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スマートシティとスマートビルの中間に位置する「スマート・プリシンクト」とは?

「もしも渋谷にオフィスビルがなかったら?」──そんな問いを起点にポスト・パンデミックの都市像を探索するプロジェクトに、『Night Design Lab』を運営するNEWSKOOLは取り組んでいます。

その一環として、世界各地の都市デザインやエンターテインメントの未来の兆しを収集中。第3回で紹介するのは、スマートシティとスマートビルの中間に位置する「スマート・プリシンクト」という考え方です。

「ビル」「シティ」に代わるスマートの新しい単位「プリシンクト」

COVID-19によって正解の誰にも分からない時代が訪れました。このような時代において必要なのはステークホルダー同士が連帯し、共通の問いに挑むことです。連帯を後押しする新たなまちづくりの考え方として「スマート・プリシンクト」が注目されています。

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ワークプレイス界の権威ジェレミー・マイヤーソン氏によって提唱された「スマート・プリシンクト」とは1つのデベロッパーが管轄しているエリアをテクノロジーによってスマート化する試みです。スマートシティは規模が大きすぎるためステークホルダーの調整が難しい。かといってスマートビルでは規模が小さすぎ、スマート化による恩恵が小さい。スマート・プリシンクトは、その中間に位置します。行政やデベロッパー、飲食店、文化施設などのステークホルダーが連帯し、プリシンクト内でのインフラ整備を行うことで、住宅とオフィス、パブリックとプライベート、バーチャルとリアルなど、異なるコミュニティをつなげることが可能になります。

プリシンクトのスマート化により、サービスの共有が容易になります。共有されるサービスは小型モビリティーなどの交通インフラだけでなく、公共空間やオフィス、商業施設、ナイトベニューといった様々な空間のシェアが可能となります。

まちづくりをスムーズに行っていくためにはステークホルダー同士の合意形成を行い、連帯していくことが必要不可欠です。そんな中で、スマート・プリシンクトはシステム面からステークホルダーの連帯を推進していていくことの出来る取り組みです。より多様性のあるまちづくりにはステークホルダー同士がよりスムーズにコミュニケーションできる場の設計が不可欠になっていくでしょう。

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(TEXT BY KAI KOJIMA, EDIT BY KOTARO OKADA)

『Night Design Lab』とは?
新たなる「夜の価値」を探す研究機関です。国内外のナイトタイムエコノミー事例やナイトカルチャーに関わるキーパーソンへの取材、ナイトタイムの課題や新しい楽しみ方の提案、インサイトの発信を行います。
https://newskool.jp/


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