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【ニュートラの学校レポート&アーカイブのご案内】11/12「A3価値の伝えかた」

「ニュートラの学校」は、4年目となったNEW TRADITIONALのとりくみが次の段階に向かうべくはじめたプログラムです。"福祉"と"伝統のものづくり"を結びつける。ここに関われる可能性のある人の数をもっと広げ、そんな人どうしが学び合える場をつくりたいと願っています。

今年度は2コースを設け、様々な観点から"福祉"と"伝統のものづくり"について考えました。

プログラムA「福祉の課題から考える」コース(A1〜A5)
何を変えることで、福祉のものづくりはもっとよくなるのでしょうか。プログラムAでは福祉現場の課題にしっかりと向き合い、新しい可能性をひらいてきた実践者とものづくりの価値を高める方法を学びます。

プログラムB「これからの伝統を考える」コース(B1〜B5)
生活に必要とされる伝統工芸やものづくりは何か。作り手や使い手、環境、素材、持続性など、さまざまな視点からこれからの伝統やものづくりのあり方や暮らしについて考えます。

アーカイブ映像の販売もありますので、下記URLよりご確認ください!
https://tanpoponoye.stores.jp/
※5月末までの視聴となりますので、ご注意ください。

こちらのnoteでは各回のレポートを、たんぽぽの家プロジェクトスタッフの木村よりお伝えさせていただきます!

「価値の伝えかた」

A3 価値の伝えかた
福祉の現場のものづくりの根底にある大切なものをどのように伝え、共感をひろげていくことができるでしょうか。伝えることや発信することの意味、伝えるための媒体や機会をどのようにつくっていくかを編集者の多田さん、徳島にて「複合文化市庭 うだつ上がる」を運営する高橋さんと考えます。

11月12日(土)のニュートラの学校、ゲストは多田智美さん(編集者、株式会社MUESUM代表、株式会社どく社共同代表)、高橋利明さん(建築家、うだつ上がる店主)。「価値の伝え方」をテーマに編集や建築やデザインの分野を横断しながらお話を伺いました。

編集とは「夜空の星を結んで星座を名づける行為」


現在は、webサイトの運営や冊子編集、場の企画や運営などを行っている多田さん。昨年には出版社を立ち上げられています。そもそも編集とは、「編む」「集まる」という行為であり、冷蔵庫にある材料で料理をつくることや、気分に合わせた音楽のプレイリストをつくることも「編集」と捉えることができるとか。また、旧漢字の「編輯」には「ほぐす」という意味もあり、「編む」ことも「ほぐす」こともどちらも大切にしているというお話がありました。そんな多田さんが定義する編集が「夜空の星を結んで星座を名づける行為」であることが印象的でした。

夜空の星を少し思い浮かべてみてください。まわりが明るいとき、なかなか星は見えてきません。
でも目を凝らしたり、場所を変えたりすることで、
それまで存在にさえ気づけなかった星たちが浮かび上がってきます。
派手で強い発信のとなりで、ひっそりと輝く魅力や
ほんとうに大切なことを取りこぼしてしまわないように。
一見結びつかない点と点をつなぎあわせて新たな価値や驚き・喜びを生み出せるように。
わたしたちの編集は、きちんと「見ること」からはじまります。

価値の伝え方?

「伝える」とは相手があって初めて成り立つこと。「価値」とは人それぞれ。そして価値を発信したとしても必ずしも受け取る側の準備が整っているとは限りません。だからこそ、誰に届けるのかを考えること、そして、受け取る側を振り向かせるような必然性(動機)を生み出すことが「価値を伝える」ための第一歩になる、というお話もありました。価値を伝える前に「価値観」を共有し、「伝えた後にこんなことが起こったらいいな!」を想像することで、受け取ってもらう方法・届け方・渡す時の表情をどうするかを考えているそうです。

そこで紹介いただいた取り組みが、「旅する、千年、六古窯」のプロジェクトです。
https://sixancientkilns.jp/
六古窯とは、古来の陶磁器窯のうち中世から現在まで生産が続く代表的な6つの窯(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)のことで、このプロジェクトでは文化や魅力の発信やリサーチを行っているそうです。多田さんは、デザイナーを含めたクリエイティブチームを組み、冊子の構成や編集を行い「色々な視点から伝える」ことを実践しているそうです。伝統文化の在り方の視点をずらすことで、新たな気付きがあることを実感しました。

目の前の人を幸せに

続いて、高橋さんからもお話をいただきました。子供のころから人を笑わせることが生きがいだったとのことで、笑いの絶えない時間になりました。高橋さんは、建築事務所で修業を積み独立され活動を続けていくなかで、建築家の「職能」が知られていないことに違和感を持ち、そこで気軽に出会える場をつくる一貫として週末限定のセレクトショップ「WEEKEND TAKAHASHI STORE」をはじめたそうです。セレクトショップを始めてから遠方の地域からも様々な方に来ていただけるようになったものの、地元の人が来ていないことに気付いたことから、ローカルへの意識が芽生えたとのことでした。「建築家」としてではなく「個人」としての方が目の前の人を幸せにできると感じるようになったのもこの頃だと仰っていました。

好きを伝えるきっかけづくり

高橋さんが地域に入って驚いたのが、年配の方々のエネルギー溢れる元気の良さ。「文句を言うなら自分たちで」という行動力を目の当たりにし、「地域のプレーヤーに若者を増やしたい」「好きを伝えられる場をつくりたい」と考えるようになったそうです。そこで自分のお店を持つことやイベント開催のスモールスタートができる場をつくるため、うだつ上がるを誕生させました。自分以外の人の笑顔が増え、幸せを感じられる循環を「うだつ上がる循環」と呼び、そんな循環が日々うだつ上がるでは起きているとか。現在、イベントやポップアップストアなど、挑戦や表現を後押しする取り組みでの利用がされているそうです。

https://www.instagram.com/udatsu_agaru/?hl=ja

価値を「伝える」こと

おふたりのクロストークでは、福祉の分野に限らず「価値を伝えるとは」の議論になりました。自分だけで価値を伝えるのは難しいからこそ多くの人に思いを伝えて声をいただくことが重要であること、デザインの視点から時間や領域を繋ぐ意味、地域との距離感の重要性など、参加者からの質問を含め多くの気付きが生まれる時間になりました。
目の前のことを大切にしながら、試行錯誤を繰り返し、できることややりたいことを「伝え続ける」。その手段の可能性を感じました。

ニュートラの学校について

最後までお読みいただきありがとうございました。ニュートラの学校で得た気付きや問いは、すぐに活かせるものもあればじっくりと効いてくるものもあるかと思います。
今後もこちらのnoteにて各回レポートは発信していきますが、ぜひアーカイブもご覧いただきご自身の学びに繋げていただければと思います!

▼今回レポートした回のアーカイブはこちら
hhttps://tanpoponoye.stores.jp/items/63773f3bba62e043cf948966

▼NEW TRADITIONAL webサイト
https://newtraditional.jp/


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