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「息苦しい」原因、努力性呼吸をやめる

前回から時間が空いてしまいましたので...何の話だったか忘れてしまったよ!という方はこちらから「息苦しい原因」をおさらいしてみてください。

前回の記事で、「話していて・歌って息苦しくなってしまう原因のひとつは
努力性呼吸である」とご説明しましたね。

今回は努力性呼吸の原因、そして防止法をご説明したいと思いますが....

結論からいえば

理屈はいいから、「1分1秒でも早く、息苦しい状態から抜け出したい!」という方は、

「舌をできるだけ前に出す」

これをやってみてください。


口から舌をまっすぐに出来るだけ前に出す、たったこれだけです。

これを毎日1分行ってください。

たったこれだけで、努力性呼吸を止める事に効果があります。

なぜ?

なぜ舌を前に出すことが努力性呼吸防止に繋がるのか?

「呼吸と舌」...実は大きな関係があるのです。

「なぜ努力性呼吸が起きてしまうのか?」...努力性呼吸の原因を知ると、その深い関係性も理解できます。

呼吸を行うためには、通常は「安静時呼吸」という自然な呼吸を行っていますが、安静時呼吸が正常に行えなくなると「努力性呼吸」になってしまいます
なぜ努力呼吸になってしまうのか、それは安静時呼吸と努力性呼吸で使われる筋肉が違うということが大きな要因です。


【 安静時呼吸と努力性呼吸で使われる筋肉の違い 】
● 安静時呼吸:呼吸筋 ( 横隔膜 / 外肋間筋 )
● 努力性呼吸:補助呼吸筋 ( 胸鎖乳突筋 / 腹筋 / 内肋間筋 等 )


呼吸に必要な筋肉には「呼吸筋」と「補助呼吸筋」がありますが、自然な呼吸には本来、横隔膜や外肋間筋などの「呼吸筋」が動いてくれます
「補助呼吸筋」はその名の通り呼吸を補助するための筋肉、呼吸筋が正常に動いている時には補助呼吸筋は必要ありません。
ところが何らかの要因で「補助呼吸筋」が動いてしまうと、横隔膜などの「呼吸筋」が本来の働きができなるので、「息苦しい」状態になってしまうのです。

その時の呼吸が「努力性呼吸」なのです。


ということは….
「補助呼吸筋」が動くと努力性呼吸になるということは
「補助呼吸筋」を動かさなければ、努力性呼吸にならない
ということになります。

ただ「補助呼吸筋さん、動かないでいてくださいね」とお願いしても、
今までに動くクセがついてしまっているし、そもそも補助呼吸筋を動かしている自覚はないはずなので、
「補助呼吸筋さん、動かないでいてください」という指示だけでは、補助呼吸筋の動きを止めることは難しいです。


では、そうすれば良いのでしょうか?
代表的な補助呼吸筋である「胸鎖乳突筋」を例に説明してみましょう。

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胸鎖乳突筋は「歯を食いしばる」ときや、「いーだ」と人に嫌味を言うときに、両耳の下あたりから肩の方に向かって出ている筋肉です。

この胸鎖乳突筋が出ているとき、その時は努力性呼吸をしている可能性が高いです。
なので「胸鎖乳突筋さん、動かないでいてくださいね」とお願いしたいところですが、残念ながらそれだけでは胸鎖乳突筋は動きを止めてはくれません。

胸鎖乳突筋の動きを封じてくれる「強い味方」はいないのでしょうか!?

ご安心ください。「強い味方」は存在します。
それが「舌」なのです。

なぜなら、舌の位置によって、胸鎖乳突筋が動く、動かないかが決まるからです。
いわば、舌は胸鎖乳突筋のスイッチなのです。

● 舌が前にある:胸鎖乳突筋は動かない
● 舌が後ろにある:胸鎖乳突筋が動く


簡単な実験をして確かめてみましょう。

1.首の側面に両手を当てて、口から舌を出して出来るだけ前に出してください。
2.次に口を開けたまま、舌をまっすぐ後ろにスライドさせるように引っ込めてください。

1の時は、首筋の胸鎖乳突筋は動いていなかった筈ですが、
2の時は、舌を後ろに引っ込めるに従い胸鎖乳突筋が動いたと思います。

舌が前にある時は、胸鎖乳突筋は動かない→努力性呼吸にならない

という事が言えます。


したがって

「舌をできるだけ前に出す」は誰にでも出来る

努力性呼吸を防ぐための簡単な練習と言えるのです。

可能なら…

1.口から出した舌はダラリと下には下げず、まっすぐ前方に出す

2.1mmでも前に出す

3.上の前歯が見えるように口角を上げる

を実践して頂くと更に効果アップします。

1セット1分、朝昼晩に行ってください。
お風呂に入りながらリラックスして行うのも有効です。

地道な練習ですが、続けてみてください。

次回は、更に効果が出る実践的な練習法をお教えしたいと思います。

小泉 誠司

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