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[レポート] ニュートラの学校 ラーニングプログラム(3/3〔日〕):綿繰り機と糸車をつかって河内木綿をつむごう!

2024年3月3日㈰、⼤東市⽴歴史とスポーツふれあいセンターにて、ニュートラの学校 ラーニングプログラム「綿繰り機と糸車をつかって河内木綿をつむごう!」を行いました。この日は、朝の気温が氷点下で、一度片づけた冬服を再び取り出して身につけられた方も多かったのではないでしょうか。

本レポートでは、そのような寒さや暑さから人間を守ってきたコットン、河内木綿を使ったワークショップの様子をお伝えします。

ファシリテーターは、大東市立歴史民俗資料館で2014年から勤務されている学芸員の森井綾乃さん。大学で「染織」を学んだ経験を活かし、地域の歴史と関わりの深い「河内木綿」に関する教育普及活動を担当されています。
今回は、大東市立歴史民俗資料館のご協力のもと、古くから河内地方の特産物であった河内木綿を素材に、綿繰り機と糸車をつかって、ワタの実から種と繊維を取り分け、糸につむいでいくワークショップに挑戦しました。



ワークショップでは最初に、なぜ河内地域でワタが盛んに栽培されるようになったのか、河内の歴史も交えてわかりやすく解説していただきました。

● 河内木綿について(大東市立歴史民俗資料館 森井綾乃さん)

大和川流域は上流からたくさん土砂が流れて川底が高くなり、梅雨や台風になると川が氾濫して大きな水害がたびたび起こっていました。
そこで川の付け替え工事を行い、元の土地は埋め立てられました。
その土地は砂地のため保水力が弱く稲作などには不向きだったため、干ばつに強いワタが盛んに栽培された、ということでした。

お話の後半には、参加者お一人ずつに種つきの綿花が配られました。実際にふわふわの綿花を手の上に乗せられると、その柔らかさ・軽さに、驚きの声が上がりました。そして、綿花から種だけを取り出す難しさと、そのための道具があることを教えていただきました。

河内木綿についての説明

● 綿繰り機、糸車をもちいた手つむぎコットンワークショップ

さて、いよいよ道具を触って実践ワークショップに移ります。
こちらは講師の森井綾乃さんのほか、館長の森田拓馬さん、ボランティアの3名の方がサポートに入ってくださいました。
最初に道具を扱うときの注意点をお聞きし、その後は4つのグループに分かれて、綿繰り機、糸車を使った糸つむぎを行いました。また、後半には繊維をほぐす「弓」を用いて、ほぐした綿花のつむぎやすさを体験しました。

「弓」を用いて綿をほぐす
「綿繰り機」で種と綿を分ける


● 参加者のみなさんの様子

今回のワークショップは、地元大東市をはじめ大阪府内の方々を中心に、他にも奈良から2名、京都から1名と、あわせて10組17名が参加されました。イベントに興味を持っていただいた地域の方、福祉施設の方、お母さんとお子さん、さらには視覚障がいのある方も参加されていました。年代も幅広く、特に女性の参加が目立ちました。
開始直後はみなさん森井さんのお話に聞き入ったり静かに過ごしていましたが、ワークショップが始まると、初対面の人とも声を掛け合い助け合いながら、綿繰り機と糸車を使った糸つむぎに挑戦されていました。

糸車を使った糸つむぎは1人ずつ教えてもらうため、周囲の人はその様子をじっと眺めています。一度お手本に森井さんのつむぐ様子を見せていただきました。スマートに、スムーズに糸をつむいでいかれます。そしていざ自分の番になると、スマートに・・・スムーズに・・・つむげません。糸が太くなったり、途中で切れてしまったり、手とり足とり教えてもらっていても、なかなか綺麗な一本の糸になりません。糸車を回すはやさ、手と糸の角度、綿をにぎる強さなど、複合的な要因がちょうどよく重なり合って初めて1本の細くて強い糸が出来上がります。
改めて、身近にあるコットンだけどこんなに大変だとは、と誰もが思われたことと思います。

「糸車」での糸つむぎ

ひととおり糸つむぎを体験して場に馴染んでくると、ワークショップの後半はそれぞれ道具の写真を撮ったり、仕組みについて話したり、再度糸つむぎに挑戦したりと、自由にやりたいことに取り組んでいる姿が印象的でした。視覚に障がいがある方も、サポートを受けながら手で糸に触れ、道具に触れ、興味深く参加されているようでした。

つむいだ糸と種つきの綿花はお土産に持って帰ることができました。
それぞれの場所で、ご家庭で、この日の体験を語り合ったり、種を育てることから挑戦したり、さらに深く河内木綿や糸つむぎ、民具などに関わってくれる人が増えるといいな、と思いました。

ふりかえりの内容については便をあらためてレポートします。

レポート:藤岡夕子(Good Job!センター香芝)
写真:衣笠名津美

木綿のお土産


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