見出し画像

LANI KAI VILLAGE INAMURA(2)敷地内の通路なのか道路なのか問題

↓こちらの記事で心臓ドキドキ案件について書きましたが、今回は心臓ドキドキ案件第2弾について書いていこうと思います。前回よりドキドキ度が高かった事案です。
https://note.com/newest/n/nb306f7e10a62?magazine_key=m7836b4d53a94

第2弾はタイトルにもあるように、敷地内の通路なのか道路なのか問題です。現在の法律ではそもそも、敷地は道路に2m以上接していなくてはいけない、という決まりがあります。道路と言っても色々ありますが、ここで重要なのが建築基準法上の道路です。簡単に言うと、建築の申請をする時に道路として認められる道路かどうかです。道路に見えていても実は建築基準法上の道路ではないなんて事は実はよくあります。さて、その建築基準法上の道路かどうかの確認はどうするのか?各自治体に行き、地図を見て確認する。です。結構アナログです。自治体によってはインターネット上で情報公開をしているところもありますが、鎌倉市の場合は建築指導課に行き、手書きで色ぬりされている地図を確認します。これ写真も撮っちゃいけないので、どんな物かお見せ出来ないんですよねぇ。めっちゃアナログ感満載なものです。

そして、今回のプロジェクトが始まった時に私達が敷地情報として頂いた道路情報は↓こちらにある水色部分。当該敷地が接する敷地前面にある建築基準法上の道路に当たるとして情報を貰いました。また、鎌倉市建築指導課にある地図でもそう示されていたので、道路に関しては何も疑問を持たずに計画を進め、さー申請関係に手をつけていくぞー、まずは開発関係だー!と書類を提出したところ、鎌倉市さんから、「あれー?このオレンジ色の部分も建築基準法上の道路となるんじゃないですか?」と、ちょっと待ったが掛かりました。結構な縦線が顔に入る程の衝撃です。

スクリーンショット 2022-10-21 19.19.14

何故縦線が入ったのか?何故なら、オレンジ色部分が建築基準法上の道路になってしまうと計画がおじゃんになってしまうからだったんです。鎌倉市には「鎌倉市開発事業における手続及び基準等に関する条例」と言う条例がありまして、その条例では500m2を超える敷地に建物を建てる場合は幅員4m以上の道路に接していないといけないんです。当該敷地は500m2を超えており、オレンジ色の部分の幅は3.5mしかないんです。敷地内の通路なら大丈夫なんですが、敷地外の建築基準法上の道路になってしまうと敷地内に建物が建てられなくなってしまうんです。えー、じゃあ、そもそもこの土地十分に活用出来ない土地になっちゃうじゃない。それオーナーも知らずに買ってるでしょー。まぁ土地売買には我々関わっていないので、その部分の責任は負わないのですが(不動産会社さんの重責部分です)、折角オーナーと進めてきた計画が実現出来ない。。

当然闘います!若干輩感も醸し出す心持ちで臨んだ訳ですが、とは言え、正攻法で行くしかない訳で、なんで?なんで?なんで?根拠は?根拠は?根拠は?質問攻めです。

実はこのオレンジ色部分を通らないと出入りが出来ないお家が1軒あるんですね。黄緑の部分です。もちろんそれは分かっていまして、民法上でも道路に接していない敷地の人は、道路に至る部分を通行する権利を持っているのですが、オーナーはこのオレンジ色部分も含めて投資物件の敷地として土地を購入しており、購入時には黄緑色の敷地にお住まいの方に今後も通路として使っても良いけど、将来的にここの通路を道路に変えなければいけない行為(具体的に言うと、建て替えです)はしませんよといった内容の取り交わしをしています。
では何故鎌倉市が問題提起をしてきたか、と言いますと、本来建物敷地は直接道路に接していないと建設許可が出ません。なので鎌倉市としては逆説的に、建物が建っているって事はその建物の前にある通路状のものは建築基準法上の道路なのではないか?と言うのです。過去の地図では道路の色が塗られていたとも言われたんですが、だったら何故その情報を最新情報に載せていないのか?
こちらも鎌倉市に負けじと情報収拾にトライします。いつ、どの様な形状で、どの様な敷地で建てられていたのか?過去の航空写真をチェック!土地、建物の謄本チェック!そして、もしかして、このお家、建てた後で敷地を分割したんじゃないか案が浮上して来ました。建てた時は今は既に分割されてしまった土地部分が他の道路に接していたっぽいんです。

航空写真

どやー!と、こちらが集めた情報を提示!鎌倉市からは、「こちらで調査しますので。」とシラっと返されてしまいましたが、そこから待つこと数週間。結論、「建物完成後、道路の廃止をして貰えれば、敷地内の通路として認めます。」との事。なんかね、ちょっと腑に落ちないところもあったんですけどね。主張は通ってないけど、願いは叶ったと言う感じでしょうか。投資案件ですので、このやり取りに費やされた時間分の機会損失はおいくらか?とか、まぁ色々文句を挙げればキリないのですが、オーナーさんも一緒に闘ってくださったので、闘いきる事ができ、計画を進める事が出来ました。

ね、色々出てくるんですよね。まぁまさか投資用として購入した土地にこんな問題が浮上するなんて思ってもみなかったですが、(通常は起こらないと思います。)良い勉強になりました。でも、これからもビックリする事沢山出てくるんだろうな〜。ちょっとマゾじゃないと出来ないかもしれないお仕事ですね。それでは、また。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?