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夫がいない

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多系統萎縮症の夫は、余命よりも長く幸せに生き、今春旅立ちました。過酷だったけれども、楽しかった日々と、突然の別れから、前を向いて立ち直るまでの道のりを書いています。ほぼ毎日更新。…
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#自宅介護

生まれ変わる日

下書きに書き溜めているのだけれど、こう毎回夫のことを書いていては、なかなか本題に進まない。 頭の中にある書きたい事は、夫のことありきなのでしょうがない。 アップする段階になって、同じような話ばっかりになっていても、これが今書きたいことなのだ。 しょうがないな。 結果、日々の日記になっているが、未来の私が読んだら、どんな感じがするのだろう、それも後で味わってみたいな。 この一連の、ひと月足らずの経験で、学んだことはたくさんある。 人は自分が経験したこと以外理解できない、っ

心を開いて越える壁

美容院に行った。 予約したものの、行けずにいた初めての美容院。 知人に聞いて、ふと行ってみたくなり、今回リベンジすることになった。 電話番号もホームページもない、口コミのみの美容院。 電話に出たオーナーは、元気で明るい女性だった。 この人だったら、大丈夫そう。最初の声を聞いて感じた。 電話で聞いた1階の別店舗を目印に、近くのコインパーキングに車を停めて、歩いて探してみた。すぐに見つかった。 3階へと続く階段を上がる。一気に上がる。 久しぶりのまともな外出で、何を着たらい

飛び去る時間とクロワッサン

日々時間に追われている。 気がつけば昼になり、あっという間に夜になる。 1日でやることが目白押しなため、早朝に起きている、 けれどもそれでも追われている感。なんだこれ。 介護も終わり、自由な時間なはずなのに、全くもって忙しい。 介護中は、座る時間も持てないことも多かったから、介護がごっそり無くなった今、余裕があって当然なのに、ない! どうしてだろう、同じ24時間なのに、何が変わってしまったんだろう。 行動の合間に夫のことを考えている、ついぼんやりしてしまっている自分に、気

シフトチェンジが始まった

つらいだ、苦しいだ、日々思っていたけれど 今日、ふと 「失うものはもう何もないな」と感じた。 そうかぁ、これ以上私には失うものなんてない。 つらい、苦しい なんて思うのはまだ何かを無くしたくないと思っているからに違いなくて 何が一体残っているんだっけ?と考えてみても 何一つ 失って困るものを見つけることができなかった。 そうかぁ、生きがいだった夫を突然亡くして、私が空っぽになってしまったから、あまりの変化に戸惑って、つらい、苦しいと感じていたけれど 夫がいない今、失うもの

がんばることをやめたら流れが変わった

悲しくて寂しくてたまらない。 外に出ても孤独を感じる。 話す人は誰もおらず、世界で一人ぼっちになった気がする。 私がいてもいなくても、誰にも関係なくて、存在が消えても、世の中は動くんだ。 突然いなくなったら、誰か悲しむ人がいるのかな、とか考えた。 人は必ず死ぬ。しかも一人っきりで死ぬ。 これほどの孤独はないよね。でも今の私もかなりの孤独だ。 しかも生きていかなければならない。 「生きていかなければならない」?? 本当に?誰が決めた??誰に言われたわけでもないのに、生きていく