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夫がいない

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多系統萎縮症の夫は、余命よりも長く幸せに生き、今春旅立ちました。過酷だったけれども、楽しかった日々と、突然の別れから、前を向いて立ち直るまでの道のりを書いています。ほぼ毎日更新。…
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#前を向いて生きる

生まれ変わる日

下書きに書き溜めているのだけれど、こう毎回夫のことを書いていては、なかなか本題に進まない。 頭の中にある書きたい事は、夫のことありきなのでしょうがない。 アップする段階になって、同じような話ばっかりになっていても、これが今書きたいことなのだ。 しょうがないな。 結果、日々の日記になっているが、未来の私が読んだら、どんな感じがするのだろう、それも後で味わってみたいな。 この一連の、ひと月足らずの経験で、学んだことはたくさんある。 人は自分が経験したこと以外理解できない、っ

アップルパイが焼けた

気づけば夕方になり、夜がやってくる。 暗くなる前に諸々を片付けておきたくて、ずっとソワソワしている。 夜が来るのが怖いのだ。 そうだ!アップルパイを焼こう! リンゴをレンジで煮て、冷凍パイシートに包んで焼く。 シナモンとラム酒が効いた、私好みのアップルパイが、あっという間に完成する。 合間に犬と散歩し、寒風にさらされる。 世の中、寒いんだ。家の中はあったかいね。 そそくさと散歩を終え、アップルパイの続きをやり、一気に焼き上げる。 いい香りが部屋中に広がっている。 幸せの

一匹狼は孤独じゃない

以前、ビジネスコンサルを受けていた時、「最も苦しんだ時の自分と同じような人を助けたい」という着地点が見えてきた。 構築する直前に、介護生活に突入し、結果何もスタートしないまま時は過ぎていったのだが。 その着地があったから、「最も苦しんだ時の自分と同じような人」は夫だと気づき、目の前の苦しんでいる夫を助けようと思った。 この経験を誰に向けて書こうかと考え、あの頃苦しんでいた自分に向けて書こうと決めた。 あの頃の私になら伝えられる。いや、伝えなきゃいけない。 あの頃わからな