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『こはるとちはる』オンラインイベント4/25/2020 Q&A集

I『こはるとちはる』についてのご質問

Q: どのシーンから描き始めたのですか?
A: 今回の絵本は、頭から順に描きましたので、扉のいちごケーキの絵から。

Q: 色を塗る時、どの色を塗るのかはどうやって決めますか?塗ってみてなんか違う…と思った時はどうしますか?
Q: 色がとっても綺麗ですが、作っていく際にcolourへのこだわりはありますか?

A:たとえばいちごは赤、ヘタは緑、など決まっている色を先に全部塗ってしまい、カーテンの色、服の色など遊ぶの余地のある色を後回しにします。また、大抵の場合、隣り合わせの色になるべくコントラストがつくように配置してそれぞれのモチーフが立つように気をつけています。オセロやパズルゲームをやっている時と近い気分かもしれません。
塗って違った場合、可能であればphotoshopなどでデジタル処理、難しい場合は一から描きなおします。なんどなく原画と納品物が違うのは気持ちが悪いので、描き直す場合の方が多いかな。

Q:こはるちゃんの気持ちを表すようなふわふわ浮遊感のある場面がとても好きですが、ケーキが溶けているのはなぜですか?トークテーマにはならない質問ですみません!

A:いえいえ、ほんとだ、ケーキ溶けていますね!こっそりお話すると、感覚的に描いているところも多いので自分でも明確な答えがわからないのですが、このシーンではこはるちゃんがひとつの答え(新しい考え)にたどり着いた場面でしたので、それまでの観念が溶けていっているのだと思います。(でも描いた時の自分に聞いたらそんなことは考えていない!って言うかもしれません)

Q: お気に入りの1ページがあれば、教えてください!
Q: 1番お気に入りのページ(イラスト)はどれですか?
Q:「こはるとちはる」で気に入っている絵はどこですか?

A: 「このはなしをしたら」からはじまるファンタジーなシーンです。このページはデザイナー、名久井直子さんのアイデアがふんだんに使われていて自分ひとりでは描けなかったページだからです。普段のお仕事絵でもそうですが、沢山の方のアイデアがうまくからみあい、自分では想像もしていなかったような絵が出来上がった時の気分は格別です。

Q: イラストのイメージはすぐに浮かびましたか?苦労したところは?

A: すぐに浮かびましたが、最終形は結構変わったので絵本のように長いものを描く時は直感にはあまり頼りすぎないほうが良いのかなと思いました。苦労したところは、「なんだか ドキドキしてきた」からはじまるページの右下にいる車の色です。こんなところに車停めなきゃよかったって後悔しました。

Q: 下書きから完成までの絵を描く工程をしりたいです。
Q: 作り出す前の段階ってあまり知らされないので、そういうところのお話を聞きたいです。
Q: 描き始めとか、作業の手順に興味があります!よろしくお願いします。
Q: メイキングについて

A:「こはるとちはる」では、ipad+クリップスタジオでラフを描き、3回修正。その後、最終ラフを下敷きにして、0.3と0.5のミリペンで線を引き、dr. ph. martin'sのカラーインクで着彩しました。

Q: 生クリームみたいな犬と猫や、リボンをつけた「いやなきもち」ちゃん? がとてもかわいいです。このキャラクターたちはどうやって生まれたのですか。
Q: 今回の絵本に出てくるリボンをつけたおばけのようなキャラクター、名前はありますか?

A: かわいいプードルを入れるアイデアは、デザイナーの名久井直子さんから頂き、いやなきもちちゃんは、以前から描いていたどんな形にもなれる「ゆらゆら」というキャラクターのバリエーションとして描きました。ゆらゆらは何者でもなく、全てでもあるような子で、それこそ流れ星なんかにもなれるとか。

Q: 編集者さんが2人いたんですか?

A: 絵本自体の 編集者さんは岩崎書店の堀内日出登巳さん、恋の絵本シリーズの編者さんが(作家さんのコーディネートなど)瀧井朝世さんです。ただ、瀧井さんにも沢山アドバイスを頂いたので、編集者さんが2人というのも間違ってはいないかもしれません。

Q: こんばんは!今回はこのような機会を作ってくださり、本当にありがとうございます。こはるとちはるの絵本は、どのページもとても可愛くてずっと眺めてしまうのですが、隠れこだわりポイントがあればぜひお聞きしたいです!

A: 大抵の印刷物はCMYKの4色刷りなのですが、今回はいちごや肌などをきれいに見せるために蛍光ピンクを加えた5色で刷って頂きました。4色で試し刷りをしたものと比べると雲泥の差で、いちごの鮮度がまるで違いました。4色のいちごはちょっと苦そうだったかな。

Q: こちらの絵本制作がスタートしたきっかけは何だったのでしょうか?

