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月刊想造楽工vol.29「はちおうじおやこ小学校with想造楽工」開催!

こんにちは、班長よりこですー。あっという間に2023年もカウントダウンですね。光陰矢のごとし。そんな昨今ですが、
ついについに、この時がやってきました!
想造楽工運営のニューモアは2024年1月、
親子が同級生になるイベント「おやこ小学校」を八王子で開催する運びとなりました!

with「想造楽工」のタイトルにもご注目

そんな小学校聞いたこともない、という方が(当然)ほとんどだと思いますので、順を追って説明していきますね。
(またまたロングストーリーになってしまうことと思われます)

おやこ小学校とは

親子が「同級生」になる学校

おやこ小学校とは、小学生とその親御さんに2人1組で参加してもらい、「同じクラスの小学生」になってもらうというイベントです。
教室に見立てた空間で、さまざまな専門家を講師に招き、手や体を動かしたり話し合ったりと、共同作業や話し合い中心の授業を行います。
「同級生」という対等な立場になって親子で一緒に楽しみ、お互いの新たな一面を発見し合おうという趣旨の企画です。

おやこ少の説明(パンフレット2P)
教室空間(東京、2019)
授業のようす(東京、2020)

同級生といってももちろんその正体は「親子」なわけですが、
こちらの呼び方は「大きなおともだち」「小さなおともだち」
あくまでこの空間では2人はお友達だよ!という程で進め、大人もこどもも、親子チームとして様々なミッションをこなしてもらいます。

おやこ小は塾でも習い事でもなく、採点や競争はありません。「同級生」を演じる中で、普段のおうち時間とは違う一面をお互い見せ合ったり、考えていることを伝え合ったりして、親子関係を深めるための学校です。

一緒にはしゃいだり(香川、2016)
大きなおともだちから小さなおともだちへ

おやこ小の生い立ち

香川県で誕生

おやこ小学校は2016年、香川県高松市で生まれました。
私よりこは当時、美術作家を目指して全国の芸術祭に乗り込む武者修行時代。2016年に「アーティストインレジデンス」と呼ばれる、高松市主催の滞在制作企画に採択していただき、応募の際に提案したプロジェクトがこの「おやこ小学校」でした。

その頃の私はもっぱら子どもたちと遊び場をつくるようなことをしていたのですが、送迎や見守り役の親御さんを見て、親子一緒にやったらもっと楽しいのになあ、と感じていたことから思いついた企画でした。

市内を回る中で仏生山町という町を訪れ、瓦屋根の並ぶかわいい街並みにピンと来て開催場所に決めました。2ヶ月ほど住み込みながら空き店舗を改装して教室をつくっていったのですが、電ノコの使い方もろくに知らないくせにDIYだ!と意気込んだ結果、町の方々に木材提供から床貼りまでと何から何までお世話になることに。たくさんの方のお力添えあり、愛着たっぷりの小さな小学校が出来上がりました。

看板を取り付けてくれた工務店の方々
内観。机も椅子も手作り。
授業のようす

整体師さん、カメラ屋さんなど町の仕事人に講師となってもらい、全4回の授業を行いました。住民の人たちも見学に来てくれて、干し柿や焼き芋の作り方を教えてくれたり、サンタクロースになってくれたり。

焼き芋大会
クリスマスレンジャー!

それぞれの親子さんもそれぞれにとても素敵で、教えるどころかこちらが学ぶことだらけ。
1ヶ月のプログラムが終わる頃には関わってくれた人々、この場所が大好きになっていて、こんだけ愛着が生まれた企画を閉じるのは嫌だ…続行だ!と場所を残させてもらい、東京と香川を往復して授業を続けました。
2年で20回ほどの授業を行い、生徒さんたちも大きくなってそろそろ閉校かなあと思っていた矢先、おやこ小は思わぬ展開を見せます。

東京都、静岡県でのおやこ小

当時高松市のアートディレクターをされていた演出家の多田淳之介さんお声がけいただき、なんと東京は豊島区でおやこ小が実現することになりました。
東アジア文化都市2019(主催:豊島区)、区立劇場あうるすぽっと(主催:としま未来文化財団)、東京芸術祭2022-(主催:東京芸術祭実行委員会)と大変立派な舞台で開催をさせてもらいました。それはたくさんの方々にご応募いただき、参加者さんは抽選のちのキャンセル待ち状態に。
商店街の街歩きやJR東日本の池袋運輸区さんとコラボレーションしたりと、授業内容もめきめきパワーアップしていきました。

巣鴨商店街で謎解き
JR池袋運輸区さんの授業

同区の大正大学と連携し、大学生さんたちがお手伝い役(エプロンズといいます)で参加してくれるようになったのもとても嬉しい展開でした。

大正大学のみなさん(エプロンズ)

さらにさらに、東京芸術祭の総合ディレクターでいらっしゃる演出家の宮城聰さんにお声がけいただき、静岡県舞台芸術センター(通称SPAC)さんでも2022年より、おやこ小学校を開催していただくようになりました。

すぱっくおやこ小学校
スタッフさんも一緒に

SPACでは所属俳優さん方にも、講師や担任の先生を担っていただいています。演劇という分野の持つ、人と人が近くなるコミュニケーションの力は本当にすばらしくって、おやこ小はさらに進化していきました。

そして2024年、in八王子!

