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郊外から「Hipsturbia」へ──U30世代を惹き付ける人間中心の都市像とは?

もしも渋谷にオフィスビルがなかったら?」──そんな問いを起点にポスト・パンデミックの都市像を探索するプロジェクトに、『Night Design Lab』を運営するNEWSKOOLは取り組んでいます。

その一環として、世界各地の都市デザインやエンターテインメントの未来の兆しを収集中。第2回で紹介するのは、U30世代を惹き付ける都市「Hipsturbia」です。

郊外はHipsturbiaへと進化する

文化の芽吹くまちづくりのためには、都市に人々を集積させる必要があります。では、U30世代と呼ばれる新たな価値観やクリエティビティを持つ人々はどのような都市に惹かれるのでしょうか?

郊外の新たなあり方として「Hipsturbia(ヒップスタービア)」という言葉が注目されています。Hipsturbiaとは、「hipster(サブカル系のオシャレな人)」と「suburbia(郊外)」を組み合わせた造語です。

これまで都会暮らしを好んでいたU30世代が、郊外へと移り住んでおり、一部の町を「Hipsturbia(ヒップスタービア)」へと変貌させているのです。終身雇用の崩壊やリモートワークの普及などを背景に、U30世代の中では、「住む、働く、遊ぶ、育児」がすべて徒歩圏内で可能なダウンタウンへの需要が高まっています。

海外におけるHipsturbiaの代表例として、ポートランドが挙げられます。ポートランドは街を小さく保ち続けるコンパクトシティの政策を推進してきたことによって、U30世代を惹き付ける街となりました。

ポートランドにはアートギャラリー、ラインハウスやバーといったナイトベニューが街中に点在します。ポートランドに惹きつけられたU30世代は街にカルチャーを生み出し、いつしかポートランドは世界中から注目される都市となったのです。

日本においては愛媛県西条市が代表的です。数年前まで知名度の低かった西条市では、Z世代やアントレプレナー向けの移住プロジェクトを推進したことによって、若い人々を惹きつけるHipsturbiaへと姿を変えました。

COVID-19の状況によって、プロモーションが難しくなった中でも、完全オーダーメイド型の無料移住体験ツアーやAIを活用したデジタルマーケティングなどオンラインを活用することによって、その魅力的を維持しています。現在では、移住者と地元の共鳴が起き、オーセンティックなカルチャーが生まれる地域となっています。

Hipsturbiaの事例のようにクリエティビティ溢れる人々を都市に集積させるためには、都市に魅力的なコンテンツを増やしていく必要があります。渋谷という都市においてクリエイティブクラスを集積させるためには都市としてどのような価値を提供すればいいのか模索する必要があります。

img:https://www.instagram.com/p/CJxABM0hwPL/

(TEXT BY KAI KOJIMA, EDIT BY KOTARO OKADA)

『Night Design Lab』とは?
新たなる「夜の価値」を探す研究機関です。国内外のナイトタイムエコノミー事例やナイトカルチャーに関わるキーパーソンへの取材、ナイトタイムの課題や新しい楽しみ方の提案、インサイトの発信を行います。
https://newskool.jp/



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