井原アビスパ2018千葉戦後(9/16):ハイプレス戦術では昇格できないだろう

こんにちはnettaroです。2012年以来ブログをやめて「発信」というか「つぶやき」はツィッターに移行してましたが、 https://twitter.com/nettaro2006?lang=ja

さすがに140文字では短すぎて、まとまった情報や思考を発信できないので、流行に乗ってnoteで再開してみました。内容は基本的にツィッターの続きみたいなものになるでしょう。

さて、井原アビスパ2018です。スタジアム観戦に行くのは、8/26のアウェイ新潟戦(3-0でアビスパ勝利)以来ですが、新潟戦の前半終了時点での感触は「井原アビスパ2018は、ついに今シーズンのベストバランスを見出した。この路線で行けば、連勝スィッチが入り逆転自動昇格まで行けるだろう」という確信に近いものでした。新潟戦前節の栃木戦は、劣悪なピッチとそれに最適応した栃木の人海戦術をこじ開けられず、逆にミスから失点して敗戦でしたが、その前のアウェイ水戸戦(2-0:DAZN観戦)では、完勝でした。そして新潟戦も完勝した水戸戦と基本的には同じゲームプランだったと思います。水戸&新潟戦での基本ゲームプランは、ゾーン2(ピッチを縦に3分割した場合の真ん中のゾーン)で4-4-2ブロックを作り待ち構えて引っかけたところをショートカウンターでゴールを狙うというものでした。ビッグスワンの2階中央から見た4-4-2ブロックは井原アビスパ史上(2015-2018)でも、一番守備が機能していたように思います。石津と森本の2トップが連動して「CBやSBからボランチへのパスコース」を消し、サイドに追い込んだらMFとDFのラインも連動して網の目を細かくする。細かく相手がつないできたら引っかけてカウンター。コースがなくロングボールを選択させたらマイボールにできる。新潟戦の前半は攻守ともに、いいバランスで機能していたと思います。(この戦術を「(4-4-2)ミドルブロック」と、ここでは呼んでいきます)

そのバランスが崩れそうになったのは、森本の負傷交代からでした。代わりに入ったレオ・ミネイロは、石津と連動した「パスコース消し&プレス」が全くできてませんでした。前半2-0で折り返した後半は、新潟に攻め込まれる場面がかなり多くなりました。結果的には、追加点をとって3-0で勝利できましたが、後半は、レオの稚拙な守備で、アビスパ全体の攻守のバランスが少し崩れてしまい、守備面での森本の貢献度の大きさを実感させるものだったように思います。森本は退場時に、もも裏を押さえていて、復帰までに時間がかかることを予想していました。ミドルブロックのバランス・機能性は素晴らしかったので、焦点は森本の代役を誰にするかだと思っていました。「レオは守備を仕込むのに時間がかかる。次の9月は7試合と過密日程だし、代役は木戸か城後を充てて、ミドルブロックの継続かな」と思っていたのでしたが、井原正巳監督の次の大分戦での選択は、ミドルブロックから4-4-2ハイプレスへの転換でした。試合開始5分で「井原さん、ハイプレスで来たか,今シーズン、ほとんどやってないのに」と非常に驚いたものです。2015年から見ても、井原アビスパでは、守備は基本リトリートのブロック戦術でハイプレス自体、ほとんどやっていません。大分は基本DFラインから丁寧にビルドアップしてくるパスサッカーでもあり、また片野坂監督もほとんど予想してなかったこともあり「奇襲のハイプレス」は大分のビルドアップを破壊し非常に機能しました。

しかし、ハイプレスが機能したのは大分戦だけで、その後の山雅戦、横浜FC戦、千葉戦では、井原流ハイプレスは機能していません。ハイプレスをかけてくることは十分に想定&対策されていて、ロングボールを簡単に蹴られて回避される。回避されてる内に、ハイプレスが少しでも緩くなれば、次はプレスをかわされてボランチから展開されて一気にDFラインまで持って行かれる展開が多発する状況になってしまいました。ハイプレスは相手のDFラインでボールを奪えれば、それだけで大チャンスになりますが、前掛かりに行っている分、最初のFWのプレスを外されると後ろが連動してないと次々に展開されてピンチを招いてしまいます。またハイプレスにはハイラインが基本セットで、プレスがかからずフリーの選手からDFライン裏に精度の高いボールを送られてもピンチになります。ハイプレスはハイリターン・ハイリスクな戦術なのです。もちろん機能させてるクラブも多いのですが、それは長い期間の積み重ねがあった上での機能です。井原アビスパ2018では、ハイプレスを導入したのは新潟戦の後、シーズン後半戦も既に半ばも過ぎた時期からの導入では、時間がなさすぎて熟成もへったくれもありません。これがキャンプから積み重ねたものであれば、だいぶ違っていたとは思いますが、あまりに時期が悪すぎる。

