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「NewHere2019展」から振り返るNewHereの役割とモビリティの可能性。

みなさん、こんにちは!NewHere Project運営事務局の上村です。

2019年6月よりスタートしたNewHereプロジェクトの一年の活動を締めくくる「NewHere 2019展」が2月14日(金)〜2月23日(日)、Fabcafe Tokyoで開催されました。

今回の投稿では、展示されたアイディアと展示の様子を紹介してみたいと思います!本題に入る前に、まずは簡単にNewHere2019がこの一年間どのように活動してきたのかを簡単に振り返ってみたいと思います。

改めて振り返るNewHere2019

最初の活動として6月からの一ヶ月間、「ワクワク」「カイテキ」「アンシン」のテーマを設け、モビリティサービスのアイデア公募を行いました。その後、7月の審査会を経て、「ema」「Deep4Drive」「改札前チャージ」「おっぱいバス」「Long Distance Love」5つのチームに絞られ、各チームはメンタリングを受けながら、課題の再設定やフィールドリサーチなどを実施しました。

そして、8月には中間報告会で各チームと審査員やメンター、参加者を交えての議論が行われ、ブラッシュアップしたサービスアイデアが12月の最終報告会でプレゼンテーションされました。

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一年間の活動の発信の場として用意された本展示では、これまでの活動を一般の方々にも共有するため、5チームがこれまでのプログラムで制作したアイディアのプロトタイプやサービス内容のストーリーを展示しました。今回の投稿では、展示されたアイディアと展示の様子を紹介してみたいと思います!

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展示内容の紹介

ema

地域を魅力的に変える移動体験をつくりたい
電動キックボードのシェアリングサービス「ema」を展開し、地域における移動の課題解決を起点に、”魅力的で、住みやすいまちづくり” への貢献を目指しております。「地域の人・物・場所を繋ぐ」というビジョンに基づき、地域の魅力向上、ストレスフリーな旅行環境の整備という視点に立ち、サービスを提供します。


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サービスアイデアは「現在と未来」の4コマ漫画で表現しました。

NewHere2019 に参加したことで生まれた変化
最も変わった事は、事業であり、モビリティを通じて達成するべき事への考え方が変わりました。参加前は電動キックボードを用いて、どんな価値を還元できるか?と思考しておりました。しかし、フィールドワークを通してユーザーの意見を拾い上げる中で、我々が社会に提案するべきことは、これからの新しい暮らし方や過ごし方であるという事でした。つまり、キックボードというハードなモノに拘る事なく、如何にして楽しい街を作ることに挑戦できるか?という本質的な課題に取り組むようになりました。

Deep4Drive

通勤時の混雑を賑わいに変えたい
Mobility Inn とは、AR(拡張現実)技術を用いて「ちょっとだけ」非日常を演出する体験型モビリティサービスです。つり革に掲載されている QR コードをスマートフォンで読み込むと、東京タワーが画面上に AR として現れます。また、気に入った背景や効果を選び、そのまま SNS に投稿できたりと、これまでの通勤電車にはなかった新しい体験を楽しむことができます。Mobility Inn で目指すことは、通勤電車のアップデートです。たとえ人が密集する「混雑(日常)」した電車でも、何かのトリガーをきっかけに、「賑わい(非日常)」に変換できれば、毎日仕方なく乗る通勤電車も、少しは楽しみが持てるかもしれません。AR が持つ拡張技術を利用することで、普段の通勤電車では体験できない世界観をつくり、皆さまに「ちょっとだけ」非日常をお届けします。

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つり革をつかったサービスのプロトタイプが展示され、掲載されたQRコードをスマホで読み込むとARを体験できるようになっている。

NewHere2019 に参加したことで生まれた変化
NewHere2019 への参加を通じて、Deep4Drive が目指す「モビリティ」に対する捉え方を実証できたと思います。今まで多くの事業会社、国・自治体が取り組んできた「モビリティ」は、効率化を目的としたプロダクトやサービスで溢れていました。それに対し、Deep4Drive が目指すのは、新しい付加価値を創造することです。「Mobility Inn」は、「山手線 AR」という名前で 2 月前半に実際の山手線車両にて社会実装されました。スマートフォンカメラを起動し、AR を映し出すという一連の体験は、今までの電車では体験できないサービスです。商用化・収益化という観点では依然として課題が多いのは事実ですが、この取り組みを通じて「ちょっとだけ」付加価値を創造する「モビリティ」の可能性を実感できました。

改札前チャージ

複雑な乗り換えを快適にしたい
東京の鉄道路線が複雑で、特に乗り換えが難しいという悩みを解決するため、人々が助け合える新しい案内サービス「マヨ助を探せ」を提案した。
3人とも元々中国からの留学生だったから、外国人しか持っていない視点から駅構内の迷う問題を見直した。従来の乗換案内アプリは駅構内での利用はできないとか、日本語喋れないから駅員に聞けないとかの問題で駅でうろうろになってしまう外国人観光客をメインターゲットに設定し、駅構内の端末を使い、助けてくれる人とマッチングして、実際に会って、一緒に目的地までいくインタラクション的な案内サービスを作った。また、わかりやすさと楽しさを重視し、迷う側と助ける側を代表するマヨ助とヨシ彦の 2 匹のウサギちゃんのキャラクターを作って、ゲーム性も加えた。問題解決を叶えるうえに、東京でのモビリティをもっと楽しめるようなアイデアを提案した。

