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Business Design Magazine

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ビジネスデザイン・新規事業開発領域で働く方に向けて、NEWhメンバーが日頃の業務で得た気づき・発見・学びをお届けします。
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#新規事業開発

新事業成功の鍵を握る"Why now"‐大企業が間違いがちな市場選択の基準‐

大企業の新事業開発において市場を選択する際には、"Why now"と"Why us"という2つの重要な問いを考慮する必要があります。"Why now"は、なぜ今その事業に取り組むべきなのかを問い、市場のニーズ、技術の進歩、社会の変化などを踏まえた適切なタイミングでの事業化を重視します。一方、"Why us"は、なぜ自社がその事業を行うべきかを問い、自社の強みや独自性、競合優位性を明確にすることを重視します。 これらの問いは密接に関連しています。"Why us"の問いに答える

グローバルバーティカルSaaSのトレンド:社会構造の変化を捉え、事業機会を発見する方法

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は欧米を中心に、特に近年で創業されたバーティカルSaaSをピックアップしながら、そのサービスの特徴や既存のサービスが数多く存在するなかで、創業者はどこに事業機会を見出したのか、その背景も含めてみていきたいと思います。 新規事業のシードアイデア創出や、ビジネスモデルのブラッシュアップのヒントになれば幸いです。 ピックアップしたバーティカルSaaS今回はアメリカを中心に、3つの狙いから特にここ5~6年で創業した

国内上場SaaS企業の分析から導き出す、大企業の新事業が3年で売上100億円を達成するためのポイント

大企業の新事業を支援していると、3年で売上100億円という目標がよく掲げられています。さらに、デジタルを活用したプロダクトを開発するため、デザイン思考やリーンスタートアップを実践して、顧客課題から考えたいという要件もあったりなかったり。そこで今回は「この目標と要件は現実的なの?」ということを、SaaSビジネスのグローバルトレンドや国内上場SaaS企業の現状を分析しながら考えていきたいと思います。さらに、3年で売上100億円を達成するための戦略の方向性と重要なポイントを絞り出し

【IPO達成には理由がある】気になるスタートアップのキモ解説:ジンジブ(高卒就職支援サービス)‐後編‐

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は創業に至る背景や事業機会をどのように捉えたのかを考察した前編に続いて、3月22日に東証グロース市場へ上場された、高校生の就職を支援するというユニークなサービスに特化した株式会社ジンジブをケースとして、新規事業に必要な要素を整理するためのフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス」を使いながら、サービスの特徴や強み、競合環境や今後の課題についても深掘りしてみたいと思います。企業内の新規事業の担当者、起業を考

【新規事業担当者に効く】気になるスタートアップのキモ解説:ジンジブ(高卒就職支援サービス)‐前編‐

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は3月22日に東証グロース市場へ上場された、高校生の就職を支援するというユニークなサービスに特化した株式会社ジンジブを深掘りしてみたいと思います。個人的にこちらの企業を知った時、シンプルに「なぜそこ(=高校生の就職支援)に着目したのだろう?」という興味が沸いたことがリサーチテーマとした理由ですが、調べれば調べるほど「起業するとはどういうことか?」「ビジネスチャンスになり得る機会を捉えるとはどういうことか?」を考

【撤退から学ぶ】良いサービスが残り続けるためのヒント:Leapsin(食品OEMマッチングサービス)

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 気になるスタートアップ企業について、新規事業担当者が参考になったり、ヒントを得るために、ビジネスの肝(キモ)は何か、新規事業に必要な要素を整理するためのフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス」を使いながら解きほぐすシリーズ企画、今回は少し趣向を変えて社内公募制度を経て100%子会社として立ち上げられたものの、2023年1月にクローズされてしまった株式会社Leapsin(リープスイン)について、分析してみた

【ビジネスデザイナーが読むべきnote】不確実性とデザイン

はじめに/創刊のご挨拶少し前に思い立って「business design shift」というマガジンをnoteで創刊しました。このマガジンは、ビジネスデザインのトレンドや革新的なアイデア、変化の兆しを探ることを目的としています。noteには数多くの素晴らしい記事がありますが、それらをクリップすることでビジネスデザインの可能性を拡張し、持続可能で意味のある変化を生み出すためのインスピレーションを提供することを目指しています。 「business design shift」の

