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韓国憲法裁判所が日本併合を違法と判断

日本人が朝鮮半島に所有していた土地取得無効と判断された法律は違憲という訴えに対し、韓国憲法裁判所が合憲と判断。その判断理由内で「違法な日韓併合条約」をハッキリと述べました。これで韓国では日韓併合は違法という認定が決定。

米軍に帰属した日本人財産の遡及適用は合憲

韓国の憲法裁判所は、日帝強占期(日本の植民地時代)に朝鮮半島において日本人が所有していた財産を、日本の敗戦後に米軍政に帰属させた法令に対して、合憲との決定を下した。解放政局における日本人所有財産の処分問題を扱った憲法裁の初の判断だ。

 憲法裁は3日、裁判官の全員一致により、日本人が所有していた財産に対する処分を扱った在朝鮮米国陸軍司令部の軍政庁法令(米軍政庁法令)条項を、すべて「合憲」と決定した。

~中略~

A氏は、米軍政庁の法令が1945年9月25日に公布されたにもかかわらず、8月9日をすべての取り引きの無効の基準とすることは遡及立法禁止に反し、韓国人が日本人から取得した財産まで没収することは過剰禁止原則に反すると主張した。

 しかし憲法裁は、重大な「公益上の事由」があれば、遡及立法は正当だと判断した。憲法裁は「違法な韓日併合条約により、日本人が朝鮮で蓄積した財産を保全し移譲するという公益は、朝鮮半島内の私有財産を処分し、日本本土に撤収しようとしていた在朝鮮日本人や、彼らから財産を買収した人たちに対する信頼保護要請よりもはるかに重大だ」と説明した。違法に蓄積した財産を還収し、これを大韓民国に返すことの方が、当時日本人や彼らと取引した人々の財産権保護よりも重要だと考えたわけだ。

いわゆる徴用工裁判の際にも「違法な日韓併合に基づく併合時代の行為に対して受けた朝鮮半島住民の精神的苦痛に対して慰謝料を払え」という判断ですし、自称慰安婦裁判においては「非人道的行為に対して日本の主権免除は認めない」という判断で、これはこれで決定的でしたが、ダメ押しの判断が出ました。

韓国の憲法裁判所が、終戦前後の混乱期に朝鮮半島に残された日本人の財産を、当時半島を統治していた在朝鮮米陸軍司令部軍政庁に帰属するとした法令は合憲、9月に公布された法令で8月9日を期日とする遡及立法は適正だと判断しましたが、その判断理由において「違法な日韓併合に基づいて日本人が朝鮮半島で成した財を保全し、韓国の財として返還するための措置であるから遡及立法も適法」と述べています。

韓国では裁判所も憲法裁判所も日韓併合が違法だと判断した、それが明らかになった画期的なものです。
つまり、今後、韓国政府が日韓併合条約によって韓国の公益を損なっていると判断される訴訟が起きた場合、韓国政府は違憲状態を是正するために日本に対して行動を起こすことが求められる…と、いうことになります。
そして、韓国の憲法判断によると、公益だと認められれば遡及立法も合憲。

遡及立法については韓国では今も当たり前に親日派叩きには活用していますので、特に気にはしないでしょうが。

日韓基本条約の財産に関する部分は…

朝鮮半島に残された日本人の私有財産については、日韓基本条約制定時においても議論になり、日本側は私有財産の没収は認められないという立場、韓国は日韓併合が植民地支配であり、日本人の私有財産も不法に搾取された財産については私有権尊重より高次元の公益に基づいて没収は妥当という立場だったと聞いています。

当時から、旧条約無効という文言については、韓国サイドが「日韓併合条約そのものが制定時に戻って無効」という判断で、日本サイドは「日韓基本条約の時点より無効」という判断で食い違っていて、ずっと韓国は「日本に併合されて、戦争当時日本人だった」ことを否定するために、日韓併合は違法な支配であって朝鮮半島の住民は植民地支配の奴隷であったことにしようと躍起になっていたわけです。

ただ、日韓併合条約は国際社会に認められたものであり、韓国は日本に属したものだという認識のもとに日韓基本条約も制定され、日本は朝鮮半島に残してきた財産をアメリカ陸軍に帰属することを了承している。本来、第三国にある日本人の私有財産をアメリカが帰属という没収を行うのは国際法違反だが、朝鮮半島は当時、日本であったから。

そして日韓基本条約の付随協約として 財産及び請求権に関する協定 で、日本は朝鮮半島に投資した資本および日本人の個人財産の全てを放棄するとともに、約11億ドル(当時)の無償資金、借款を韓国に援助し、韓国は対日請求権を放棄することを合意しています。

