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「ヒアリングの極意」は発注側の立場でも役立つ

「なんか思ってたのと違うな」と、クリエイターから上がってきた成果物を見て、感じる事が結構あった。

でも、どうやったらそれを言語化して、私が思う完成品のイメージをクリエイターに伝えられるのかも分からない。
それに直すにしても相手に心労と時間をかけさせてしまうから、仕方ないか…と諦めてしまう事は少なくありませんでした。

しかし、そのモヤモヤが一晩で解消される出来事が起こった。

それは、ベテランディレクターの方法論をじっくり解説するライブ授業「ヒアリングの極意」
テーマはクライアントワークにおける、クライアントとのヒアリングについて。

「いや、困ってるのはクリエイターとのやり取りでしょ?クライアントとのヒアリングは関係なくない?」と思うでしょう。
ですが、クライアントのヒアリング、という切り口ではあるものの、逆手に取れば「これが分かれば、制作側が動きやすくなるポイント」をまとめているという事。
そのポイントを押さえておけば、いざクリエイターに仕事をお願いするとなった時「なんか違うな…」を避ける事が出来る訳です!

誤解を招かないように補足

ここからはあえて制作側ではなく、このセミナーで特に印象に残った内容を、発注側の目線から話していきます。
ですが、私が普段クリエイターさんに依頼をする時はWeb制作や会社絡みの案件ではなく、別名義で行っているゲームの制作•販売での事で、所属している会社の事やWeb業界での事は関係ありません。
補足もしたところで、内容に移っていきましょう。

「なんか違う」はどうして起こるのか

クリエイターに指示を送って、成果物を見た時。
「こちらの要望に応えようとはしているけど、なんか違うんだよな」ってなる事は多い。
そうなっている原因のひとつは「こちらがその要望を出している目的が伝わっていないから」である。

これをセミナー内では顕在ニーズ潜在ニーズという名前で説明していた。

例えばだけれど、私がゲームのパッケージを外注する際、デザイナーさんに「かっこよさ重視でバズりそうなデザインをお願いします!」と希望したとする。
この時、私が口にしている"かっこよさ重視で""バズりそうなデザイン"というのは、表立った希望である顕在ニーズとなる。
で、デザイナーさんがこの顕在ニーズだけを鵜呑みにして、デザインを作ると、受け取った時「なんか違うな…」となってしまう。
何故、そうなってしまうかというと、潜在ニーズに気付けていないからである。

今回のように"かっこよさ重視で"と、私がデザイナーさんに伝える場合。
私はかっこいいのが好きだからお願いしている訳じゃない。
パッケージデザインの雰囲気は、どんなユーザーにウケて欲しい作品なのか、と誰に向けて作っている作品なのか?という点が関わってくる。
今回なら、少年漫画のようなかっこいいパッケージにする事で、若い男性のお客さんを増やす事が出来るかもしれない、と考えていたとしよう。
その場合「若い男性のお客さんを増やしたい」は潜在ニーズとなる。

つまり、私からするとかっこいいデザインを作る事に意味がある訳じゃ無く、若い男性のお客さんを増やす事に意味があるのだ。
その潜在ニーズに発注側も制作側も気付く事が出来れば、単にかっこいいデザインを作るのではなく"若い男性にウケそうな、かっこいいデザイン"に的を絞る事ができる。

"バズりそうなデザイン"という顕在ニーズだって、バズる事自体に意味がある訳じゃない。
そもそも、自身で商売をしている人の殆どには「沢山売りたいから」という潜在ニーズがあるはずだ。
だって売上を得る為に、商品を作ったり、Webページの制作を依頼したりするのだから。

でも発注側からすると「売上を伸ばしたい」なんて当たり前の事すぎて、わざわざ人に伝えたり、思い返したりしないと思う。
そんな潜在ニーズから「バズれば多くの人に見てもらえて、ゲームが沢山売れるに違いない」という思考が生まれ"バズりそうなデザイン"という言葉に変わり、制作側に湾曲して伝わってしまうのだ。

なのでこの場合、実際の発注側はバズって欲しいのではなく、ゲーム自体を手に取って貰う事に意味があるので、つい手に取りたくなるようなパッケージデザインにする必要がある、という事だ。
これはこれでかなり抽象的で、デザイナーの人は大変そうだけれど…一旦それは置いておく。

そして、発注側からの言葉以外から読み取れる潜在ニーズも存在している。
それは、そのデザイナーさんを選んだ事にも理由だ。
例えば信頼できるクリエイターにお願いしているのであれば「失敗したくない、余計な時間をかけたくない」という潜在ニーズも隠れている事だろう。

つまり、発注側が口に出すリクエスト、そして行動のひとつひとつを深掘りしてみると、それに至った理由、潜在ニーズが存在している。
そして、表面上のリクエストにだけ答えてしまい、その理由をクリアしていないと「なんか違うな…」が起きてしまう、という訳だ。
すごくシンプルな事なんだけど、意外と意識しないと潜在ニーズを認識する事は出来ない。
セミナーを受けながら確かに!とは思ったものの、発注側であるこちらが顕在ニーズを口にしている時、何故そのニーズが出たのか?なんて頭には無い。

もちろん、制作側がヒアリングをし、そこまで辿り着く必要がある部分ではあるのだろう。
けれど、私が発注側に立った時、やっぱり安くない金額を払ってお願いしているから、失敗されたくない、という気持ちが強くなる。
なら出来るだけ失敗する確率を減らす為、制作側に依頼をする前に、自分でも顕在ニーズを深掘りし「どうしてそういう物を作って欲しいと思っているのか?」をちゃんと自身で理解しておこうと思いました

普段発注側に立っている人間にも学びがあった「ヒアリングの極意」。
今回私が取り上げた話以外にも、クライアントからの要求と要望の整理や、ヒアリングの際に確認しておくべき5W2H等…。
ヒアリングをする立場の方も、される方も。
自分はあまり関係が無いと思っている方でも、必ずどこかで役に立つ情報を沢山話していたのでオススメです。
アーカイブも発売中だそう、最後に改めてURLを貼っておきます。


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