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新しい自分を創作する機会

少し前ですが、子どもにまつわる専門職セミナーに参加して来ました。現代の子どもの様々な身体的問題を調査・研究しており、その発表がありました。
姿勢が悪い子どものデータ、手指の使い方の調査、食を通じた調査や排便の問題についてのアプローチ例など、どれもなるほど・・と感じる内容のものでした。
そして、この発表を聞き、子どもの育ちには大人のあり方が大きく影響しているのはないかと感じました。

野菜の摂取量の調査から、野菜の摂取量が多い子どもは、早寝早起きで排便もきちんとある、規則正しい生活リズムになっているということでした。
それはきっと、野菜の摂取量が多い家庭では、バランスの良い食事を心がけ、早寝早起きを促し、生活リズムを作ることが出来ている家庭なのでしょう。

年齢別ボール投げの調査では、最近遠くまで投げられない子どもが多いとのこと。そして、遠くまで投げることができることと、握るという動作の遊び(棒を握る・石を掴むなど)と関係があるかもしれないという発表がありました。
棒を握る、石を掴む・・という遊びは、子どもが興味を持つ遊びです。もし遠くまで投げられない子が増えているのなら、その遊びを危ないからという理由で止めているのは大人や現代の社会環境が起こしているのかもしれません。

このように考えると、大人のあり方次第で子ども達に良い変化を与えられるのではないかと感じました。

「自由に伸び伸び保育したいが、保育園がそういう方針ではないからできない」
「子どもを自由にさせておくと他の人に迷惑がかかってしまいそうで、ついつい止めてしまう」
という話を良く聞きます。
“自由に伸び伸び”“子どもらしく・・”という子育てや保育を望む人は多いものです。でも、生活環境や他の人との折り合いをつけることがなかなか難しいということもあります。
子どもは、“自由に伸び伸び”“子どもらしく・・”という子育ての方が真っ直ぐに育っていくのです。

世界各地を50年以上旅しながら講演していた、インドの哲学者がいました。ある時、その哲学者は講演に集まった聴衆に
『私の秘密を知りたいですか?・・私は何が起きようと気にしない、それが私の秘密です。』
と話したそうです。彼は、“何が起きても私は責任をとれる人です”という揺らがないあり方からこの言葉が出て来たようです。

子育てをしている中で、また保育園・幼稚園で保育をしている中で、いろいろなことが起きるでしょう。
その時に大切なのは、起きたことをそのまま受け止め、責任をとれる自分なのだという揺らがない心なのです。
「何が起きようと気にしない」
それは無関心で、何もしないという意味ではありません。
起きたことに対して、“今、私はどうあるか?”という自分への問いかけと、覚悟なのです。

“子どもを尊重している…そして、毅然としている”
というあり方であれば、
子どもの自由な発想は最大限に尊重するが、何か人に迷惑がかかるようなことが起きた時や起きそうな時は毅然とした態度で、注意をするでしょう。

“子どもが伸び伸びと健やかに育つ、社会環境が大切である”
というあり方であれば、自然と生活リズムはきちんとコントロールされ、心も体も健全な社会環境ができるでしょう。

「子どもが健やかに育つ為に、早寝早起きをさせましょう。その為には〇〇をして、△△をさせると良いです。」というような“やり方(Do)”は、わかり易く、それを知ることで安心材料にはなります。
でも“行動(Do)”の元は、“あり方(Be)”なのです。
「今、どうである自分なのか?」
「どういうことを大切にしている自分なのか?」
「どんな自分でありたいのか?」
という、自分への問いかけがスタートです。

“あり方”を創る時は、自分を観る必要があります。
“子ども”のせいにはできません。
“家族”や“他の先生”“園の方針”のせいにもできません。
“自分”と向き合うところから始まるのです。

「“こんな”人になりたいなぁ・・」ということが浮かんだら、もうあなたは“その自分”になれるのです。
“その自分”で考え、行動していくと、自然と“あり方”が伴ってきます。

「最近の子どもがおかしい」と言う前に、大人自身の“あり方”を見つめ直し、それぞれが新しい自分を創作する機会を持つ方が大切なのではないでしょうか。


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