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【ニュートラの学校レポート】11/13「A4デザイナーのかかわり」

「ニュートラの学校」は、4年目となったNEW TRADITIONALのとりくみが次の段階に向かうべくはじめたプログラムです。"福祉"と"伝統のものづくり"を結びつける。ここに関われる可能性のある人の数をもっと広げ、そんな人どうしが学び合える場をつくりたいと願っています。

今年度は2コースを設け、様々な観点から"福祉"と"伝統のものづくり"について考えました。

プログラムA「福祉の課題から考える」コース(A1〜A5)
何を変えることで、福祉のものづくりはもっとよくなるのでしょうか。プログラムAでは福祉現場の課題にしっかりと向き合い、新しい可能性をひらいてきた実践者とものづくりの価値を高める方法を学びます。

プログラムB「これからの伝統を考える」コース(B1〜B5)
生活に必要とされる伝統工芸やものづくりは何か。作り手や使い手、環境、素材、持続性など、さまざまな視点からこれからの伝統やものづくりのあり方や暮らしについて考えます。

アーカイブ映像の販売もありますので、下記URLよりご確認ください!
https://tanpoponoye.stores.jp/
※5月末までの視聴となりますので、ご注意ください。

こちらのnoteでは各回のレポートを、たんぽぽの家プロジェクトスタッフの木村よりお伝えさせていただきます!

「デザイナーのかかわり」

A4 デザイナーのかかわり
福祉施設にデザイナーがかかわることで、新たな展開が可能になることがあります。愛知県の常滑焼、鳥取県の因州和紙など、産地での伝統のものづくりと福祉施設をつなぐお二人から福祉施設の何をいかし、どのように取り組んできたかをお聞きします。福祉施設の人、材料、道具、資金、工程、仕組みなどをひもとき、それぞれをいかしあうものづくりを考えます。

11月13日(日)のニュートラの学校、ゲストは高橋孝治(デザイナー)、川﨑富美(デザイナー)。かつて同僚だったというお二人に、福祉とデザインの関わりをテーマにお話を伺いました。


福祉との出会い

まず川崎さんのお話を伺いました。
川崎さんは、プロダクトデザイナーとして、鳥取県を中心に活動されています。伝統工芸やディスプレイのデザインをされてされており、「まちのデザイン屋さん」のつもりで動いているとも仰っていました。プロダクトだけでなく、撮影やワークショップなど副次的な観点からデザインの提案ができるという強みを感じました。

鳥取にUターンする前、「デザインの力が行き届いていない業界のために働けたらいいよね」という話をデザイナー仲間の方々をしていたとか。鳥取にUターン後、「福祉をかえるアート化セミナーin鳥取」に参加し、福祉関係者との繋がりが生まれたそうです。

'失敗OK’のからふるてぬぐい

その後アートスペースからふるさんと出会い、「からふるてぬぐい」の開発を行ったそうです。からふるさんは「アートを仕事に」を掲げている就労継続支援B型事業所です。

「アートを仕事にして、周りの人も幸せになるのでは」という話から、量産ができ繰り返し作業ができるもの、かつ「失敗」の概念がないような製品をつくることにしたそうです。

メンバーさんが書いた絵を板にし、シルクスクリーンで色をつける。インクの色は重なってもきれいに見えるように選んだそうです。
また、メンバーさんがより自由に色付けをできるように、既成の布ではなく10mの長い一旦の布で製作。これによって購入するお客さんが自ら切断するというプロダクトになったそうです。
つくり手にとっても買い手にとってもわくわくするような楽しいプロダクトだと感じました。

ニュートラの学校では昨年度「和紙という銀河から、届く光 NEW TRADITIONAL展 in鳥取」でご一緒させていただいており、最近では地域での福祉のアートイベントにも携わられているそうです。

福祉分野での活動の先に、東京にある鳥取のアンテナショップから「伝統工芸品」としての出品依頼があったというお話もあり、とても素晴らしいなあと刺激になりました。


つくり手ありきのものづくり

続いて、高橋さんからもお話をいただきました。
現在は愛知県の常滑市を中心に活動している高橋さんですが、もともとはメーカーでのプロダクトデザインを行っていたそうです。しかし、「機能」的なデザインは得意であったものの、毎晩遅くまで工房にいることで「生活をデザインするのに、’生活’していない」と感じるようになったそうです。
そこで、メーカーで一般的な「消費者にどう届けるか」のものづくりではなく「何をつくりたいか」に焦点を当てたものづくりがしたいと考え、素材からつくることに着目をしたそうです。

「旅する、千年、六古窯」のプロジェクトでは、現地に何度も足を運びながら歴史ある焼き物の魅力を発信してます。

六古窯日本遺産活用協議会(愛知県常滑市、瀬戸市、岡山県備前市、兵庫県篠山市、滋賀県甲賀市、福井県越前町)では、日本六古窯の魅力を紹介するWebサイトを公開しました。「公式映像」のほか、「各古窯の概要」、「各市町のイベント情報」などを掲載中です。このサイトを見れば、各古窯が千年に渡り、技術や文化を育んできた歴史を知ることができます。
今後も、各古窯を深堀りした歴史や、チラシなどのダウンロードページを公開していきます。ぜひご覧ください。
https://sixancientkilns.jp/


福祉と伝統

福祉分野での活動で代表的なのもののご紹介もしていただきました。
一つ目は常滑市の就労支援施設の「ワークセンターかじま」。

コロナ禍にお庭を模様替えしようと地面を掘ったところ、なんと粘土がでてきたそうです。そこから土を染料にした製品の開発も行いました。ニュートラでも焼き物や原料処理の体験を追体験できるワークショップを開催していただき、「土の気持ちよさ」を体感できる時間を楽しみました。


二つ目は「さふらん生活園」。

もともとアート活動にも力入れており、織物でマットもつくっていたそうですが、より魅力的にできないかを考えることになったそうです。
ウールの織物の生産地という地域特性を活かし、地元の工場の端材を使いオリジナルのマットをつくることにしたそうです。ぴったりくっつけずに販売したり、荒物店として路上でも販売をしたり、店舗でポップアップショップを開催したりと、かなりの反響があるそうです。

福祉の視点で見えてきたこと、伝統として見えてきたこともなども共有してくださったので、気になる方はぜひアーカイブをご覧ください!
印象に残っているのは、「福祉の場が地域の技術の伝承になる得る」というお話。効率性とは離れた軸でものづくりを行っているからこそ、時間をかけた手仕事になっているのではないか、という観点は、私にとっても気付きになりました。

デザイナーにできること

クロストークでは、「生きる」の根源にも触れながら、デザイナーの関わり方やその可能性についての議論になりました。「体を持った動物としての基準で考え’気持ちいいと感じること’をする」「感覚を大切にした仕事」「泥臭い表現」など、心に響く言葉も多数ありました。
会場では参加者さんひとりひとりの自己紹介や活動紹介も含めて、和やかな雰囲気でやりとりができました。あっという間に時間が過ぎていきました。

ニュートラの学校について

最後までお読みいただきありがとうございました。ニュートラの学校で得た気付きや問いは、すぐに活かせるものもあればじっくりと効いてくるものもあるかと思います。
今後もこちらのnoteにて各回レポートは発信していきますが、ぜひアーカイブもご覧いただきご自身の学びに繋げていただければと思います!

▼今回レポートした回のアーカイブはこちら
https://tanpoponoye.stores.jp/items/637a0b725988dc72c6074ad8

▼NEW TRADITIONAL ウェブサイト
https://newtraditional.jp/


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