【新規事業担当者に効く】気になるスタートアップ企業の「キモ」解説:ジャパンワランティサポート(住宅設備機器の延長保証)

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 気になるスタートアップ企業について、新規事業担当者が参考になったり、ヒントを得るために、ビジネスの肝(キモ)は何か、新規事業に必要な要素を整理するためのフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス」を使いながら解きほぐすシリーズ企画、今回は住宅設備機器の延長保証事業を行うジャパンワランティサポートを分析しました。 こちらの企業に注目した理由としては、大きく3つあります。 ・非常に高い営業利益率(42.8%/2

"料金モデル"をどう描くべきか。

こんにちわ。NEWh 堀です。 note記事も気づけばもう7本目。 今回はまたこれまでと異なる領域・論点の「料金モデル」について書いてみます。事業収支におけるインプットを規定する料金モデルをどう描くか、って実事業開発の現場でも結構悩みがちなテーマ。 料金モデルとは何か。料金モデルを構成する要素。 事業構想を考えていく際、料金モデルを描くって結構難しい。 もちろん世に出してみないとわからない部分は多分にあるものの、料金モデルをどう描くか次第で、収入構造側が規定されてくるし

MVP検証の成功確度と効率性を高める「最適なミニマム加減」の決定方法

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は練り上げてきた新規事業アイデアを「見える」「触れられる」「使える」カタチにして、実際のユーザーに初めてその価値を体験してもらう試金石となる、MVP検証について改めて考えてみたいと思います。 はじめてMVP検証に挑もうとされている方、何度かMVP検証にトライしてきたけど、どうもうまくいかないという方への学びやヒント、ハードル突破の一助になればと思います。 MVPとは何か?ビジネスアイデアを加速させるためのカ

大谷翔平選手のアプローチから、新事業における”フィジカルとスキル”を考える

新年あけましておめでとうございます。2024年、NEWhは創業4年目を迎えます。2023年は新事業開発プロジェクトはもちろん、新事業のためのインフラづくり(人材育成/組織開発/ワークフロー構築)に関わる機会いただきNEWhとして提供価値の”幅”を大きく拡げられた一年となりました。我々と共に歩んでいただき、心より感謝いたします。 さて、2024年のBDマガジンの書き初めは newh inspiration の第3回です。年末年始に出会った「NHKスペシャル メジャーリーガー大

成長ステージを駆け上がる、グロースレバーの正しい設定とは

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回は以前の「【KPI沼から抜け出すヒント】新規事業の測り方-勝負はKPI設定前についている-」の実践編として、実際のグロースフェーズにある企業のKPIを50億~200億の規模別に切り取って、分析してみたいと思います。その中でも、売上の拡大に直結する資源の投下先となる「グロースレバー」をどのKPIに置いているのか、なぜそうなのか?を考察してみたいと思います。 業種による違いは当然あるかと思いますが、企業規模から4

【新事業担当者なら知っておきたい】PSFとPMFの違いとPSFに必要な5つの要素

こんにちは!NEWhで新規事業の伴走支援をしている谷口です。 今回はスタートアップのクローズ理由として大きな「顧客のニーズがないプロダクトを作ってしまう」ということがなぜ起こってしまうのか、どうすればそのリスクを下げられるのかについて、語り尽くされた感のあるフィットジャーニーのなかでもいまだに定義があやふやで、なぜか疎かになりがちPSF(Problem Solution Fit)の重要性と、揃えたい5つの要素について考えてみたいと思います。 なぜ人は「ニーズがない」プロダ

ChatGPTをつかって新事業のコンセプトを”BTCチーム”でブレストしてみる【新事業構想とAI】

さて、ChatGPTとの対話で、魅力的な新事業構想を検討するためのプロセスの第3回ということで、解決策の検討フェーズでのChatGPTの活用について書いていきます。 最近、新事業を支援する際にChatGPTでアイデア発散したら、あまりうまくいかなかったという声をよく聞きます。僕はこのフェーズにおけるChatGPTの役割は「ネタだし」だと考えています。ソリューションを最後に仕上げるのはやはりヒトです。なので、ChatGPTからは独創性の高いアイデアの創出を期待していません。ヒ