と同等に扱われ、仕事を任せたり依頼できる体制が整っている場合に、うまくいくことが多いというイメージでしょうか。

光川:おっしゃるとおりです。

――プロ人材も仕事を任されることで責任感を持って仕事に取り組むことができ、パフォーマンスが発揮できるということですね。

光川:はい。企業側には「巻き込むことが大事」だとよくお伝えしています。

――ありがとうございます。最後の質問ですが、企業の成長に貢献できる副業人材やプロ人材はどのような人でしょうか。

光川:スキル的な部分では、専門性を持つプロ人材やミドルクラス以上の方々は、成功体験を言語化し体系化できることが重要だと考えています。成功の理由や環境、行った行動や生まれた結果などを理解し、体系化することで再現性が生まれます。それができる人は、異なる環境にも適応し、その分野の専門家として成功に寄与できるでしょう。若い人材であれば、そのような再現性を持てるように仕事をする必要があると考えています。

姿勢の部分では、お客様の課題を適切に捉え、課題解決意識を持てる人が重要です。プロ人材を極端に表現すると、野球チームの助っ人外国人のようなイメージです。企業から「ぜひ入ってください」と、力を持っている人が呼ばれるわけですが、お客様感覚や採用されている意識を持つと、遠慮が生まれてしまいます。自分が何のために呼ばれているのかを理解し、課題解決のために行動する人、自律して動ける人が求められます。お互い遠慮が一番良くないので、むしろ積極的すぎるぐらいでいいと思います。

■Co-workの仕組みを活かし、地方創生に繋げる

――スキイキ事業は地方創生にも活用されているようですが、その点についておうかがいできますか。

光川:1年ほど前から始めたCo-workの仕組みをうまく活かして、地方の関係人口構築に使っていただける例が出てきました。

たとえば、ふるさと納税で地方都市に関心を抱いたり、観光客として地域を訪れたりしても深い人間関係を築くことは難しいのが現状です。Co-workの仕組みを活用して地方の企業と一緒に働くことで、企業価値の向上に繋がるほか人間関係も築かれます。そうした経験を通じて、移住を決断したり、二拠点生活を始めたりする事例が増えてきています。

フリーランスのまま地方に移住し、オンライン上で仕事を獲得し続けることは現実的に考えてあまり安定感があるとはいえません。移住先に正社員や業務委託といった何らかの関係が用意されていて始めて、前向きに移住を検討するのではないでしょうか。

Co-work採用を活用することで企業も全国から採用ができるほか、応募者も安心できるといえるでしょう。その結果、自治体にとっても税収が増えるほか、産業活性、地域活性に繋がるチャンスが得
られるといった三方良し的な関係が構築されるのではないかと考えています。

――実際に移住した人はおられるのですか。

光川:はい。移住先には、鳥取県や福岡県などが挙げられ、関西から東京に転居した事例もあります。

――Co-workはやはりそのようなニーズがあると考えて始められたのですか。

光川:ニーズはあると考えていましたし、中途採用のあり方に関して考える機会が、この事業を通じて出てきたことも理由の一つです。中途で人材を採用できたところまでは良かったものの、実際には数ヶ月で退職してしまうケースがあるほか、期待していた人材ではなかったというフィードバックが返ってくることもあります。

そこで、いきなり正社員として採用するのではなく「まず一緒に働いてみる」というアプローチが良いのではないか、と考えるようになりました。お互いにできることが分かってから採用するという方法は、双方にとってリスクが少ないです。このようなアプローチが、地方創生とうまく連動できるのではないかと思います。

――今後は何か新しいサービスや、スキイキとして力を入れたいことはありますか。

光川:これまではスキイキ自体の成功体験やノウハウが十分になかったこともあり、一つひとつの採用を丁寧に支援してきました。もちろん、これからも個のマッチングへの丁寧な支援は続けますが、将来的には企業のチーム作りや組織編成により深く関わりたいと考えています。

たとえば企業内の各チームにおいて、発生した課題を自分たちで解決しきれないとき、課題が解決できる人をすぐに仲間にできれば、チームにとって非常に強みになります。
また、会社にすぐに課題解決に向かえるチームをたくさん抱えることは強い組織であることに繋がるでしょう。そのようなチームや企業を多く支援していくことが、私たちの目指すところです。
スキイキにはダイレクトリクルーティングのような仕組みもあるので、そちらもうまく活用していただければと思います。

――そうなると、必ずしも人事部を通して人材を採用する必要はなく、各チームが直接、スキイキを使って採用することもできますよね。そうすることで、人事部を通すよりも早く、プロの人材を採用できるのではないでしょうか。

光川:そうですね。事業現場からの直接の依頼は今でも多いです。今後は企業の人事施策として、タイムリーなプロ人材の活用を考えることが多くなると考えるため、事業現場と人事がうまく連携できることも支援していきます。機動力を保ちながら優秀な人材を仲間にできるスキーム構築の体制構築支援、といった具合ですかね。

――ありがとうございました。スキイキの登録数は企業側も人材側も増えているのでしょうか。

光川:登録数でいうと、2年間で企業側は600社を超えています。人材側は2万8000名を超えております。

――田代社長、光川さんのお話を聞いて、いかがですか。

田代:本日はありがとうございます。共感できる話ばかりでした。私は、18年前に大手海運会社を辞め、プロ人材として業務委託契約を中心に働いてきまし
た。お話しいただいたチーム内での働き方について、実際に社長を務めながらも1プレイヤーとして携わっているので、その働きやすさや成果を実感しています。また、ランサーズなどとの違いも理解できました。

現在、私は業務委託契約で働くことを世の中に広めることをミッションの一つとしており、セミナーの実施や、雑誌の記事を執筆しています。
また、地方創生に関する話にも非常に興味を持っており、昨年から半年以上調査を重ねています。そのため、地方創生に関連する話も今後一緒に取り組む分野があれば、非常におもしろいと感じています。今後も情報交換をしながら、お互いに協力していける関係を築きたいと思っておりますので、これをご縁にぜひお願いしたいと思います。

光川:こちらこそ、ぜひよろしくお願いします。

『スキイキ』
■サービス案内サイト:https://suki-iki.mynavi.jp/promo/enterprise/
■運営メディア(note)『スキイキ!プロ活らぼ by マイナビ』https://suki-lab-mynavi.jp/

光川尚輝氏 
株式会社マイナビ 独立推進事業室 スキルシェア事業統括部
統括部長
・2013年に同志社大学卒業後、マイナビ入社。関西にて新卒採用・育成における法人コンサルティングサービスに従事。フリーランス・副業人材を企業のチームに加え、事業課題を解決するサービス『スキイキ』を起案し、2020年10月にサービスをローンチ。
現事業責任者。