そんなわけで2016年の誕生以来、かれこれ7年開催してきたおやこ小。最初に香川県で参加してくれた小学生の子は、高校生に。
授業数は120回ほど、参加してくださった生徒さんの数はのべ2,000人を超えます。
アンケートでほろりと来るような嬉しい感想をたくさんいただくこと、リピーターの方の率がとても高いことが各場所で継続開催させてもらってきた所以だと思います。
こう考えるととても感慨深いですが、想造楽工事業を立ち上げてからはそっちに意識を集中させていました。

ただ、日々八王子の事務所で生息しながらふとある時、
「おやこ小を八王子でやるべきでは」と思うようになりました。
この企画を拠点地でも開催して、八王子の親子さんたちと楽しみたい。
ただ学校にチラシを配布できるのも、参加費を無料〜500円で行えるのも、行政さん主催のイベントだから成り立つわけで、
これが自分たち民間が主催となると、かなり厳しいのが現実です。

ではなぜ開催することになったのか。
理由は3つあって、
1つはニューモアの事務所の管理人であり、長年多方面でお世話になっているまちづくり団体のNPO法人AKITENさんが共同主催を提案してくれたこと。
何を隠そう代表の及川賢一さん(八王子市市議会議員)、理事の和田直也さん(合同会社ノマ代表、デザイナー)は前々からおやこ小の講師も務めてくださっていて、そのどちらもが名物授業認定。

1. おやこ小名物授業、ふたたび!

及川さんの授業は科目としては社会、その名も「おやこ議会」。大人と子どもに分かれ、家庭の新ルールについて地方議会式に討論するという、市議会議員さんならではの内容なのですが、これがとっても面白いのです。
「大人だって片付けしないのになんでこどもにばかり言うの?」(お片付けしないと遊べない条例の提案に対しての質問)
「大人は小さい時嫌いな食べ物なかったの?」(好き嫌いしない条例に対しての質問)などなど、手に汗握る白熱バトルが展開されます。
及川さんは仏生山にはじまり、豊島、静岡と全校に!お越しいただきました。

及川さんによる「おやこ議会」(香川、2017)
一生懸命説明する大人生徒さん

デザイナー兼駄菓子屋を計画中の和田直也さんの授業は算数で、「おやこで駄菓子屋さんをやろう」。
親子チームで1つの店舗として本物の駄菓子を仕入れ、販売価格やお店のしつらえを決めて売買をするという内容です。
これがまた素敵で、紛れもなく算数の授業ではあるのですが、どんな子も楽しめるというか。親子力を合わせて接客をする様子は、見ているこちらも嬉しい気持ちになります。豊島で誕生し、静岡校でもオープンソースとして継承させてもらっていて、おやこ小定番授業となりました。

「おやこで駄菓子屋さん」(東京、2020)

2.静岡の大俳優さん、来京!

もうひとつ「やらねば」となった理由として、静岡県でのすぱっくおやこ小学校で講師を務めてくださった、俳優の三島景太さん(通称みーさま)、舘野百代さん(通称ももにゃんさん)との出会いがありました。

SPACさんに関わらせてもらうまで、演劇って専門分野で自分は関係ないと思っていたのですが、シェイクスピアの言葉に「この世は舞台、人はみな役者」とあるように(山崎 皓司さんからのうけうり)誰もが色々な役割を演じて生きていると考えるとなんだか気持ちが軽くなる気がするし、演劇のワークショップって人と人が最短で仲良くなれる手段だ、とも感じました。

みーさまによる体育の授業(東京、2022)

そしてみーさま、ももにゃんさんのお人柄がまた、すばらしくって!大ベテラン俳優の御二方、本当に情熱を注いで唯一無二の授業をつくってくださり、大人もこどもも大ファンになっていました。
この秋豊島校を見に来てくださって、おやこ小を「またやりたい!」と、そして新たにやってみたい案もあると。それはもう、八王子にお二人を呼びたい…!と、決めました。
というわけで「はちおうじおやこ小学校」、それは素晴らしい、豪華な講師陣の方々が揃いました!!パチパチ。

