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【配信公演 観劇しました!】オペラシアターこんにゃく座 オペラ『末摘花』

俳優のYさんから、「おちらしさん de すとりーむ」を通して知った配信公演の感想を頂いたので、ご紹介します!

オペラシアターこんにゃく座
オペラ『末摘花』配信観劇


はじめての配信公演観劇、はじめてのオペラシアターこんにゃく座

オペラシアターこんにゃく座さんは、以前から何度も耳にして気になっていた劇団の一つ。
「オペラ」の名の関する通り、お芝居は99.9%歌での進行で、ミュージカルは何度も観たことがありますが、オペラは初体験でしたのでとても新鮮でした。

また、配信での観劇は初めてでしたが、生配信の映像ではなかったのもあってか、DVDを見てるのと同じクオリティで大変見やすかったです。
劇場では肉眼で確認できないかもしれない表情や演出を見落さないのも映像の良い点です。

わかりやすいストーリー進行

お話はきわめてシンプルで、大まかにいうとお姫様が光源氏の再来を待っているというもの。
しかし待てど暮らせど源氏は来ない上に、屋敷はオンボロで従者には良い待遇をしてあげれないし、評判は悪くなるばかり。
それでも良く接してくれる少将親子と、それを引き抜こうとする叔母という、登場人物の人間関係も極めてシンプルです。

お話はゆっくり進みますが、生演奏のピアノと情感たっぷりな歌で楽しんで観ることができました。
音楽は最初から最後まで生演奏のピアノのみで、役者さんとぴったり合った呼吸で劇を進めていきます。

劇場で見たい気持ちも高まった!!

惜しむらくは、配信だとこの贅沢を肌で感じれないことです。
劇場なら舞台上のピアノの存在を感じることができ、それも作品の一部になりますが、カメラでピアノの奏者を抜くことはなかなか無いので、どうしてもBGMになってしまう。
ピアノ演奏は言わば語り部のような存在で出演者の一人なので、ここは劇場観劇と配信での差なのかなと思います。

このシーンが好きだった~「不要」と「大事」のせめぎあい

好きだったシーンは、少将の娘の侍従が屋敷を去ることになり奥の間で姫に挨拶を済ませ出てきた後。
侍従が、「姫様がこれをくださいました」と姫の髪の毛を手にしてしみじみと語ると、宰相が「長年奉公してきた者に対する扱いがこれかい!髪の毛なんか何の役にも立ちゃせん!!わしゃ出ていく!」と我がことのようにブチギレるシーンです。
なんとなく「お姫様もかわいそうだな」なんて思いながらお芝居を見ていたのに、突然「髪の毛なんかいらん!」という渾身の右ストレートが死角からやってきて、「確かに髪の毛はいらないわ」と思わされました。
日本には古くから遺品だとか故人の身体の一部をとっておくという風習があり、別れの際にもそういう贈り物をするものだと思いますが、そういう「遺す」風習の是非を問う嘆きに、平安時代ながら現代にも通ずる感覚はあったのだろうなと思いました。
しかし実際「いらん!」のも分かるし、「とても大事なもの」という感覚も分かるので、難しいせめぎ合いだなと思います。
結局は、送り主が自分にとって大事な人かどうかがそれを左右してしまうのでしょう。
クライマックスで源氏の君がやってきた際には、宰相は手のひらを返して姫のもとへ戻りましたし、現金なものです。
一方、侍従は最後まで姫への親愛の情が揺らぐことなく、けれど自分の意思を貫き通し、とても誠実な態度でした。

ちょっとピンポイントなシーンについて書きすぎてしまったような気もしますが、とてもお気に入りのところです。

最後に

配信公演を観るということは、このようなご時世だから仕方なく配信で我慢、という面もありますが、気になっていた劇団を気楽に観れるという、ポジティブな利用方法もあるのだと思いました。

もちろん、劇場公演の活気が戻ることを一番に願っていますが、
配信公演がその足がかりとなればいいなと思います。

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※配信期間は2月19日までです!

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