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[レポート]瀬川信太郎さん(山響屋)スペシャルトーク

日時 3月6日[土] 11:00~12:00
場所 Good Job! センター香芝
ゲスト 瀬川信太郎(山響屋)
進行 森下静香(GJ!センター香芝 センター長)
▷ 記録動画視聴URL(YouTube)

瀬川信太郎さんは、郷土玩具や民藝品のお店「山響屋(やまびこや)」を福岡市にて営まれています。2020年に出版した『郷土玩具ざんまい』(淡交社)では 国内各地の郷土玩具をつくり手やその背景などとともに楽しく伝えています。

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山響屋(やまびこや)は2015年4月福岡市・今泉にオープンしました。日本全国各地の作り手さんの元を訪ね集めてきた約400種の郷土玩具を販売しており、店内には個性豊かな玩具たちが所狭しと並んでいます。定期的に企画展やワークショップを開催し、ふだん郷土玩具を目にすることがないような方達にも興味を持ってもらい、実際に触れて身近に感じてもらえるような活動をしています。

この日は、会場には5名のお客様に座っていただき、瀬川さんのお話を伺いました。同時にYouTube Live にて生配信を行いました。

あたらしい郷土玩具

郷土玩具は由来がはっきりしているも、していないものがあります。資料のないものも多く、祈りのためだったり、今の時代でいういわゆる"作家モノ"みたいな作品だったり、生まれたきっかけはいろいろだろうと思います。外見だけでなく、作り方、土地らしさ、時代らしさといった要素が含まれたまま続いたものが「郷土玩具」になっていくのかな、と僕は感じています。

実際に今日本で郷土玩具を作っている人たちは、十数代続く職人もいれば、保存会の活動として製造されているもの、趣味が高じてつくりはじめた工房が2代目になったり、さまざまです。つくり手の数は増えているように思います。

僕がはじめて買った郷土玩具は、大阪江口土人形のものです。福助なのに招き猫でもある。偶然これを目にして、すごい縁起のいいものがあるぞ、と気持ちが高まり購入しました。その時は郷土玩具屋になるなんて考えてもいませんでした。
作者の橋本さんは、もとはご自身が郷土玩具収集家でした。のめりこむうちに土人形をベランダで作りはじめたのですが、よりよい制作環境を求めて岡山に移住し、屋号も鴨方土人形に変えて、今の職人さんは2代目です。

画像1招き福助(鴨方土人形ウェブサイトより)

愛好家のなかには、新しいものは郷土玩具としいて受け入れない人もいます。けど僕の場合は、「なにこれおもしろい」から始まり、土地のおもしろさなどが感じられたら、これは郷土玩具と解釈してご紹介しています。

僕の好みとしては、ダブル縁起物とか、サイズが小さいとか、そういうものも挙げられます。ダブルって、欲深く人間味があるのがいいです。小さいといっぱい飾れるから好きです。

「これって郷土玩具?」さらにあたらしい玩具たち紹介

①こより人形(宮崎)
「散歩に行きたくない犬」など、生活の一場面を切り取ってあり、タイトルと一緒にたのしめる

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②ヤチコダルマ(福岡)
「パレード」は、国際スポーツ競技大会の応援、転勤、入院など、現代の生活シーンにあったもの

③スケボーだるま
めずらしく若い男性や、ストリートカルチャーに親しい人に人気。好きかどうか、飾りたいかどうか、という現代のインテリアの視点に合致している

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日本では「お祝いや祈りの気持ちを贈る」習慣がくらしからやや遠のいていましたが、近年見直されてきているように思います。民藝などに今再び光が当たっていることも後押しになっているでしょう。取り扱うお店も増えている。祈りを贈るという行為が日常の中にもどってきているというのは、よろこばしいことですよね。

人の手でつくられたものを届ける

GJ!センター香芝でははりこの製造・販売を行なっていますので、ならではの悩みも飛び出しました。

平松(スタッフ)> もともとケアの仕事だけをしていましたが、GJ!センター香芝で商品開発にもかかわるようになりました。ご紹介いただいた玩具たちは、見ているだけで、どのように作っているのかとても興味が湧いてきます

瀬川さん> 素材はデリケートなものが多いので、作り方はけっこうシビアだったりする。そのギャップもおもしろいですよ

森下(スタッフ)>梱包納品のさいの破損のしやすさや、見た目の水準の保持など、悩むことも多いです

瀬川さん> 郷土玩具は、少しずつ違う顔つきの中から、お見合い感覚で選べる。その点は、手仕事ならではで、完全に統一された工業製品と異なります。仕入れたものの中に、ふつうなら規格外とされそうなもの(頭に凹みがある福助、太り過ぎの招き猫、…)などが混ざっていると、僕は、ラッキーだな、と喜んでいるくらいです。人がつくるならではの人間味があってとても良いんです。
通信販売は基本的には行なっていません。手元に来たものがウェブサイトに載っているのと同じお顔じゃなかった、とお客様にがっかりされたくないので…。ただ、近頃は特に移動が制限される方が多いので、場合によってはご対応しています。

● GJ!センター香芝の「グッドジョブ!はりこ」●
最大の特徴は3Dプリンタを使っていること。木型等を使うのが最も標準的ですが、障害のある人が手仕事をくわえて商品にしやすいように工夫しています。素材も、PVAという樹脂で、土に還りやすいものです。

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今回の展覧会にあわせて瀬川さんの助言もいただきつつ製造中の「Good Dog だるま」

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来週3月13日[土]は、軸原ヨウスケさん(ドンタク玩具社)をおまねきしトークを行います。参加のお申し込みおよび詳細はこちらからご覧ください。

▽瀬川さんのトークはこちらからアーカイブ動画をご視聴いただけます。


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