見出し画像

韓国政府 自営業者の損失補償法で強引に成立目指すも財源に疑問の官僚とのズレ

韓国ではやたらと法案の発議が行われて、絶対多数の与党はその勢いが違う。そのため、この法案が何のことなのかちょっと目を離すとさっぱりわからなくなるんですが、コロナで被害を受けた自営業者などに政府が損失補償する法案を今年上半期にも立法化したいと、韓国首相が息巻いているけれど、実際にその財源などを調整する企画財政部など官僚からは、財源はどうするのか?といった疑問が出されていて、首相ブチ切れだと。

韓国首相「企業の経営者の寝室保障法、今年上半期処理を」

企画財政部「「自営業者の損失補償法制化した国はない...その時その時用意」

企画財政部「企業の経営者の損失補償」難色に韓国首相「改革の抵抗勢力」

自営業者の損失補償法とは?

 損失を補償する内容がいろいろと出ていてはっきりとわからないものの、これまで聞いたことのあるものだと、コロナで営業制限を受ける自営業者に補償を義務化するものや、時短や営業停止中の最低賃金なみの補償を出したり、営業制限を受けたり営業禁止になった自営業者の家賃の受け取りを上限設けたり禁止して政府や自治体と分担する等々。

補償の制度は、苦しんでいる自営業者や中小企業の実態に即していろいろとあると思うので、固定的にするのが良いのかどうか…。実際に官僚が難色を示しているように、補償の内容はその都度、決めている国が多いわけですけど、それよりなにより固定して想定してみれば予算がどれだけかかるか先にわかるわけで、その財源をそうするの?って議論がまずあるべきでしょう。

「コロナ被害補償を受ける権利」... 財源は「​​財政+社会的参加」

上の記事の中では、財源が内容によって数十兆~数百兆ウォンになると推定されています。韓国与党内の緊急討論会で議員が算出した数字が4ヶ月間だけで114兆3,000億ウォン。日本円で約11兆4千億円。簡単に立法しちゃっていい数字じゃありません。

別の発表者であるガンフンシク議員は一連の禁止業種と営業制限業種に最低賃金(セット禁止業種は100%、営業制限業種は20%)を支給して家賃を支援するために、月に1兆2370億ウォン、年間14兆8440億ウォンの財源が必要と見た。康議員は自営業に1300万ウォンずつ支給した英国、前年同期の売上高の75%を支給したドイツ、営業停止時、一日60万ウォンずつ支給する日本の事例を提示しながら、「各国道最小限封鎖対象に対応しており、単純な経済危機非今のような前代未聞の危機時に金融への懸念は、必要最小限にとどまる必要がある」とした。

上記引用の各国例を出すなら日本なら持続化給付金や家賃補助なども入れないとダメでしょう。そういう仕組みを立法化したいという意図だと、ここにあるような数十兆では足りないですね。持続化給付金は最大100万円でしたが、企業の営業規模によってはそれじゃぜんぜん足らない場合も多いし、各国を参考にしたいなら、前年同期の売上の70~80%で最低値1000万ウォンぐらいは太っ腹にしないとね。

基本的に与党の考え方としては、コロナのような感染症拡散を防ぐために自営業者に協力をして貰って店を閉めて貰う補償であるから、自営業者にはその権利がある…というものらしいです。考え方としては悪くないと思います。被害を被って苦しんでいるから救済として給付金を上げます…というともらえないところに不公平感が出るし、貰う方も居心地が悪い。受け取る権利があると言って貰えるならその方が良いですね。


問題の財源はどうするのか?

 企画財政部が財源確保が困難だから難しいと言うのもわかります。簡単に首相が「改革の抵抗勢力」と平気で言えちゃう韓国もちょっとうらやましく思ったりもします。なにせ、日本では財務省などのお役所の権限が強くて、なかなか制度改革や法案がまともに通らない国ですから。そこはもう少しなんとかならないものか…とは、思いますが、そのためには立法府の能力がまだ足りないかも。財源は後で考えても、選挙のために人気取り政策やっちゃうと韓国みたいに後で困る。

鄭首相は20日午前、ラジオでの損失補償を説明し、「ムン・ジェイン大統領と共感を成し遂げ上半期中に制度化を推進する」と明らかにした。政府立法案をすぐに提出するという予告もした。

ところが、この日の午後、キム・ヨンボム記載部1次官は「法制化した国は見つけるのは難しい」と迂回的に反対した。月に最大24兆ウォンがかかる天文学的な費用に伴う財源がいただけないからである。

鄭首相は午後TVに出演してはならこれを再反論し記載部叱責した。鄭首相は「憲法の精神に基づいてそのような法制度が必要だというのが私の判断であり、国会もそのような考えだが、政府の一部でそれを否定したという話を聞いて、とても不思議だ」とした。

鄭首相は、「最終的には正しいが貫徹される」とし「改革の過程は、常に反対勢力、抵抗勢力があると見ればされるはずだが、最終的には事必帰正であること」とした。

憲法の精神に基づいて必要な法案なら否定してはならない。立法の精神が正しければ結果も自ずと正しいものに帰結する…経済もそうならいいですけどね。

ただ、そうは言っても今、現実に苦しんでいる自営業者がいるわけで、未来に担保した十分な議論と財政の確保を待ってのんびりと立法化している暇がない。韓国の内需、市中が死に絶えてから補償案ができても、死人にワクチン打つようなものですから。そのために、立法化が先に急がれて、財源問題は後回し…ってのは、韓国にはとても性に合ったものでしょうね。これがまた日本は苦手(笑)。

韓国世論は補償法には財源の問題を見ない振りすれば好意的かもしれないけど、コロナ利益共有制もやはりセットでコロナ禍の経済政策(…と、言えるのかな、これ?)に対してどういう反応を見せるでしょうか、楽しみです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?