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あなたがくれた一年間(RMさんお誕生日に寄せて)

RM 씨 생일 축하드립니다.당신은 언제나 나에게 행복과 용기, 따뜻한 마음을 줍니다.아무쪼록 항상 행복하세요.매우 좋아합니다.

RMさん、誕生日おめでとうございます。あなたはいつも私に幸せと勇気、暖かい心をくれます。どうかいつも幸せでいてください。大好きです。

あれから一年

2021年9月、私は人生で初めてアイドルのオタクになった。
世界中でとっくに大人気のボーイバンド、BTSのファンに。
そしてそのリーダー、RMのファンにも。
小さな子供二人の世話と仕事と家事に追われ、趣味もへったくれもない生活をしていた私が取り憑かれたかのように動画を見漁り手当たり次第に画像を保存し、もうあっという間にめちゃくちゃ好きになってしまっていた。
そうしてファンになって2週間もしないうちにやってきたRMさんの誕生日。
誕生日をセンイルと呼ぶことも知らなかった私にできることはほとんどなかったけれど、一足先にアミになっていた妹から教えてもらってなんとかケーキとケーキトッパーを調達して、こっそりと夜中に写真を撮ったのだった。
そして当日は一日中ソワソワしたけれど「ブイライブ」というのはなくて、今年はないのかと落胆した翌日に「あの」センイルVラを見てより深い沼へと沈んでいくことになったのである。
バースデーケーキのろうそくに自ら火をつけ、楽しそうにイスごと回転したら火が消えて虚無顔。あんな面白GIFみたいなアイドルいてたまるか。好きすぎるだろ。
そんな記憶に残る(ファンとしての)初センイルから一年。前よりも少しはRMさんのことを知れたはずだ。少し話をさせてほしい。

自分の欠点が好みの顔でやってくる

RMさんの好きなところ。
セクシーな眼差し。
切長で黒目が小さな、印象的な瞳。
笑うとその瞳が三日月みたいに弓なりになるところ。
端正な眉。
たっぷりと豊かな髪。
大きくてしっかりとした身体。
5㎞はある長い脚。
低いだけじゃなくて甘さを含んだ素敵な声。

すっごく頭の良いところ。
すっごく頭が良いのに理屈っぽくなくって、割り切れない感情があることをちゃんとわかっているところ。
たくさんいろんなことを考えて、考え続けているところ。
間違えたことをきちんと認めて、改善のための学びを続けているところ。

火のついたバースデーケーキを持ってご機嫌で回転したら火が消えちゃうところ。
そもそも火をつける時ものすごく不安定な椅子の上に乗せちゃうところ。
飛行機に乗った後、必ず服のどこかが濡れているところ。
ピザを食べた手を(絶対に高い)ズボンで拭うところ。
カメラで写真を撮ると高確率で指が入ってるところ。
ナノブロックを作ろうとしたら袋を破いた勢いでブロックが四散してVライブを終わらせかけたところ。
パフォーマンス中に勢い余って弟の衣装をブチ破いてしまうところ。
すぐパボ(ばか)って言うところ。
実家の犬に全く懐かれてないところ。
大きな身体で小さなカニを追いかけているところ。
カニや蛾や滑り台にまで、ミアネミアネと謝るところ。
料理が苦手で、「僕はメロンも切れない」と落ち込んだり「僕が何かを和えてもいいのかな?」と自信なさげにするところ。

誰が言っていたのか忘れてしまったけれど、「推しとはどういうことか。それは自分の欠点が魅力的な容姿で現れるということだ」という言葉を目にしたことがある。
RMさんは私にとってまさにそれだ。
私にない美点をたくさんと、私に似た欠点を少し持っている。
RMさんには「泣いた赤鬼」の赤鬼みたいな部分がある。
心優しいのになぜか周りと同じになれなくて、怖がらせてしまったり不器用だったりする面が。
私もパンを食べればジャムが頬に付き、気が付くと服に染みができている。
すぐに家の鍵や携帯を見失う。動物や子供に全然好かれない。
「普通」になりたいのにどうしてもなんか変な妖怪っぽい存在になってしまう。
致命的ではないけれど、子供がいる、30代も半ばの成人としてはなんというか格好悪い欠点だなあと思う。
しかしどうだろう、RMさんを通してみるとなんともそこが愛らしく、親しみを感じるところだし、そこが欠点だなんて全然思えない。チャームポイントだ。なくなってしまったら寂しい。

私が私を嫌いな理由が、私がRMさんを好きな理由とおんなじなんて。
この1年、私はRMさんを好きでいることで自分自身を少し好きになることができた。
好きな人とのお揃いは、なんであれ嬉しいものだから。

私の大切なRMさん、お誕生日おめでとう。生まれてくれて、そして私に出会ってくれて本当にありがとう。
どうかいつでも幸せでいて下さい。
いつかどこかで会えたらいいな。そのときは、お互い笑い合えたら嬉しいです。

余談

実はというと、RMさんが来日し東京の街を歩いていた2022年9月のそのとき、私は第3子を出産した。長子から帝王切開だったので、帝王切開も3回目だ。もう慣れっこだろうと思っていた手術は目前になるとものすごく恐怖感があった。
いや、お腹切って出すって何?痛いじゃん。
陣痛中に弱音を吐くと「お母さんになるんでしょ!」と喝を入れられたりする病院があると聞くけど、お母さんだって痛いのは嫌だし怖い。何人子供がいても怖いもんは怖いのである。
しかし無情にもその日は来た。点滴に繋がれて手術まであと数十分というとき、とにかく闘志が湧く曲を聴こうと「ON」を繰り返し聴いた。改めて和訳も見た。
すると、RMさんのパートはこんな歌詞だった。

두렵잖을 리 없잖아
(怖くないわけないだろ)
다 괜찮을 리 없잖아
(全部大丈夫なわけないだろ)
그래도 I know
(それでも I know)
서툴게 I flow
(不器用に I flow)
저 까만 바람과 함께 날아
(あの黒い風と共に飛んでいく)

BTS “ON”

いや、なんで今の私の気持ち知ってんの!!??
闘志を沸き立たせるつもりだったのに、思わず涙が出てしまった。
同時に、こんな歌詞を書いたRMさんのことも思ってさらに泣けてきた。
「いい姿を見せたい」「いい音楽を届けたい」「アミに会うのが楽しみ」とたくさん言ってくれていたけど、あの若さで自分達の規模があまりに大きくなってしまって。怖くないわけなかったよね。全部平気なわけないよね。
それを正直に歌詞に表現したからこそ、悩みのスケールは違っても異国の30代女性である私の心にぴったりと寄り添い励ましてくれたのだと思う。
すごいなぁ。いつもRMさんの言葉は率直だ。
かくして私は「ナムちゃんも同じ気持ちなんだから…!」と手術に臨み、無事元気な男の子を出産したのであった。
RMさん、その節は本当にありがとう。いつか息子が大きくなった暁には、「あんたを産むとき、BTSのRMさんがわざわざ来日して立ち会い出産した」という大ボラを吹こうと思います。


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