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インスタ創業者の言葉6選。「インターネットを優しい場所にしたい」

NewsPicksソーシャル編集部の櫻田潤です。昨年、NewsPicksではインスタグラムの創業者、ケビン・シストロムのインタビュー連載がありました。

本noteでは、その連載に出てくるシストロムの言葉を6つ、背景とともにダイジェストでお届けします。

❶心から好きなことをして、コミュニティを作ろう

アートボード 12@2x

16歳か17歳のときです。両親が「夏休みのアルバイトを探しなさい」と言うので、「DJをやりたい」と言うと、「それは仕事じゃないでしょう」と言われてしまいました。そこでレコード店でアルバイトさせてもらえないかなと思ったんです。
(中略)
とにかく音楽が好きだった私は、あのアルバイトによって、今やっていることを音楽でやることができました。

つまり心から好きなことがあって、関係するコミュニティと一緒にそれを経験する、ということです。


── NewsPicks記事『夢中になれるもののコミュニティを作ろう』より

インスタグラムを創業する前、ケビン・シストロムはレコード屋のバイトだけでなく、インターネット・ラジオにも挑戦したりと、音楽に夢中で、音楽を中心にコミュニティを作ることにハマっていたと言います。

心から好きになれることを中心にコミュニティをつくり、一緒に経験する──この体験が、後にインスタグラムを立ち上げる時に役立ちました。

❷完璧ではなく、不完全さを愛そう

アートボード 13@2x

イタリアにアートを学びに留学したシストロム。立派な望遠カメラを携えて、授業に出てみると──

教授は私のカメラを持って隣の部屋に行って、プラスチックのカメラを持って戻ってきました。そして「これから3カ月は自分のカメラを使わないこと」と言うんです。

それがホルガでした。プラスチックのレンズで、すき間から光が漏れ入るようなトイカメラです。

そして教授は、「君は不完全なものを愛することを学ばなくてはいけない」と言いました。


── NewsPicks記事『完璧を目指すな、不完全なものを愛そう』より

教授に渡されたカメラで撮った写真は、完璧ではなかったけれど、最高にクールでした。この時、シストロムは「不完全さ」の魅力に気がつきました。

❸ 最高のプロダクトは、記憶や経験から生まれる

アートボード 14@2x

最高のプロダクトというのは、個人的な記憶や経験から生まれるものだと思います。

でも、どの記憶や経験が世界に役立つプロダクトにつながるかは、そのときにならないと決してわかりません。

ただ、過去の記憶から、「もしかすると、このほうがいいかもしれない」というひらめきが生まれるのです。


── NewsPicks記事『完璧を目指すな、不完全なものを愛そう』より

シストロムは、iPhone3で写真を撮った時にイタリアでの体験を思い出したと言います。

過去の記憶や経験が、ひらめきを生む──役に立つかわからないことでも、体験しておけば、思わぬ時にそれが活きる可能性があります。

❹すべてをやろうとせずに、1つのことを極める

アートボード 15@2x

あれこれ機能が詰まったサービスだったら、ユーザーは友達になんと紹介したらいいのでしょう。

セス・ゴーディンは著書で、「ヒット商品をつくりたいなら、マーケティングしやすい商品にする必要がある」と言っています。

投資家だけでなくユーザーのためにも、その商品を使うべき理由を明確にする必要があるのです。

私たちはまた、「すべてをやろうとせず、1つのことを、とても、とても上手にできるプロダクトにしよう」と思いました。


──NewsPicks記事『写真以外の機能は捨てる』より

インスタグラムの前身『バーブン』の反応は芳しくありませんでした。写真以外にも機能がありましたが、シストロムは共同創業者と話し合い、他の機能では差別化できないため、写真に特化することを決めました。

すべてをやろうとするのではなく、1つのことを極めることにした結果、何をするプロダクトなのかが明確になり、ユーザーが増えました。

❺重要なのは、シンプルを維持することだ

アートボード 16@2x

マイク(インスタグラム共同創業者)と私がインスタグラムにとって重要なことを書き出したとき、トップに来たのは「シンプルを維持すること」でした。

インスタグラムを立ち上げたとき、3〜4つの特徴を持つサービスから、1つの課題をとても上手に解決できるサービスに重点をシフトしました。そしてその決断が成功のカギになりました。


──NewsPicks記事『成功の秘訣は「シンプルを維持する」』より

サービスの成長に伴って、機能を追加する際は、既存の使い方を否定しないことを意識したそうです。

シンプルを維持したまま進化するには、既存の使い方を補強することや、隣接領域の開拓を行うのがよいとシストロムたちは考えました。

❻インターネットを優しい場所にする

アートボード 17@2x

実は最近、「インターネットをもっと優しい場所にしよう」という活動を始めました。

起業家として、「世界に美しい写真を残したい」という目標を持つのは素晴らしいことなのですが、私はそれ以上を目指したいと思っています。


──NewsPicks記事『インターネットをもっと優しい場所に』より

インスタグラムに「いじめフィルター」を導入したのも、「インターネットを優しい場所にしたい」という想いからでした。

自分の娘が誕生して、「この子が成長して、ソーシャルメディアを使うようになったとき、今の子どもたちが直面しているような問題に苦しんでほしくない」とも思ったそうです。

※ インタビューが行われたのは、2018年5月

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以上が、NewsPicksに掲載されたケビン・シストロムのインタビューの中から、僕が心に留めておきたいと思った言葉です。

シストロム は、2018年9月にインスタグラムCEOを退任し、同社を去っています。そのため、インスタを通じて、インターネットを優しい場所にする試みは途中で終わりました。

影響力の大きいSNSゆえに、そこにシストロムがいないのは残念ではありますが、渦中にいた経験を活かして、インターネットに欠けているものを生み出してくれるのではないかと期待しています。

なお、引用元のインタビューは有料記事となりますが、以下ページよりトライアル申し込みすることで、10日間無料でお楽しみいただけます。トライアル期間は、NewsPicksの有料記事・動画がすべて見放題となりますので、興味を持った方はこの機会にお試しいただけたらと思います。

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文・イラスト:櫻田潤(TwitterInstagram