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ユーザー体験を担うキャラクター「マヨ助」を使った動画やポップアップ、グッズなどを製作し、サービスの世界観を表現した。

NewHere2019 に参加したことで生まれた変化
今回 NewHere2019 に参加して、電車と次に乗る電車の間の乗換について新しい案内サービスを考えた。歩く1分~10 分ほどほんの短い距離だが、重要なモビリティだと思う。5ヶ月間のメンタリングを経て、新しい時代のモビリティはただ移動という概念ではなく、人と人を繋げて、生活をもっと楽しくする道具ではないかと思いはじめた。移動する時の快適さと人がいるからこそ生まれたあたたかいつながりをポイントにして、案内サービスを考え直した。
人口減少とテクノロジーの発展に伴い、ロボット案内などの AI に頼るモビリティサービスは将来的に主流になる意見がある一方、ロボットより、人間同士の間の元々存在する暖かいつながりを生かして、新たなコミュニケーションを作るのはモビリティの意義であるかなと考えている。今回の経験を通して、助け合い文化を社会に広げ、今年に開催する東京オリンピック、パラリンピックに少しでも役に立ちたいと思っている。

Long Distance Love

ワクワク、ドキドキする終点のない旅を届けたい
当初は、「新幹線という移動手段 ( 空間 ) を不快から快感に変える」サービスや環境のアイディアからスタートしましたが、「旅のワクワク、ドキドキ」を提供するのは、同じ旅を共にする人達、目的地の人達や文化・自然との交流 ( 一期一会でも継続するお付き合いでも ) やつながりを演出すること、というより広い視点に立つようになりました。これが「NEW MOBILITY ISLAND」というコンセプトでもあり、サービスのプラットフォームです。
「移動遊園地」のようでもあり、小さなコミュニティ ( 島 ) がまるで「世界旅行のクルーズ船」のように旅をするイメージ。「モビリティ = 移動」に必要なのは、鉄道だけではありません。「自転車」「自動車」「飛行機」「船」…もちろん、自ら歩きながら「ワクワク、ドキドキする終点 ( 目的地 ) のない旅」を繋いでいく、大切な「相棒」としての存在と信頼です。

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サービスコンセプトに重点を置いたLong Distance Loveは、その世界観をイラストを使って表現した。

NewHere2019 に参加したことで生まれた変化
このプロジェクトに参加する際に最初に考えたモビリティの再定義、「モビリティとは旅」という考え方は変わりません。
アイディアを固めるプロセスで、大きく変化したのは、「旅の主役は、人 ( もしかしたら、動物も含まれるかも )」であって、「乗り物ではない」ということ。そして「旅に目的地はないのでは・・・」ということ。だから、「( とりあえずの ) 終点に早く着くことだけ、あるいはただ快適なだけ」ではなく、「ワクワク、ドキドキする ( 移動 ) 体験」そのものが「モビリティ」であるということ。

おっぱいバス

子育てバリアーフリーな街を実現したい
出産後も働く女性が増加している現在、仕事復帰後も母乳育児を続ける女性が、職場で「搾乳」を行う場所として、衛生環境の悪い「トイレ」しか選択肢がないという現状があります。搾乳室を職場に設置できることが理想ですが、現実的にはスペース、コスト的に難しく、結果的に諦めざるを得ないこともあります。そんな時、職場以外のサードプレイス的な場所で、アプリで予約をして時間単位で借りれる個人的なスペースとして、現在駐車場に設置の普及が進んでいる「停車時のカーシェア車内」が有効利用できるのではないか、というアイデアを考えました。近い将来、自動運転車や MaaS(Mobility as a Service)が普及した際には、そうしたサービスを乗せた車両がニーズに応じてオンデマンドに組み変わる「動く商店街」のようになるのではないかと想像しています。

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NewHere2019 に参加したことで生まれた変化
モビリティとは「乗り物」単体のみではなく、これまで何らかの社会的な理由で「留まっていた状態」が解消され、移動が促進されるようなことにも使える言葉なのだと理解しました。近い将来、モビリティの技術が有効活用され「子育てバリアフリー」な社会が実現し、小さな子供連れや妊婦さんでも気兼ねなく外出しやすくなった時、そのことがより実感できるようになると思います。

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終わりに

展示を通して一年を振り返るなかで改めて感じたことは、モビリティの可能性。NewHereの取り組みに興味を持ち参加してくれた5チームの多様さが表しているように、モビリティは国や世代、職能の異なる様々なバックグラウンドを持った人々が関心を寄せることのできる共通のテーマです。

しかし、多様な視点はまだまだ十分ではないように感じます。NewHereはプロジェクトというひとつのきっかけによって、モビリティの未来に貢献できるのではないかと強く思い始めています。多様な人々がつながり、様々な視点が共有されてアイディアが生まれ、その結果が様々な人の目に触れる。そこでは、なにかが確実に前進しようとするエネルギーが生まれ始めているように感じました。

新しいなにかが生まれるはずと信じながら、NewHere Projectは来年度も活動していきます。モビリティの新しい可能性に興味や関心のある方のご参加をお待ちしております!

本年度最後の投稿として、Mobility Meetup Vol.3のイベントレポートも後日お届けしますので、楽しみにお待ち下さい!



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