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韓国憲政史上初の裁判官弾劾訴追 -- 弾劾したいから辞表受取拒否までも

韓国の国会が、裁判に不正に介入した疑惑の判事の弾劾訴追案を可決。

韓国国会は4日、裁判に不正に介入した疑惑が持たれている林成根(イム・ソングン)釜山高裁部長判事の弾劾訴追案を賛成多数で可決した。韓国で判事の弾劾案が可決されるのは史上初めて。

 弾劾訴追案の議決書は憲法裁判所に提出され、同裁判所が弾劾の是非を決める。

 林氏は2014年に起きた旅客船「セウォル号」沈没事故当日、朴槿恵(パク・クネ)大統領の「空白の7時間」を巡る記事で朴氏の名誉を傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也元ソウル支局長の裁判などに介入した疑惑が持たれている。

 林氏は大法院(最高裁)所属機関、法院行政処の要求を受け、担当裁判長に判決宣告前の公判で記事は虚偽という「中間判断」をするよう求め、判決の際は無罪を言い渡す一方、適切な行動ではないと叱責(しっせき)する内容を口述するよう働き掛けたとされる。

 林氏は加藤氏の裁判など複数の裁判に介入したとして職権乱用罪に問われ、19年に在宅起訴されたが、一審で無罪を言い渡された

加藤局長の裁判担当判事へ働きかけたことを不当な介入として裁判中の判事、一審は無罪で二審は進行中。それなのに、裁判に不当に介入したことは明らかである!と与党が強硬に批判し、弾劾訴追案を国会に呈上して可決。訴追案は憲法裁判所に提出され、弾劾かどうかの判断を待つ。

疑惑の発端となった産経新聞ソウル支局長の裁判自体、朴前政権の反日を利用しつつ言論封殺を狙った暴挙だったわけですが、たまたま朴前政権がろうそくで弾劾され、文政権になったことでほぼ有罪が既成事実化していた裁判の行方がひっくり返った。

文政権としては無罪にして前政権の失点を事実認定させ、汚名を増やせるし下手に有罪にして文政権が背負う日韓関係の問題を増やすことも負担ということで、こちらも裁判に介入してたわけだけど、司法関係者内の親朴派から「無罪は良いけど、空白の7時間は虚偽で産経新聞ソウル支局長の行動は間違ってたことをはっきり明言しろ」と圧力を担当裁判長にかけた…と。

文政権派も朴政権派もどっちもどっちなんですけどね。完全に蚊帳の外に置かれた産経新聞ソウル支局長の気分よ(笑)実際、この件についてのコラムをぜひ読んでみたいモノです。

朴前政権をこき下ろすために裁判を利用しているのに、そんなことされたら逆効果ですから文政権が激怒して、裁判への不当な介入、職権乱用という疑惑で捜査、起訴されて一審は無罪。二審が進行中。

前政権の例に漏れず、敵対勢力の味方への裁判に介入してた文政権側としては無罪でまた激怒。部下の裁判官に文言について圧力をかけることは職務の範囲外だから、違憲が疑われるが起訴された内容については無罪。これって朴元大統領に関する発端の裁判の判決内容と真逆。

こうして、文政権に楯突く判事を罰することを裁判所に期待できないと判断して、弾劾で直接罰することを選んだということ。もちろん、ここに至る経緯は多数を占める与党の数の力によるムチャクチャな理屈で押し切った話。野党はもちろん、法律専門家やメディアからも懸念の声が上がっていたけれど、やりきったと。

強引な手法だった一端がわかる話も出てきています。

疑惑判事の辞表を拒否した法務部長官の疑惑

昨年5月にキム・ミョンス長官がイムソングン釜山高裁部長判事の辞任を国会弾劾を理由に却下したのかを置いて当事者間の主張が食い違う中、ある部長判事は弁護人を通じて、当時面談時録音した内容を、4日に公開した。

録音記録によると、金長官は「辞表の修理、提出そのような法律的なことは、ともかく私としては、複数の影響、政治状況も視野が求められている」とし「(与党で)弾劾しようとする私辞表を受理すると、国会で何を話して聞くのか」とした。また「そんな非難を受けるのはとても適切ではない」と付け加えた。

前最高裁は3日、国会等に提出した回答で「金長官はある部長判事に一度の治療に専念して身上問題は、今後の健康状態を見守った後に考えてみようという趣旨で言った」とし「ある部長判事に弾劾問題で辞任修理することができない旨の言葉をしたことがなく、ある部長判事が正式に辞表を提出しませんでした」と述べている。

たしか、このキム・ミョンス長官ってのは、韓国の大法院(最高裁)長官のことですね。で、最高裁長官に弾劾訴追を受けた判事が昨年5月、辞表を提出しようとしたところ、与党が判事を弾劾しようと言っている時に辞表を受け取ると、国会で弾劾できなくなる。国会で非難されるのはごめんだ…と、辞表の受け取りを拒否した事実が明らかになった。

バクギボム記者=国会法制司法委員会の野党幹事のギムドウプ国民の力議員は4日、キム・ミョンス長官とイムソングン部長判事間の対話録音記録の公開と関連して「自分の入信のために司法と所属裁判官を政治権力餌に投げてしまった。政治家の真の姿を見せてくれた」と批判した。

金議員はこの日発表した声明で、「司法の独立を守らなければなら首長が、裁判官弾劾を放棄して助長した」と述べた。

~中略~

金議員はこれを置いて、「金長官は、民主党が裁判官弾劾を推進していないことを懸念し、裁判官の正当な辞職要求を拒否した」とし「民主党の下手人を自任した」と批判した。

続いて「成績の中の発言は、裁判官弾劾が民主党とキム・ミョンス長官の「組ん花札」という事実を明確にした」と主張した。

当然、野党は「最高裁長官と与党が弾劾に向けて組んだ話」「司法の独立を守るべき長官が、与党の裁判官弾劾の動きを放置して助長した」と一斉に非難している。この話を読むだけでも当然かな…と、思います。

与党の言い分としては、国民が納得できない正義を執行したのだというものだそうだけれど、確かに政権からの圧力で裁判に何らかの介入をしようとした行為そのものは誉められたモノではないし、裁判の行方に介入していないとはいえ、影響を考えれば司法への信頼(が、まだ残っていれば)を失墜させる危惧もあるとはいえ、一審で無罪になった件。司法をすっ飛ばして与党が、しかも最高裁長官もグルで仕掛けて弾劾にまで持ち込む案件なのか?ってことですよ。

弾劾による与党側の絶対正義を民衆に印象づけるのがやはり大きな目的かもしれないですね。

それにしても、韓国政府による司法や検察への不信感は相当なものですね。身内の罪を暴くもの、敵の味方に付くもの、身内の益にならないものは全て叩き潰すのが今の文政権の第一目標になっていますね。既に政権の残り時間が少ない中、次も左派進歩派の大統領候補が人気No.1なだけに、文政権で左派長期政権の下地を作って後に繋ぎ、理想とする社会の実現に向けてあえて文政権が強引なことをしている…という予測は正しいのかもしれません。

あ、文大統領自身は北のことしか興味ありません。韓国内の司法や経済、人権なんてものはあまり興味がない。日本や外交も無関心。だから、文政権の中枢にいる高官連中や与党の左派の理想に向けて文大統領を利用しつつ行動していることが噴き出していると思った方がいい。

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