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【翻訳記事】ルトガー・ブレグマンが語る、効果的寄付について

以下の記事より翻訳。

ドイツで活動する慈善団体"Effektiv Spenden"に集った仲間たちにより、効果的寄付についてルトガー・ブレグマンのインタビューが先日行われた。ブレグマンはベストセラー作家であり、慈善団体"Giving What We Can"のメンバーである。

このインタビューはブレグマンによるすばらしい引用と洞察にあふれており、全文で読む価値は十分にある。

以下に記すのは、インタビューの中でのいくつかのハイライトである。

世界の不平等について

インタビュアー:それで、こんなに気前よく寄付しようなんて決断ができたのはどうしてなんですか?

ブレグマン:実のところ、裕福な国で暮らす我々のような人間は本当に金持ちだってことに気付いたからというのが全ての始まりだと思います。裕福な国で暮らす人のほとんどは、自分たちがどれだけ裕福かわかっていません。

けれど、歴史的にいって、そして世界的にいって、こうした人々はすごく、ものすごく裕福なんです。不平等については誰でも知っていますが、いつもそれを国内だけの目線で考えてしまいます。ご存じのように、最大の不平等は国際的なものなのに。

『ウォール街を占拠せよ』活動のスローガンである"We are the 99%"のことは皆覚えていますよね。これは国内水準では正しいかもしれません。けれど国際的な水準でいうと、むしろ我々こそが1%なんです。だからこそ、我々には善を為す莫大な責任があると思いますね。

我々が善を為すに違いない、素晴らしい機会について

ブレグマン:善いことをしようとするなら、限られた時間とリソースをどのように使うか自分に問うはずですよね。でも、我々が生きているのは簡単に達成できる目標ばかりのイカれた世界ですから、非常に裕福な国の人ならだれであってもとてつもない善を為せることになります。

また、義務の観点からいって、我々は少なくとも収入の1割を寄付すべき道徳的義務を負っていると私は見ています。寄付すべきなのは興奮の面からいっても同じで、この寄付ができれば本当に素晴らしいことなんです。もしかしたら、我々が人生で為せる最大の行いの一つになるかもしれませんよね。

我々の多くは退屈な仕事をしているわけです。違いますか?誰も読みそうにない報告書を書いて、好きでもない人にメールを送って。でも、(寄付をすることで)自分は他の人の命を本当に救えるんだって唐突に気付くんです。これってすごいことでしょう!

体制の変化と個人の対立について

ブレグマン:しかし大事なことはですね、歴史の中で私が憧れている人たちは、体制やら何やらを変革する必要を語るだけでなく、実際に変革してもいたということです。何かを説いて回ろうとするとき、実際にそれを行うというのはとてつもなく重要だと思います。

この手の議論は、進歩派や左派の人間の間ではこんな感じです、「個人単位の変革について語るなんてネオリベ的だからやめなさい、我々が語るべきは体制の変革だ」みたいな。でも、どちらもやらなくてはいけないのは明らかですよね。

互いに良い影響を与え合うことについて

ブレグマン:当然ですが、善行を為すというのは個人の問題でもあります。自分が説くことを実際にやっているのなら、その説得力はずっと大きくなりますから。それに、人間の振る舞いというものは感染していきますからね。

我々は個ではありませんし、孤立した原子の集まりでもありません。我々はお互いの振る舞いを通じ、つねに影響しあっているのです。だから感染するんです。寄付だって同じだと思います。自分の寄付を見せびらかすのではなくただ公にすることが大事だと思いますし、もう少しその点を気にするべきです。

また、私は以下のように公言することをGiving What We Canに誓っています。皆さん見てくださいよ、もしあなたが私の寄付を気に入ってくれたなら、それこそが私にとって本当に大事なことなんです、と。収入の最低10%を寄付するのは私の人生に大きな変化をもたらしてきましたし、強いモチベーションになっています。ベストセラー作家として思うに、実のところ皆さんは実際収入の10%よりちょっと多く寄付できますけれど、始めるには10%がちょうどいいでしょうね。

問いかけとしての効果的利他主義

ブレグマン:こういう印象を受ける人が時々現れます。「じゃあ、あんたは世の中にあるモチベーションをすべて知ってるっていうんだね?それで、こんなに独善的になってるってわけだ」ってね。でも、私が言っているのは全然違うケースです。効果的利他主義とは問いかけなんです。絶えず己に問いかけ続けることなんです。これが私の時間とリソースと金を使う最高の手段なのか?って。それが肝心なんです。そして、知的謙虚さこそが真に重要な価値であり、まさに時代が求めるものなのですね。

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