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[Discussion]ニュートラ談義 2019年10月

2019年10月に、奈良・葛城市の旧商家をお借りしておこなったイベント「つくることの喜びにふれる二日間」。猛烈な台風19号の影響のため、予定された2日間のうち1日だけの開催となりましたが、お茶会、展示会、トーク、ものづくりの体験ワークショップをくみあわせ、手しごとを身近に感じ、つくること、つかうことの楽しさを体験する場を作りました。茶会ではGood Job!センター香芝のメンバーがお茶を淹れたり、菓子を提供するなど、ともにつくる、つかう場を立ち上げることができました。

イベント内のトーク「ニュートラ談義」では、NEW TRADITIONALという概念やものづくりの周辺について来場者を交え話を深めました。この記事では、その抜粋を紹介します。

NEW TRADITIONAL「つくることの喜びにふれる二日間」
日程 2019年10月12日(土)、13日(日)( ※台風19号の影響のため12日を中止)
会場 奈良県葛城市内 個人宅
参加者数 40名
http://tanpoponoye.org/news/general/2019/09/08109429/
チラシPDF

【「ニュートラ談義」実施概要】
①日 時 10月12日(土)13:00〜14:30  ※中止 
登壇者  多田智美(MUESUM)、原田祐馬(UMA/design farm)、 
     水野大二郎(京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab 特任教授)

②日 時 10月13日(日)14:00〜15:30
 登壇者 白水高広(株式会社うなぎの寝床代表取締役)
     永田宙郷(合同会社 ててて協働組合 共同代表)
 参加者数 15名

《ニュートラ談義 10月13日(日) 抜粋 》

「つくり手とつくり手の相互刺激」
Good Job!センターやたんぽぽの家など、いわゆる福祉施設などのでのものづくりを見ると、つくり手の人が思考して手を動かして作ったものを、職員の人やボランティアの人が解釈して、また手と頭を動かす作業をパートナーシップを組んでいるところが面白い。また、隣の人の動きを見ながら自分のものにしたり、オリジナルにしていく事例も集団のものづくりならではの面白さ。伝統工芸の現場ではものづくりのこと、つかい手のことなど一緒に考えてくれる人が少ない。頭と手の行ったり来たりがあるところが良いところだと思う。次は伝統工芸のつくり手と福祉のつくり手の交流を産んでいければいいのではないかと思った(白水)

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「誰に対してものを売るか、つたえるか」ものを売るという感覚より、仲間を増やすにはどうしたらいいかという感覚。ものを介して仲間を増やす方法を考えよう、という発想で、マーケットの運営や商談会を実施している。ものを売ることは通帳の残高を見ることではなく、信頼を得て行く方法だとまずは考えている。相手はお金を通じて買うかもしれないが、誰がどういう思いでどうつくっているかをきちんとつたわる仕組みを残していくことだと思う(永田)

「伝統技術と最新技術の融合」 
何代も玩具を作られていて伝統工芸の人は昔からの技術はあるが、最先端のものは取り入れてなかったりする。こういう発想は今までなかった。古典的な部分を大事にしながら変えられるところは変えていったり。逆に、でもこれは変えるべきではないよね、などといった議論を多分野の人ともして行ったほうが良いと思う。3年前くらいからいろんな人にお声がけする形で意見交換の場を持っている(白水)

「つたえる、をどこまで深めるか」
展示会で製品をみるとみんな“面白い”というが、見ただけで自分の空間にあることを想像できる人と、実際に使ってみて豊かになった経験のある人がいる。今、わかりやすくしてあげないとなかなか物が売れない時代。その消費者の想像力をどうつくっていくか。店がそれをどう誘発できるかまでを考えることが必要だ。
ものをつたえるときに二つの考え方がある。一つはつくり手の思いを受けてどうネットワークや繋がりを作って行くか(つたえ手から出発するものづくり)。もう一つは生活者に合わせて、そのフォーマットを選び、作って行くやり方(つかい手から出発するものづくり)。ただ、このふた方向だけでもなく、さまざまなやり方がある。「こういう人たちに響くかもしれない」とフォーマットや表現を組み合わせて行くことが重要(白水)

「ものづくりは何を約束するか」
(現在、かたちあるものだけではなく、情報や仕組みが価値を持つ時代に、ものだけではなく、プロセスや空間をどうパッケージして伝えていけるのか、という質問に対して)
ものをつたえる(売る)際に、大事にしていることは「プロジェクト/プロセス(ものづくりの過程)/プロフィット(利益)/プロミス(約束)」の4つのP。その中でプロミス(約束)ということについて考えたい。事例としてこの会場で紹介しているモビール。必ずしも生活を便利にしたり、効率性があるものではない。しかし、売り場や生活空間で微風でも動くものがあることで、空間に安らぎをあたえる。つまりモビールは空間を豊かにするといういうことを約束している。また、この商品開発をしている時に、とにかくたくさんつくる、すぐに売る事をめざさなかった。その売り場にあり続けることで、ショップ店員やお客さんが体験し、売り場での信頼を得る、ということを心がけた。プロミスが信頼につながる。そこから次の新しい仕事に発展する可能性もある(永田)

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永田宙郷さんには台風19号の影響により、東京から遠隔で出演していただきました

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トークやお茶会をふくめたイベントを、2020年12月にも計画中です。

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