NGG感想②コモンズの逆流が始まる

はやくも一日一コモンが結構大変になってきましたw 今日はnext generation government のまとめ・感想その2です。

公共サービスとコモンズの現在地

コモンズといえば、一般的に共有地や共有財を意味する言葉とされています。工業化以前の農耕時代には、牧草地などがコモンズの代表例として挙げられていることが多いですが、工業化以降の現代においては、市民の元にあった様々なコモンズは、行政府の管理下におかれ、工業化のそれと同じく、より効率的で画一なインフラ/サービスとして整備されていきました。たとえば、村と村をつなぐ路がアスファルトで舗装された道路になったり、村の子供たちが寺に集まり読み書きを習っていた寺子屋などの私塾(教育)は、公務員である教師による教育サービスへ変わっていったりなど…行政府による公共サービスの起源をたどってみると、その多くのルーツは場や制度としてのコモンズだったことがわかります。

日本では戦後の経済成長の波に乗って、行政・民間がその担い手となり、様々な公共サービスが規模を拡大させていきましたが、現代においては、人口減少によるサービスコストの上昇や、自己主義や当事者主権に対する意識の高まりによる市民のニーズの多様化によって、効率重視の紋切型サービスに対する不満が噴出しています。

コモンズの逆流が始まる

特に、人口減少が引き起こすデス・スパイラル※1は、公共サービスの質を損ない、我々の生活に多大な影響を及ぼすことが懸念されます。公共サービスは当初、行政府によって担われてきましたが、現在はその多くが民営化されつつあります(代表例はJRや日本郵便など)。民営化は、サービスの運用を市場にゆだねることによって、更なる効率化とコストカットを目的とされ、行われてきましたが、人口が減少し、需要も低くなりつつある地域においては、運用を託された民間側も不採算なサービスを担っていく動機は無く、次々と撤退していきます。過疎地域における路線バスの廃止は、まさにこの典型例と言えるでしょう。

※1人口減少のデス・スパイラル:人口減少の進む地域において発生する諸問題と、それを放置することによる更なる人口減少へと繋がる負の連鎖。具体的には①生活関連サービス(小売・飲食・娯楽・医療機関など)の縮小②税収減による行政サービス水準の低下③地域公共交通の縮小・撤退④空き家・空き店舗・工場跡地。耕作放棄地等の増加⑤住民組織の担い手不足による地域コミュニティの機能低化⑥学校施設の統廃合など ■国土交通省(平成26年度国土交通省白書/next generation governmentより抜粋

路線バスの廃止は、氷山の一角に過ぎません。日本においては9割近い自治体が中央政府からの地方交付税交付金にぶら下がる形で運営されていますが、現在60兆円の税収に対して、支出は100兆円とも言われており、人口減少が加速していく社会においては、これまでと同じ水準で交付金が支給され続けることはまずないでしょう。そうなれば、おのずと公共サービスは行政や企業の手を離れ、コモンズへと姿を変え、我々市民の側へと逆流してくることになります。

果たして、我々はこの逆流するコモンズをどう捌いていけば良いのでしょうか。

→次回へ続く

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