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ルノーグループ、韓国釜山工場に警告 生産性上げる約束を守れ -- 新たな生き残り案に労組反発中でそれも期待できない

ルノーグループの役員が、韓国のルノーサムスン釜山工場に対して生産性向上する薬草を守るよう警告のビデオメッセージを送ったという記事がありました。ちなみにルノーサムスンって名前はサムスンが使用許可を延長しないということで使えなくなるって昨年?一昨年?ニュースがあったけど、まだルノーサムスンなんですね。

ルノー三星自動車の大株主であるルノーグループの最高位級役員がルノーサムスン釜山工場の高い生産コストへの懸念を表し、「競争力の向上の約束を守らないと、新しい方法を見つけるだろう」と警告した。

9日ルノーサムスンによると、ルノーグループの製造・供給総括役員であるホセ・ビセントゥ・デ・ロス模造ス副会長はこの日、釜山工場の従業員にビデオメッセージを送信する"釜山工場の製造原価は、スペインで生産されているキャプチャと比較すると2倍に達する" 「これは釜山工場の競争力に問題があるものであり緊急の改善が必要だ」と述べた。

悪名高きルノーサムスン釜山工場労組

ルノーサムスンの釜山工場は、2019年頃もルノーグループ内でも最も生産性が悪く、生産コストの高い工場でした。2020年3月には委託生産されていた北米輸出向け日産ローグの生産が終了したのも、その後に別車種の生産計画が白紙になったのも、会社側と強硬な態度で対立する労働組合のストライキで生産性が非常に悪いことが大きな要因でした。

今回問題になったルノーのMX3は、日産ローグの委託生産が終了したあと、釜山工場で生産する車種をルノーに(会社側が)懇願してようやくもらったようなもの。その時にも、欧州輸出向けのMX3を韓国で生産するプレミアムは欧州ユーザーは誰も感じていない。価格競争力がなければ失敗すると、経営陣から労働組合向けに警告が出ていましたね。

当時も今も、その前からも、ルノーサムスン自体、韓国では販売が低迷していて、釜山工場で生産するルノーグループの車種生産が命綱だったわけだけど、労働組合はそれをすべて経営陣の無能が原因と強硬に労働条件のさらなる要求をつきつけながら、ストライキで釜山経済が悲鳴を上げるなんてことも平気。その結果、ますます生産コストが膨れ上がっていたけれど、やっぱりスペインの2倍の生産コストというのは異常。

まぁ、経営状況を無視した雇用条件を突きつけ、交渉が決裂すればストライキで工場稼働率と生産性を落とし、高い人件費で生産コスト上げまくっていればそりゃそうか。

ルノーサムスンがルノーグループからMX3生産を取り付けた交換条件として労組対策は必須だったはず。

ルノーサムスン存続の危機

ロス模造ス副会長は続いて「昨年釜山工場を訪問した際、釜山工場は、ニューアルカナ(XM3)欧州への輸出物量を確保するために、競争力を向上させると約束し、その約束を信じて、ルノーグループの最高経営陣を説得して、ニューアルカナ欧州物量の釜山工場の生産を決定した」とし「しかし、昨年末基準で、その約束は履行されなかった」と指摘した。

ルノーグループは品質、コスト、時間、生産性を盛り込んだQCTP指標を通じてルノーグループ内19個の工場の生産競争力を評価しているが、釜山工場の生産能力は、2019年の5位から2020年10位に下落した。特に工場製造原価スコアが2020年基準で17位に終わるなど、コスト項目のスコアが低迷している。

~中略~

ロス模造ス副会長は「私は釜山工場の従業員を信じてニューアルカナ生産を決定したが、今日、私たちは、深刻な問題に直面している」とし「釜山工場のサバイバルプランと戦略は、自らのための最優先的生存計画」と強調した。ルノーサムスンは年初△役員40%を削減して△残りの役員の賃金の20%を削減し、△全職員を対象に希望退職を実施する「サバイバルプラン」を発表した。しかし、ルノーサムスン労組は「無能経営陣に強力な残念」と反発している。