チラシ裏面、講師陣の紹介

3.「with 想造楽工」の挑戦

最後の理由。こちらのチラシをご覧になって、「想造楽工のなかまたち」に着目していただいた方。そうなんです、このたびおやこ小は初めての試みとして、障害福祉×デザインのチーム「想造楽工(そうぞうがっこう)」とコラボレーションして開催してみることにしました。
※想造楽工とはなんぞや、の説明は割愛しますが、ほかの色々な記事を読んでいただけたら嬉しいです。

おやこ小では前述した「エプロンズ」と呼ばれるお手伝い役を今まで大学生さんがやってくれていたのですが、
このエプロンズを今回はじめて、パートナー施設である同八王子市の「就労継続支援B型事業所しあわせのたね」の利用者さん方に担っていただこうという試みなのです。

月1で行っている、しあわせのたねさんとの制作会

しあわせのたねさんとは2020年以来、毎月一緒に絵の制作をしています。利用者さんの性格はもちろん人によって様々ですが、みなさんそれぞれにとてもナイスな人たちです。子どもさんや、おしゃべりが大好きな人もたくさんいらっしゃいます。

和気藹々とやってます

前々からおやこ小をやりながら心の中で、色んな人たちが自然に一緒にいれる、ほんとうにインクルーシブな場所をつくるにはどうしたら良いのかなあとふんわり考えていました。
大事なことは、各々の役割。
おやこ小の主役はあくまで生徒さん親子ですが、仏生山町の地元住民の方々にはじまり、講師陣、エプロンズ等々、それぞれの役割を演じながら多世代・多属性で学び合うことがこの企画の価値だと捉えています。
そう考えたら日々パートナーとして一緒にやっている、しかも地元であるしあわせのたねのみなさんに関わってもらうことは必然じゃないか、とふと案が降り、
自分たちで、八王子で!おやこ小を、開催しよう!!
と固い決意となりました。
しあわせのたねの理事長さん方にお話したところ快諾してくださり、
お声がけした利用者さん方も即挙手!1月を楽しみにしてくれています。

ちなみにおやこ小ビジュアルのイラストは、当初からずっとイラストレーターの町田早季さん作のものを使わせてもらってたのですが、このたびしあわせのたねさんにも入ってもらいました。あまおなおみさん、品川久美さん、渡邉慶一さんの3名さんの絵と、マチダの絵のコラボです(個人的には密かに激アツな展開)。

中央のロゴ横が町田画伯、周りがたね画伯ズ!

はちおうじおやこ小学校 募集内容

さてさて、大変長々と語ってしまいましたが、
改めて今回の八王子校、生徒さん募集内容です。

授業日程・内容

●1/20(土)1時間目 算数「駄菓子屋さんをつくろう」
 講師:和田直也さん(デザイナー・駄菓子屋)
●1/21(日)2時間目 社会「おやこ議会開幕」
 講師:及川賢一さん(八王子市議会議員)
●1/27(土)3時間目 国語「こころとからだ探検隊」
 講師:舘野百代さん(俳優)
●1/28(日)4時間目 体育「想像と表現を楽しもう」
 講師:三島景太さん(俳優)

募集内容

  • 対象:小学生(1~6年生)とその保護者

  • 定員:各回8組(小学生兄弟2人まで参加可能)

  • 参加費:1人700円(2人1組の場合は1,400円、3人の場合は2,100円)

  • 持ち物:筆記用具、フタつきの飲み物

  • 1/27(土)、3時間目の授業は祖父母の方のご参加を歓迎します。

    1. ①小学生&祖父母、②親&祖父母、③小学生&親、④三世代(小学生&親&祖父母)のいずれかでご参加ください。

  • 申込方法:こちらのフォームよりお申し込みください
    ※応募者多数の場合は、参加日数が多い方を優先に抽選とし、1月上旬にメールにて結果をご連絡します。

会場

■運営
主催:はちおうじおやこ小学校実行委員会(株式会社ニューモア/想造楽工)、NPO法人AKITEN
協力:NPO法人しあわせのたね
イラスト制作:あまおなおみ、品川久美、渡邊慶一(就労継続支援B型事業所しあわせのたね)、町田早季

ご不明な点やご不安やことがありましたら、
oyako-school@newmor.net
までお気軽にご連絡ください。

さてはて、どんなドラマが待っているかしら。
たくさんの方々のご参加、心よりお待ちしております!

株式会社ニューモア代表/想造楽工班長/おやこ小学校担任
よりこ

記事の中の写真:
山本陸 ほか、仏生山のみなさん(ふじもっちゃん、辻さん、柳生さん)