イントロンの進化
要点
・イントロンはスプライシングによって除去される遺伝子領域である
・イントロンは3つのグループに分類される
(1)イントロングループ1
(2)イントロングループ2
(3)スプライソソーマルイントロン (真核生物のみに存在)
イントロンの起源
・イントロン前生説
すべての生き物の共通祖先の段階で生物はイントロンをもっていたが、真正細菌や古細菌ではその後の進化で失われたという説
・イントロン後生説
イントロンは真核生物のゲノム中に後から挿入されたという説
・古代の真核生物のゲノムにイントロンが出現したのは,ミトコンドリアの内部共生が引き金になったという仮説
ミトコンドリアの祖先であるアルファ・プロテオバクテリアには、グループIIのイントロンが多く含まれていた。これらのイントロンは宿主のDNAに移動し、そこでスプライソソームのイントロンとなったのではないかという説。この仮説は,last eukaryotic common ancestor (LECA)のゲノムを再構築し、初期の真核生物のゲノムには,グループIIのイントロンから得られたDNA配列が80%含まれていることを示した研究によって支持されている。
ゲノムへのイントロンの侵入に対する耐性は、遺伝的ボトルネック、すなわち集団における遺伝的多様性の減少によって説明できる。このボトルネックは,前真核細胞とα-プロテオバクテリアの共生によって引き起こされる可能性がある.LECAによる再構築により,真核生物の遺伝子の進化は主にイントロンの消失が関与しており,実質的なイントロンの獲得は,例えば後生動物の起源のような,いくつかの主要な進化のイベントでのみ行われたと考えられる.同時に、負の選択の力は、単細胞生物(Ne, ~ 107-108)のように有効サイズ(Ne)が大きい集団でのみイントロンの消失を引き起こすのに十分であり、維管束植物(Ne, ~ 105-106)や脊椎動物(Ne, ~ 104-105)のような比較的小さい集団では失われない。したがって、前者はほとんどすべてのイントロンを失っているのに対し、後者はまだ大部分のイントロンを保持している。
参考文献
Poverennaya, I., Roytberg, M. Spliceosomal Introns: Features, Functions, and Evolution. Biochemistry Moscow 85, 725–734 (2020). https://doi.org/10.1134/S0006297920070019
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