秋は夕暮れ平たい佐賀
秋は夕暮れ。
夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。
まいて、雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。
日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。
清少納言の読んだ歌。
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ただいま、地元・福岡に帰省している途中です。
高速バスで、だいたい2時間くらい。長崎の海岸沿いを通り、山を通り抜け、佐賀の平野を抜けてゆきます。
バスの外の景色をぼーっと見るのが好き。長崎の海を見るなら左側、佐賀の平野を見るなら右側に座るべし。
今日は右側に座った。地平線の果てまで、ちいさい建物が続いているのがよく見える。稲刈りが終わったあとの、山吹色の田んぼに、暮れかかった陽の光があたって、あったかく黄色く光っている。今日は雲ひとつない快晴。心なしか、建物も全部ほんのり黄色いフィルターがかかったようで、かわいい。遠くで気球が6つほど飛んでいるのが見える。今日は気球フェスティバルの日だったみたいだ。
おーい!ここからも見えてるよー!
今日は佐賀の平たい地形を、初めて魅力的だと感じた。私が清少納言だったら、帰りのバスから見える秋の日暮れの平たい佐賀の風景を、趣深い歌にして読めたのかなあ。もうすぐ福岡に着きます。
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