A: かなり以前から編集者の堀内さんに絵本をやりたいんですってお伝えしていて、それを覚えていて下さった堀内さんが今回の絵本の候補者のひとりとして挙げて下さって、作者の白石さんが選んで下さったとのことです。

Q: お話とイラストの可愛らしい組み合わせが絶妙ですね! テキストを受け取られた際のご感想をお聞かせいただきたいです。

A: ありがとうございます!テキストを受け取った瞬間から一目惚れでした、まさに恋の絵本。

Q: 北澤さんと編集の堀内さんと、完成までにどんなやり取りあがったのか。どんな話をされ、風に進んでいったのか。

A: まず白石さんからテキストを頂いてから堀内さんとふたりで打ち合わせ。作中の時間の経過への注意や、現実部分とファンタジー部分の描き分けなどについてお話頂いて、第一回目のラフを制作。次に、デザイナーの名久井さんも含めた3人で打ち合わせ、デザイン要素に加え、ファンタジー部分などについて作品の可愛さを補強する様々なアイデアを頂く。また、堀内さんからは、後半のシーンのカメラワーク(こはるちゃんとちはるちゃんの心の距離が離れていくにつれ、ふたりのアップから、カメラがだんだんと引いていくなど)のアドバイスを頂き、第二回目のラフを制作。その後、りょうま君の扱いなど、瀧井さんにもアドバイスを頂き第三回目のラフを制作。OKが出たので、このラフを元に本イラストを描き、いくつかの修正を得て完成。その後、色校を複数回出して頂き、最終的に蛍光色も含めた5色で刷ることが決まり、完成。です。

Q: この作品で気に入っている部分、力を入れた部分を教えてください。

A: 現実世界とファンタジー世界が共存しているところでしょうか。堀内さんの言葉をお借りすれば、グラデーションで繋がっているような。

Q: 描くのが難しかった場面や楽しかった場面はありますか?
描くのに気をつけていることはありますか?

A: 描くのが難しかった場面は、階段の場面。途中で色が収拾つかなくなって捨てそうになりました。楽しかったシーンは、学校のシーンかな。個人的に学校はあまり良い思い出はないので、とにかくカラフルに楽しそうな雰囲気にしました。

II ストーリーについてのご質問
こちらは、いつか機会があれば白石さんに!私も知りたいです〜

物語を思いついたキッカケは?

お話作りのきっかけは?

こはるもちはると言う名前にした理由。

主人公の名前の由来は?

こはるとちはるのモデルとなった人物やエピソードはあるのですか?

III 他のご質問

Q: 今回のような配信トークショーについていかがですか? 良い点、今後またしたいと思いますか?

A: やはり目の前にお客さんがいらっしゃらないと反応が伺えないので難しかったかな。でも、イベントはどうしても東京や大阪など大きめの都市での開催が多いので、普段はいらして頂くのが難しい方にも参加して頂けるのはオンラインイベントの良い点だと思います。次回やるとしたらもう少しシステムにも勉強して皆さんの負担が少ない方法で行いたいです。

Q: 好きな絵本、または影響を受けた作家さん

A: 好きな絵本は沢山ありますが、マーガレット・ワイズ・ブラウン作、クレメント・ハード絵による「おやすみなさい おつきさま」は、別格でしょうか。マーガレット・ワイズ・ブラウン作のものはすべて好きです。あとは、バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」も特別な絵本ですね。バージニア・リー・バートンは、絵本以外のテキスタイルやポスターなども素晴らしいです、おそらく影響を受けているかと。

Q: こんにちは!北澤さんの絵が本当に大好きです。感染症が収束したらまた展示は行いますか?直接会って、お話し出来るイベントがまた実現してほしいです!

A: ありがとうございます、はい展示はいくつか予定しております。大きなものとしては、2021年の前半と後半に個展をひとつづつ。あと、昨年のHBギャラリーで開催した『花と生活』というシリーズのスピンオフで『生活と花』という作品群を今、仕事の合間に描いているので、なるべく早い時期になんらかの形でお披露目したいと思っています。

Q: こはるとちはるの好きなもののページは北澤さんのおうちにあるものを参考にしたと伺いましたが、他にはどのようなものがあるのでしょうか?思い入れのあるものなど、北澤さんの持ち物について知りたいです。

A: 以前描いた『ねこのように ゆっくり やすみたい』というシリーズ(http://www.hypehopewonderland.com/?portfolio=ねこのようにゆっくりやすみたい)は、すべて2015年当時うちにあったものを描いています。あれから多少の増減はあるものの、基本的にこんな感じのものに囲まれて生活しています。

Q: お二人の小学生の時の恋ばなや友だちの話を聞かせてください♪

A: 残念ながらゲームばかりやっていた普通にモテない小学生だったのでカラフルな話は一切ないのですが、5年生でアメリカの小学校に入り、あっちの小学生が普通に学校でいちゃいちゃ、ぶちゅぶちゅやっているの見て、アメリカすごい!って思ったのを覚えています。

Q: 絵本という媒体において、制作する際特別に気をつけていることはありますか?
Q: 制作期間や、創作で心掛けていることを知りたいです。
Q: 制作する上での意識したところはありますか?