そもそも井原アビスパ2018はキャンプから「パスサッカーの導入」を目指して始まりました。ただしパスサッカーを熟成させるには時間がかかります。6節のアウェイ大宮戦(3/25:1-2で完敗)では、「いやあ、井原流パスサッカーの完成は時間がかかりそうやなあ」と思いながら、帰途についたものですが、その辺で井原監督もパスサッカーに見切りをつけたようです。(個人的には井原正巳にパスサッカーを機能させる資質は無いと思っています。現役時代にアジアの壁と呼ばれたように、監督としても守備の方に資質があるように思います)完璧に「パスサッカー」から「ブロック形成からのショートカウンター」に切り替えたのが、9節の山口戦(4/14、2-0で完勝)でした。そこからは、2015-2017と同じように、「まず相手の良さを消してフラットにする」というネルシーニョ流に戻しましたが、なかなか調子が戻りません。相手に合わせて5バックと4バックを使い分けるのですが、5バックの時の選手間での距離感が良くなく、ボールを奪う位置も非常に低くなり膠着して点も取れない試合が多くなりました。5バックと4バックでは距離感の取り方が違い、毎試合、相手に合わせてコロコロ変えるので、5バックでのやり方、4バックでのやり方や距離感の取り方、これが熟成されていきません。それが改善されていくのが、4バック、4-4-2でのミドルブロックをメインにしてからでした。ミドルブロックからのショートカウンターが最高に機能したのが28節の水戸戦だったのです。DAZN観戦でしたが、昇格時の2015年の後半戦以来の抜群の安定感を持つ「井原アビスパ」でした。30節の新潟戦はDAZNの画面では確認できない「ピッチ内での攻守のバランス」をスタジアムで確認する作業をやりに行ったようなものでした。新潟戦の後は、のどぐろをつつきながら、「この4-4-2ミドルブロックで昇格できそうだな。後は、J1でも通用するように、どう熟成させていくかが鍵かもしれない」と先走りしていたものでしたが、今となっては苦い記憶にしかなっていませんw

山雅戦、横浜FC戦とあまり機能していなかったハイプレス。「まさか今日もハイプレスじゃないよね?」と思いながら見始めましたが、やはり「ハイプレス」で、始まって5分で嫌な予感しかしませんでした。相手の良さを消すのではなく、相手の土俵に乗っかって勝負しにいったようなものでした。その結果が「打ち合い上等の点の取り合いの末の3-3ドロー」でした。最後に登場した城後の執念のロスタイムでの同点ゴールがなければ、負けていた試合でした。「奇襲」としては通用したけども「付け焼き刃のハイプレス」では、シーズン終盤、ほとんどのクラブが積み上げてきているこの時期には通用しません。もし、このままシーズン終盤までハイプレス戦術を続けるならば、「シーズン序盤のエスナイデル千葉」のような不安定な戦いの末、プレーオフ圏外からもたたき出されて終了すると思います。

昨日の引き分けで、「昇格を絶対命題」として始まった井原アビスパ2018は、相撲で言えば「徳俵に足がかかる」まで追い込まれたと思います。この状況を打開するには、個人的には次のような施策しかないでしょう。

・ハイプレスではなく新潟戦までのミドルブロックに戻す。ハイプレスは、奇襲用として、試合の中で、15分ぐらいの時間限定で使う。(ビハインドの状況とか同点で試合終了まで時間がない場合などは、ハイプレスをかけるしかないですが、同点の場面で時間がある時は、メインは安定性のあるミドルブロックの方がいいでしょう)

・2トップの石津のパートナーは、「連動したFW守備が絶対に必要だ」と考えるとレオのスタメンは論外、ドゥドゥ(ブラジル人としては非常に献身的な守備ができる選手ではあるんですが)でも、おそらく隙ができる。となると木戸もしくは城後の方が、連動したFW守備ができると思うので、練習で見てどちらかを使う。

・ボランチは、ミドルブロックなら惇のパートナーは枝村や山瀬ではなくドゥジェを起用。

具体的には、この2つを希望します。ぎりぎりですが、城後の同点ゴールで、まだ間に合うタイミングではあると思います。あとは、指揮官である井原正巳の決断次第でしょう。

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