そして、領国は請求権問題の完全かつ最終的な解決を認める…と、あります。

この基本条約の前提がまったく違っていると韓国が主張した場合、基本条約自体が無効という解釈は、韓国の中では正当なものとして主張しはじめるでしょう。とんでもない国だからあり得ます。

徴用工裁判や慰安婦裁判の問題点

いわゆる徴用工裁判では、被告とされた日本企業の非人道的行為があったのかなかったのか、原告の訴える被害が本当にあったのかなかったのか、実際に被害があった場合、それがいくらなのか…などは一切、審議の対象にはなっていません。不法な日韓併合により日本との契約や労働を強いられた精神的苦痛に対する慰謝料についての判断です。

そして裁判所は、違法な日韓併合により統治された日本統治時代は不法、その間の精神的苦痛に対する慰謝料を認めた。

慰安婦裁判では日本政府に対して、日本政府が行った拉致などの非人道的行為に対して賠償金を求めたもので、裁判所は非人道的行為があったことは明らかとして一方的に原告の訴えを認めて、さらに日本の主権免除を認めず、賠償金支払いを認めた。こちらでは非人道的行為に対する日本の主権免除を認めない判例となったわけですね。

組み合わせると、日本併合条約が違法で、日本統治時代は植民地支配であり非人道的な奴隷状態であった朝鮮半島の住民に対する行為には賠償金の支払いを日本に求め、日本に主権免除を認めない…と、なります。そして、今回、憲法裁判所も日韓併合条約は違法と判断したわけです。

日韓基本条約も慰安婦合意も全てアウト

日韓基本条約も、前提が日韓併合条約とその後の統治時代が正当なもので、その後の関係を確認するために制定されているので、日本としては守るべきものですが、日韓併合が違法と判断する韓国からすると、併合から統治時代を前提とした日韓基本条約も無効という解釈が成り立ちます。

その中の財産権に関する部分でも、両国がそれぞれの請求権を放棄するとあるところを「日本の財産は違法な日韓併合によるもので不法だから(アメリカに帰属という形で)没収されたもので、そもそも日本に請求権はない。逆に韓国は日本に対する請求権を残している」と解釈しないとも限らない。

そもそも、徴用工や慰安婦裁判が最初からこじれた原因は、日韓基本条約で韓国の対日請求権を放棄しているのに、韓国の個人請求権の請求先が日本になっていることを是正せず知らんぷりしている韓国政府のやり方だった。
韓国民の日本相手の請求が韓国政府から外れるためには、請求権を放棄していないし、請求権問題の完全かつ最終的な解決を認めないほうがいいわけ。

司法も国民感情も政治も、すべてが日韓併合からリセットを要求するのなら、無効と宣言して関係を終わらせるところまでヒートアップする可能性があります。止めるところが何もありません。

韓国の前に大きく口を開ける落とし穴

しかし、大きな落とし穴があります。

韓国司法が違法な日韓併合を根拠に統治時代から日韓基本条約の間で個人請求権や賠償を認める判決が今度もあるとすると、日本から朝鮮半島に遺した財産の請求が起きた場合、今後は韓国の主権免除を認めない可能性や韓国に対する個人請求権が認められる可能性があります。

これまでは日韓基本条約を根拠に、日本の個人請求権は認められていませんし、訴訟は却下されていたと思います。日韓基本条約が正当で今も効力があると日本政府が判断している以上、それに則って判断していましたが、相互主義に則ると、韓国では認められていないから日本も韓国の主権免除を認めない判断は可能になります。

韓国が日本に遺したものと日本が朝鮮半島に遺したものは大きく違います。韓国の経済学者が算定した額で当時推計52億ドル、現在の価値で約10兆円といわれていますが、個人財産の返還要求があり、その後、日韓基本条約が無効とされたら、日本の国有財産まで請求するとしたら10兆円、今のウォンで約106兆ウォンです。日本国内で差し押さえできる額じゃありませんが、その後は日本に進出するのは絶対に不可能になりますね。

ちょうど、同じような判断がされた事例がアメリカでありました。
韓国メディアは、日本の主権免除を認めなかったことで敏感なのか、さっそく報道しています。シンシアリーのブログで教えてもらいました。

ロバーツ最高裁長官は、主権免除を考慮していない場合、米国が被害を見ることができているとした。彼は「私たちは、ドイツの裁判所が、米国政府が、数年前に犯した人権侵害に起因すること億ドルを受ける資格があると主張しているアメリカ人に勝訴判決を下した場合、相互的措置をとることができた」と説明した。

ただし、連邦最高裁は、原告側のに別の道を開いて置いた。先祖が、ドイツの市民ではない可能性がある余地を残したものである。ポリティコは「今後の紛争で、米裁判所が、これを再び審理することができる」と解釈した。

まさに今、日本は相互的措置をとることができるかもしれない位置にいる。



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