A: 子どもに読んでもらえることを前提に、モチーフの形をわかりやすく、はっきりさせることです。ですので、今回は線を描写するのに筆を使わず、ペン画でくっきりと描きました。あと、いちごやケーキがちゃんと美味しそうに見えること。

Q: 期間はいつもどれ位ですか?

A: 制作期間は絵のタッチや画材によって変わりますが、『こはるとちはる』の場合、ラフ後に実際描いていた期間は、仕事絵と平行して3週間程だったと思います。


Q: 絵を描かれる時どんなこと、もの、ひとなどからインスピレーションを受けて描かれるなどあればお聞きしたいです。

A: 絵を描く時は常に音楽を聴いているので、音楽からの影響が一番多いかと思います。『こはるとちはる』を描いた時に一番聴いていたのは、Joanna Newsomのアルバム、ギターの代わりにハープで弾き語りする素敵なシンガーソングライターさんです。あとは、日々の生活。普段(コロナ以前)は週一で都心に打ち合わせに行く以外行動範囲はほぼ家の中、または近所のみなので、近所の描写が多いかもしれません。(今回も、公園や階段、車のあるシーンなどすべてうちから徒歩10分圏内の場所がモチーフでした)

Q: 制作の画材がみたい!
Q: 描き方を観たいです!
Q: お気に入りの画材は?
Q: こだわり、お気に入りの画材を教えてください。

A: ちょっとグダグダになってしまいましたが、実演でお見せしたdr.ph.martin'sのカラーインクを中心に使っています。ただ、このカラーインク、昨年で絶版になってしまったので、少しばかりあるストックが尽きたらなにか違う画材を探してみようと思います。もし、なんとなく絵のタッチが変わったらストックがなくなったんだ…って思って下さい。

Q: フランセのパッケージを見て以来のファンです。パッケージや装丁されている内容をみると、様々なジャンルがあるのですが、どれも北澤さんらしさが出ているなぁと思います。クライアントさんからはどのようなイメージを伝えられるのでしょうか?
例えば具体的に動物を描いて欲しいとか、ほんわかしたものなど抽象的なイメージだけを伝えられるとか…

A: ありがとうございます。クライアントさんによってやり方はそれぞれなのですが、フランセのパッケージですと、アートディレクターの河西達也さんと毎回何時間も濃密な打ち合わせをし、話ながら色々なスケッチを描き、リアルタイムで方向性を決めています。お菓子のフレーバーやブランド全体の立ち位置をお題に、お互い今まで影響を受けてきたものや経験を武器として使い、穏やかに戦いながら答えを導いている感じです。

Q: 制作中に欠かせないものがあれば教えてください!(画材以外で。お菓子やお茶でも、音楽でも何か小物でも…)

A: 音楽、一日に一杯のコーヒー、チョコレートはほぼ毎日摂取しています。

Q: アイデアの出し方
Q: アイデアが浮かばない時は何をしますか?
Q: アイディアで迷ったりなやまれたこと
Q: 絵のアイデアは、よくどんな時に浮かびますか?

A: アイデアが浮かばないことはほぼ無いのですが、浮かんだアイデアがベストのアイデアだったのか後から悩むことはあります。(でも答えは無いので、迷宮に落ちてしまう前に次がんばろう!って思って忘れるようにしています)アイデアが浮かぶ時は、皿洗いをしている時、料理をしている時、電車で立って窓の外の風景を見ている時、運動をしている時など、ぼんやりとしている時が多いです。

Q: おうち時間何をしてすごしていますか?

A: 朝9時頃に起きて朝食。午前中は大抵メールの返信、お昼くらいまでデジタル絵のお仕事。13時くらいに昼食。午後は、アナログ絵のお仕事、ある場合は個展や自分用の絵などを。ある時は、打ち合わせ。最近はzoomが多いです。夕食。ある場合は文章のお仕事や終わらなかった絵などを夜2時くらいまでだらだらと。合間に家事をやったり、ゲームしたり、最近さぼっていたswitchのリングフィットアドベンチャーを復活させて体を動かしたり。

Q: 常に心がけていることはなんですか?

A: 常に美しいものを描きたいという思いはあります。

Q: 一番描きたいモチーフは何ですか?
A: 形の定まっていないものでしょうか。様々な石ころとか、水とか、火とか、泡とか。あとは、妖怪とかドラゴンとか違う意味で形の定まっていないものたちも描きたいです。

Q: 立体作品は作られますか?

A: きっかけがあれば作ってみたいです。たとえば、フランセでの河西さんからの無茶振りで、次は立体物を写真に撮って包装紙を作りましょ〜とか言われたらすぐに作ると思います。

Q: トークテーマじゃなくてすみません。
オンラインイベントを開いてくださり、ありがとうございます。嬉しいです。いろいろなお話が聞けることを楽しみにしています。

A: ありがとうございます、楽しんで頂けていたら嬉しいです。


『こはるとちはる』(岩崎書店)作・白石一文 絵・北澤平祐
http://www.hypehopewonderland.com/?p=15192

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