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夫がいない

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多系統萎縮症の夫は、余命よりも長く幸せに生き、今春旅立ちました。過酷だったけれども、楽しかった日々と、突然の別れから、前を向いて立ち直るまでの道のりを書いています。ほぼ毎日更新。…
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#夫がいない

生まれ変わる日

下書きに書き溜めているのだけれど、こう毎回夫のことを書いていては、なかなか本題に進まない。 頭の中にある書きたい事は、夫のことありきなのでしょうがない。 アップする段階になって、同じような話ばっかりになっていても、これが今書きたいことなのだ。 しょうがないな。 結果、日々の日記になっているが、未来の私が読んだら、どんな感じがするのだろう、それも後で味わってみたいな。 この一連の、ひと月足らずの経験で、学んだことはたくさんある。 人は自分が経験したこと以外理解できない、っ

友達100人できるかな

訪問看護師さんと食事をした。 毎日毎日、訪問してくれていた看護師さんだ。 この方に会うのは正直つらくて、しばらく会えないだろうと思っていたから、連絡するのを避けていた。 けれど先週、もう会ってみようかな、とふと思った。 予定を合わせて、約ひと月ぶりに会った。 ガッツリ肉を食べたいと思っていたので、焼肉屋でご対面。 きっと顔を見たら号泣すると感じていたけれど、むしろ逆で最後は笑いが出てくるいい時間になった。 夫のことを共有できる数少ない一人で、話したいこともいっぱいあった

心を開いて越える壁

美容院に行った。 予約したものの、行けずにいた初めての美容院。 知人に聞いて、ふと行ってみたくなり、今回リベンジすることになった。 電話番号もホームページもない、口コミのみの美容院。 電話に出たオーナーは、元気で明るい女性だった。 この人だったら、大丈夫そう。最初の声を聞いて感じた。 電話で聞いた1階の別店舗を目印に、近くのコインパーキングに車を停めて、歩いて探してみた。すぐに見つかった。 3階へと続く階段を上がる。一気に上がる。 久しぶりのまともな外出で、何を着たらい

飛び去る時間とクロワッサン

日々時間に追われている。 気がつけば昼になり、あっという間に夜になる。 1日でやることが目白押しなため、早朝に起きている、 けれどもそれでも追われている感。なんだこれ。 介護も終わり、自由な時間なはずなのに、全くもって忙しい。 介護中は、座る時間も持てないことも多かったから、介護がごっそり無くなった今、余裕があって当然なのに、ない! どうしてだろう、同じ24時間なのに、何が変わってしまったんだろう。 行動の合間に夫のことを考えている、ついぼんやりしてしまっている自分に、気

シフトチェンジが始まった

つらいだ、苦しいだ、日々思っていたけれど 今日、ふと 「失うものはもう何もないな」と感じた。 そうかぁ、これ以上私には失うものなんてない。 つらい、苦しい なんて思うのはまだ何かを無くしたくないと思っているからに違いなくて 何が一体残っているんだっけ?と考えてみても 何一つ 失って困るものを見つけることができなかった。 そうかぁ、生きがいだった夫を突然亡くして、私が空っぽになってしまったから、あまりの変化に戸惑って、つらい、苦しいと感じていたけれど 夫がいない今、失うもの

がんばることをやめたら流れが変わった

悲しくて寂しくてたまらない。 外に出ても孤独を感じる。 話す人は誰もおらず、世界で一人ぼっちになった気がする。 私がいてもいなくても、誰にも関係なくて、存在が消えても、世の中は動くんだ。 突然いなくなったら、誰か悲しむ人がいるのかな、とか考えた。 人は必ず死ぬ。しかも一人っきりで死ぬ。 これほどの孤独はないよね。でも今の私もかなりの孤独だ。 しかも生きていかなければならない。 「生きていかなければならない」?? 本当に?誰が決めた??誰に言われたわけでもないのに、生きていく

屋久島のち事故それはサインだった

新堂きりこです。 noteを始めて1週間になりました。 まだまだ慣れません😅 1日中、パソコンに張り付いている日もあります💦 時間軸が過去の記事で、読んでいる方には、さっぱりわからないと思います。 冷静でない人間が書いてることは、さらにあちこちとっ散らかっています。 本人でさえも、あの頃よっぽど大変だったのだろうなぁと、感じてます。 今日は「自宅介護をやろうと思ったワケ」について。 協調性がゼロの私は、当時、自営業をやっておりました。 仕事内容は、「コーチングコンサルタ

掃除機に恋をした

毎日1記事書こう、と思いながら、3日が経った。 時間に追われていたのもあったし、自分の気持ちと向き合う時間を、あえて作らない感じで、現実逃避していたようだ。 やはりこんな時、私のような口で吐き出せないタイプは、溜まってくる。 心にズンズン溜まって、もっとつらくなってくる。 書きたい!書かずにはいられない!という気持ちが湧き上がっている時は 心の許容量を越え、ダダ漏れしたものがあふれ出て、限界点を超えてしまっているようだ。 元々、自分の弱みや愚痴を吐けるタイプではない。 愚

無責任やり逃げ男と年取る女

住んでいるところから、車で2時間の夫の実家。 その近くに、以前から父が用意したお墓があり、そこに入る流れになってきた。 今回、私の意思とはやたら関係なく、いろんな物事が猛スピードで進んでいく。 お墓もそう。 夫に以前、「死んだら、骨はどうしたい?」と聞く機会があって それもたまたま、2ヶ月くらい前に。 病気の夫にそんなことを聞くのはどうかと思うけれど、ふと思って、聞いてみた。 「庭に撒いてほしい」と、夫は即答した。 そうなのかぁ、家にやっぱりいたいのかぁと、その時の私は

いつもと同じ日常すっかり変わった日常

昨日から母が来てくれて、ようやく寂しくなくなった。 午後からは、育休中のお嫁さんが孫を連れてきてくれたので、またさらに楽しい時間を過ごせた。 亡くなって以来、初めてスーパーにも行った。 やはり、ココも普段通り。 いつもと同じスーパーで、いつも通りな時間が過ぎていく。 夫がいなくても変わらない日常。 ポカンと空いた私の毎日は、すっかり変わってしまったのに。 込み上げてくるのは悲しみもだけれど 怒りがたくさん。 私を置いて、勝手に先に行ってしまったことへの、怒り。 本人もあまり