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クリティカル・レース・セオリー(CRT)と毛沢東の文化大革命

「クリティカル・レース・セオリー(CRT)」という言葉を聞いたことがあるだろうか?英語ではしょっちゅう出てくるので、どうやら人種差別に関する言葉らしいけど、一体なんだろう、なんでそれが今問題なんだろうと思っている人がいるかも知れない。

簡単に言ってしまうと、CRTとはこんな感じ:

人種主義は西洋文化の土台に組み込まれているもので(家族、教育、宗教)、抑圧者(白人)は抑圧される側(黒人など)に対して最初からアドバンテージがある。さらに、白人は白人であるだけで最初から人種差別を持っている、なぜなら自動的に現存の文化やシステムから恩恵を受けているから。解決方法は「反人種差別者」になることである。

考え方自体はそんなに新しいことではなく、私がアメリカで大学生をしていた20数年前にもこうやって教授から教わった。「自覚してなくても、もう人種差別されてる。」と言われ、白人の生徒は「自分で気づかないうちに差別している。」と教えられた。私は人種で差別された経験など特になかったのに、「そうか(怒)!」と周囲に敵対心を持ち、優しくされないと「差別された!」と思っていた。でも、英語もろくに喋れない日本人を根気よく相手にしたり、手取り足取り助けるほどの余裕のあるアメリカ人の学生はそんなにいなかったのが現実だと思う。

また「Affirmative Action」というのはアメリカでも30年ぐらい存在していて、もし同じ資格を持つ異人種の候補者がいたら、「抑圧されている人種が追いつけるように」マイノリティを積極的に雇用するシステム(概念?)がある。

昨年はジョージ・フロイトという黒人が警官によって殺害され(死因はドラッグの過剰摂取だと判明している)、それをきっかけにBLM(Black Lives Matter (黒人の命には価値があるの意))が台頭し、大統領選挙にも大きな影響を与えた。ちなみにBLMはマルクス主義の団体である。

今回のCRTの新しいところと言えば、「白人さを消す」という努力が「人種差別に対抗する行為」に加えられたことだろう。どんなことが白人っぽい態度なのか理解を深めることで、人種差別を根絶しようというわけだ。これが社内研修などにも積極的に取り入れられるようになっている。

今回、民主党州を中心に、このCRTが授業のカリキュラムの一環に加えられることになり、多くの保護者たちが「CRT自体が人種差別に他ならない」と声を上げている。

西さんは、中国からの移民だ。彼女は保護者懇談会で、「CRTは中国で起きた文化大革命と同じ」と警笛を鳴らした。西さんは、FOXニュースのショーン・ハニティの番組に出演した(6/11/2021)。

今アメリカで起きていることは文化大革命のリプレイです。あまりにも多くの類似点があります。同じイデオロギー、同じ手法、使う言葉まで同じで、目的も同じです。
イデオロギーは文化的マルクス主義です。私たちは「抑圧者(Oppressor)」と「抑圧される者(Oppressed)」の二つに分類されました。アメリカでは「人種」を使っています。中国では「階級」でした。ここでは、概念に異議を唱える者は「人種差別者」とレッテルを貼られます。中国では「反革命的」と言われました。こうレッテルを貼られたら、その人の人生は台無しにされたのです。
手法も非常に似ています。それは「キャンセル・カルチャー」です。文化大革命以前の中国の歴史は抹殺され、道路、学校、病院が「革命的」なものに改名されました。苗字でさえも変えたのです。私も「西」という帝国主義を仄めかす苗字だったので、当時は変えようと必死だったのですが、親が止めてくれたのでよかったです。
言葉だって同じです。「wokeness(意識高い系)」、中国では特に「階級のwokeness」という言葉が使われました。どれだけ「woke(意識が高いか)」かによって昇進や恩恵が決まりました。それを決めたのは共産党リーダー達です。

最後に一言視聴者の皆さんに伝えたいことはありますか?と聞かれると、西さんはこう締めくくった。

自由はとても壊れやすいものです。守らなければ失われてしまいます。
CRTは反人種差別ではなく、それ自体が人種差別です。
CRTは分断させ、破壊し、危険なものであることを知ってほしいです。


最後に:
1)CRT自体が人種差別
「白人に生まれただけで申し訳なく生きなければならない。黒人に生まれただけで被害者だと思わなければならない。」人種差別は確かに存在する。でもCRTの概念は、人をエンパワーしないどころか破壊的だ。

2)罠はいつもの「被害者意識」
「自分が可哀想」「被害者」とされることはあまりその人の役に立たない。逆境の中でも「それでも私は勝利できる!」「それでも変えられる!」と希望と決意を持つことで人は幸せを手にしていくことができる。被害者意識は人の力を削ぎ、現況に閉じ込めてしまう。

3)CRTによればキング牧師は「人種差別者」になっていた

キング牧師は、あの有名な演説「I have a dream」で、肌の色によって差別するのでなく、白人も黒人も関係なく、一緒になって手を繋ぐ世界を説いた。CRTは人の肌を考慮しないこと自体が差別だと謳っているので、キング牧師も人種差別者になってしまう。

「どういう人か」、人柄、人格を尊重することが、人として相手を尊重することなのでは? そうすれば社会も成熟していくのではと思う。

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