ルノーサムスンが約束した生産性の向上は昨年、守られなかったとルノーグループの役員が警告。しかも、けっこう強い調子だし、読んだ限りでは最後通牒に近いものに感じるんですけども。

工場で生産する車種がなくなれば工場閉鎖。ルノーサムスンはルノーグループの車を輸入販売する代理店に降格だし、韓国内でルノーの車種は人気がない。でかくて派手なドイツ車か経済性で日本車が選択肢で、その後が現代自ぐらいでしょうか。だからルノーサムスンが存続する理由がない。今はもうルノーグループの地方1工場としての意味しかないわけです。

ゴーンが日産の会長をしている時は、日産の車種を委託生産する強引な手法で韓国に資本投入してたわけですが、ゴーンがああなって日産も韓国から離れ、お情けでルノーの1車種の生産をわけてもらってたけど、やっぱり生産性向上の約束が守られてないし、今、ルノーサムスンのサバイバルプランが出されて会社存続のために労働組合の協力を求めても、経営危機は経営陣の無能が原因という態度を一向に変えない。

こんな状態でこういうメッセージが出たという意味を、おそらく労働組合は理解しようとしないでしょう。労働者の正当な権利だと主張し、左派政権もそういった労働組合の態度を見て見ぬ振り。暴れまくっても警察は止めないし、ますます増長していくだけでしょう。

その結果、会社が倒れても責任は経営陣にあると主張して自分たちが被害者ポジションを確保できればそれなりの恩恵が受けられると、そこまで計算しているかもしれません。なんといっても被害者至上主義の韓国ですから。

ただ、世論は労働組合を”貴族労組”と揶揄するぐらい、労働組合の態度には嫌気をさしているので、そこまで被害者ポジションを高める世論の盛り上がりは期待できそうもありません。まぁ、せいぜい、ルノーグループがルノーサムスンを助けないのは、日産が、日本が邪魔をしているせいだ!ぐらいのことは言い出すかもしれませんが。

韓国自動車産業自体も危うい

ルノーサムスンだけでなく、韓国内の自動車産業は今、かなり厳しい。

韓国内第三位?の双竜自動車は、会社再生法申請してて、部品納入業者から手形取引を拒否され、手持ちの少ない現金支払いと納入ストップを繰り返しそのたびに工場停止。従業員への給料支払いも遅延中。大株主のインドマヒンドラグループは既に救済を放棄して株売却を進行中。

韓国GMも5,6年以上も赤字状態が続き、極悪労組のストライキで生産に支障が出て、昨年末にはいよいよGMから撤退を口にされているけれど、未だに労組の態度は変わらず経営危機という業績も経営陣が発表しているものは信用できないとして反発中。ここも大きく変わる要素はないので、会社が潰れて労組だけが残っている可能性が高い。

現代自と起亜は、それなりにやっているけれど、売上のほとんどは海外生産で、韓国内の工場はあまり変化がない。ここも極悪労組が支配していて生産性は最悪だし、人件費は高騰。ムチャクチャな要求でも今の法律は労働組合に有利で、工場停止を人質にされていて、とにかく韓国内に生産拠点を持つ意味がほとんどない。

韓国の自動車業界は、完成車メーカーの下に多くの協力会社ががっちり配置されるピラミッド状になっていて、完成車メーカーが倒れると、各メーカーが抱える従業員だけでなく、その下の企業と従業員まで一気に倒れる構造。

ここにきて3メーカーが存続の危機となったら、ただでさえ最悪を更新中の韓国の失業率や新卒就職率に隠しきれない大きなダメージが発生するのは必至。工場があることでなんとか維持できていた地方自治体も地域経済が崩壊する危機に直面していると言っても過言ではないでしょう。

それでも呑気に強気な発言とストライキを振り回している労働組合。



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