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韓国首相、市中資金がニューディールに投資されるよう各省庁へ方策指示 -- 政府が危ない投資に国民を誘い込む

コロナ利益共有制や自営業者や中小企業への損失補償法など、政府が国内経済を下支えするための法案作成が加速している中、それらの支援策を主導している韓国首相が、不動産に偏る国内投資を他に分散、はっきり言えば政府のニューディール政策に合致する企業へ資金が回るように、各省庁で方案を作成するように支持したという記事。

チョン・セギュン首相が長官に市中流動資金が不動産ではなく、韓国版ニューディール政策の成果で流れるようにするよう指示した。

室は26日、組成万公報室長メールブリーフィングを通じて「チョン・セギュン首相が26日、政府世宗庁舎で国務会議を主宰しながら別々に頼んだ」と、このような内容を発表した。鄭首相は閣議で、「昨年に韓国版ニューディール方案を用意し、今年はニューディール政策が成果を出すように市中資金が革新的な企業に投資することができる条件づくりがカギ」と「不動産関連金融が民間の信用の半分に迫るするなど、流動性のかなりの部分が不動産に集まっており、機関投資家などの商業用不動産融資規制が不十分て、機関投資家の不動産投資で資産市場のバブルを生じさせることができるという憂慮も提起されている」と指摘した。鄭首相はまた「年金基金・共済会などの機関投資家が、商業用不動産ではなく、生産的な部門に投資するように誘導することが重要である」とし「あふれる市中流動資金がニューディール企業に投資され、新しい成長動力を創出するようにする先制的管理が必要だ」と強調した。特に、企画財政部と金融委員会など関係省庁に機関投資家などの民間の不動産に集中している市中資金を生産的な部門に誘導する方案を積極的に講じてくれることを指示した。

출처 : https://www.sedaily.com/NewsView/22HENNALEA

衰退し偏りが激しい韓国経済 ”K-成長”

韓国ってかなり偏りの激しい国で、GDPは高いものの、外需に依存する割合が70~80%と高く、人口の半分以上がソウル周辺の首都圏に集中し、経済活動も半分以上が首都圏。

加えて、日本の製造業が停滞したおかげで成長していた製造業が、今度は中国の台頭で苦戦していたところに文政権の所得主導成長経済が足を引っ張り製造業が苦境に立たされ、多くの雇用と経済効果の恩恵を受けていた地方自治体の経済が悪化し、人口流出が止まらない現状。

2010~2015年頃はギリギリ首都圏と非首都圏の人口割合が1%ぐらい差があったんですが、文政権になった17年頃から一気に逆転してますし、その流れはほぼ変わらないでしょう。

成長分野とその他分野の成長がKの字のように二極化する K-成長 が今の政権の課題になっていますが、同じく首都圏と非首都圏の K-成長 もまた大きな課題になっています。

ポストコロナに "K-ニューディール"

昨年、文政権が発表した K-ニューディール政策。韓国の特徴として、最初の風呂敷はどでかいものの、実行し始めるとそのあとは尻つぼみでいつの間にか終了…なんてことが多いのでアレですが、一応規模としては160兆ウォン。

そのポイントは以下のとおり

○ ITやビッグデータなどの産業を育成する「デジタルニューディール」
○雇用を創出し所得格を解消するための「社会安全網ニューディール」
○環境問題、脱炭素社会実現のための「グリーンニューディール」
○地域と首都圏の格差を解消するための「地域均衡ニューディール」

鄭首相は閣議で、「昨年に韓国版ニューディール方案を用意し、今年はニューディール政策が成果を出すように市中資金が革新的な企業に投資することができる条件づくりがカギ」と「不動産関連金融が民間の信用の半分に迫るするなど、流動性のかなりの部分が不動産に集まっており、機関投資家などの商業用不動産融資規制が不十分て、機関投資家の不動産投資で資産市場のバブルを生じさせることができるという憂慮も提起されている」と指摘した。鄭首相はまた「年金基金・共済会などの機関投資家が、商業用不動産ではなく、生産的な部門に投資するように誘導することが重要である」とし「あふれる市中流動資金がニューディール企業に投資され、新しい成長動力を創出するようにする先制的管理が必要だ」と強調した。特に、企画財政部と金融委員会など関係省庁に機関投資家などの民間の不動産に集中している市中資金を生産的な部門に誘導する方案を積極的に講じてくれることを指示した。

韓国政府としては、今の不動産価格上昇はバブルの懸念という認識はあるんですね。ただ、規制をすればするほど規制対象地域以外の価格が上がる、住宅を狙ったらオフィステルや賃貸が上がるとか、いたちごっこなのは住宅の需要に供給が追いついていないというところもありますから、実際にバブルなのかどうか…は、この先の様子見でしょう。

それと、地域から首都圏に流入している人口も、地域の仕事がなくなって、物件があっても買う金がないから、首都圏が不動産価格上昇していても、仕事があれば買うことができるって理由で青年層が首都圏を目指す現実があります。それこそ、首都圏ならデリバリーサービスでも仕事はありますからね。

かけ声だけで効果なく踊らされる国民?

ただ、予算だけはでかく、構想の幅は広い韓国版ニューディール政策ですが、実際のところは懐疑的な見方も多い。

地域の落ち込みに、各地の造船や自動車といった製造業の衰退が大きく影響していて、それらの支援に自治体単位であれこれやっているものの、文政権になって勝ち組になった労組の横暴も酷く、最低賃金爆上げ、生産性の低下、電気代などコスト増、主力製品生産拠点の海外移転など、様々な要因で落ち込んでいるわけで、工場のある自治体だけで解決することなど無理な話なのですが、政府はちっとも支援しようとしてこなかった。

それがここにきて急に支援しようと言っても、それまでに叩きのめされた製造業に単に金を入れただけじゃどうしようもありません。大胆な構造改革や政策が必要ですが、文政権も5年が過ぎて残り約2年。成果が出せる期間もなく。次の政権はおそらく左派政権になるだろうけど、前の政権の成果では自身の自慢にならないのでゴミ箱に捨てる可能性の方が高いですから、そんな政策にがっつり乗れるわけがない。

地域の自治体がそれぞれの事情や都合にあわせて独自に成果を出せる政策を出したり、民間が地域に投資して成果が出せる環境作りや規制の見直しに国がきちんとフォローして行ければ良いのですが。

プラス、この国の方向性に首相は国民の投資を積極的に誘導するように各省庁に方策を作成する指示をしている点がちょっと怖い。特に金融関係の監督部署は、下手に金融商品に誘導した結果、成果が出ないならまだしも、元金も丸々損をするような詐欺的な商品にハマる可能性だってある。そういった被害が過去どころか最近でも頻繁に起きてる。

金融緩和で低金利になって、不動産の保証金などを銀行に預けておいても利益が出ない今、株式投資がブームですけど、そういったニュースを目にする機会が多くなってから参入する人は、どうしてもハイリスク・ハイリターンな商品に引っかかることが多いですからね。

不動産価格を抑えたい思惑と、政策を実行する金が政府にない事情と、選挙を控えて目立つ花火をぶち上げたい都合が重なって、ニューディール政策へ資金を集中させようとしているんですけど、経済音痴揃いの文政権が焦ってやることですから、恐ろしい方向へ進んでいる気しかしません。

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