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女は女優です!!

私の友だちの話
知子さんと倫太郎は毎日のように連絡を取り合い、倫太郎は女性客のことを
一々報告する。

そしてその女性がその時どう言ったのか? 
どんな態度だったのか?を包み隠さず話をしていた。
知子さんはそれに伴い数々のアドバイスをする。

『そういう時はこう言って欲しい時だから、こうやって言っておきなさい』

彼女のアドバイスはドンピシャで、しかも知子さんと同じ年なだけに共感を得て
とても有意義なアドバイスで、お客様は倫太郎に益々入れ込んだ。

清子さんもそうで、知子さんがある日『こういうプレゼントを渡しなさい。』
と、清子さんに似合いそうなプレゼントを差し出して来た。
知子さんからすれば、みんなが自分の金蔓でよくしておくのに越したことはない。

ある日倫太郎はプレゼントを持ってディナーの場所へ向かった。
『あら早かったじゃない?どこかに寄るって言うから』
おもむろにプレゼントを出す倫太郎
『これ良かったら』
プレゼントに驚いた清子さんは満面の笑みを浮かべて
『開けていい?』
『別にいいけど』
そうして箱を開けた。
そこには有名ブランド〇〇メスのスカーフがあった。
『イヤだーすごい素敵じゃない?』
『いいかなって思って』
清子さんの顔がドンドン曇っていった。
数ヶ月倫太郎と一緒にいることが多く、まず大体倫太郎が〇〇メスの店など絶対に行くわけがないと確信していたのだ。

『ね、誰のセレクトでこれ買ったの?』
『え??俺やけど』
『絶対あなたじゃないわね。ましてこんなスカーフ選ぶとか?』
『店員やって』
『あらあなた、どこの〇〇メスまで行ったの?』
口ごもる倫太郎
『やっぱり、誰に買って来て持ったのか?正直に言いなさい!!』
倫太郎は拉致が開かないと考え渋々知子さんのことを話した。
昔新橋で働いていた時に知り合った弁護士事務所の事務員だと。

そこで清子さんは半ば半狂乱になりながら、
『その人に会わせてちょうだい!!』と叫んだ。
倫太郎はすぐさま知子さんに連絡した。
『知子さん、俺なんだけどちょっと会えるかな?スカーフを買って来てもらったことでどうしても清子さんが会いたいみたいで』
『倫太郎くん、どんな感じなの?疑っている感じ?』
『うん』
『わかった。今どこにいるの?』
『銀座の〇〇本店です。』
『わかった、40分くらいで行けるからちょっと待ってて』

倫太郎は清子さんに話した。
『すぐくるって、ほんまに何もない関係で、俺は女性のことがわからないからたまにアドバイスもらうんよ』
『ふーん。本当なの???』

二人でディナーの店でイライラする清子さんを前に長すぎる40分が過ぎた。
その時声が聞こえた
『ごめんなさい!!遅れてきて!!!』

そこには、ボロボロの服を着たツッカケ姿の髪の毛がボサボサの知子さんが立っていた。
藁のバッグを持って、こんな場所は場違いだろうと言う格好で立っていた。

それを見た清子さんは唾を飲み込んだ。
『は、初めまして清子です。』
『遅れて申し訳ございませんでした。知子と申します。』
清子さんは全くイメージが違う女性が目の前にいることにより、動揺を隠しきれなかった。

出た言葉が
『本当にごめんなさいね、呼び出しちゃって。申し訳なかったです』
『いえいえ、私は倫太郎くんに色々娘のことなど話したりして、助けてもらっているので今回このような差し出がましいことをしてしまって申し訳ございませんでした。プレゼントなら〇〇メスが一番清子さんに合うんじゃないか?と身分不相応な身でありながら買いに行かせていただいたんです。申し訳ございませんでした』
と深々と頭を下げた。

清子さんも頭を下げ、すかさず知子さんが『私、娘の帰りがあるのでここで失礼してもよろしいでしょうか?』
『もちろんです』
『知子さん悪かったな。また連絡するから』
そう言って知子さんはその場を後にした。

清子さんは『申し訳なかったわ。あの人どれだけ苦労してるの?』と聞いてきた。
倫太郎は包み隠さず弁護士事務所の弁護士の愛人なこと。一人で育てていることを話した。
『何か私にできることがあれば言ってね』と清子さんは同情していた。

清子さんと別れて、すかさず倫太郎は知子さんに連絡した。
『知子さん、あれはすごかったな。』
『当たり前でしょ!!女なんて嫉妬の塊よ!!自分より劣っている人を見た方が安心するのよ。もうトイレで頭ぼさぼさにしたり、家からツッカケ出すのに時間がかかったわよ!』
『もう女優やな。』
二人で大笑いしていた。

それにしても女性ってすごいな。 倫太郎はこの二人のやり取りを見ながら、
『女が嫌いになって来た』と本当に思い始めていたのだ。
#私の友だちの話 #女#女同士#嫉妬

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