80点を目指したけど90点のグラフィック以外が足を引っ張り平均71点の凡作ことFF16

クリアしたてのあったかい感想をお届けする記事です。後日長文を書きます。
※比較対象として他の作品を平気で出すので比較するな教の方は絶対に読まないでください。

2023年7月8日。FF16をクリアした。途中まではサブクエストをこなしてからクリアしようと思っていたが、面倒になって止めた。吉田もこう言っているし。

https://www.famitsu.com/news/202306/22305181.html

吉田とはいえ、サイドクエストはあくまで物語の深掘りの部分です。まず、1周目はジェットコースターに乗るかのようにメインストーリーを一気にクリアーまで突っ走ってほしいですね。

https://www.famitsu.com/news/202306/22305181.html

まずはじめに、清々しい気持ちになれた。それまでこのゲームについて真面目に考えたときに生じる矛盾や違和感がたまらなく嫌だったのだけれど、クリアしたことで全てがどうでも良くなりスッキリした。ありがとうFF16。

バハムート戦を過ぎた頃からどんどん怪しくなっていくストーリーだったが、最後のマザークリスタルから本当にどうしようもなくなりラスボス戦でしょーもなさの壁を突破してしまった。

背伸びの年頃

中世ヨーロッパ。戦争。復讐。奴隷。リアルなグラフィック。最初こそダーク洋ファンタジーのふりをしていたが、オチをつけるにあたってどうにもならず、完全に「JRPG文法」になっていた。背伸びの限界。究極の幻想!あたりはゲラゲラ笑いながらスクリーンショットを撮っていた。ゲームオブスローンズを参考資料としてスタッフに見させたらしいが、俺が知ってるゲームオブスローンズには大斬鉄!とか言うヤツは出てこない。

進研ゼミでやったヤツ

終盤になるとグノーシス主義の影響が色濃く見えた。偽りの神を倒し神話の時代を終わらせる……というプロット自体を否定するつもりはない。ただ、そのテーマは直近でゼノブレイド3や原神が上手に料理しているのでそれらと比べるとFF16の下手さが際立っていた。支配層と被支配層の意識をどう変えていくのかという点ではテイルズオブアライズが丁寧に描いていた。まずとにかくぶっ壊すんだよという乱暴さで「人が人として生きられる世界」を解くのは中々無理があるように思う。

国や民を顧みることなくマザークリスタルを破壊してまわるクライヴが現実世界で暴れ回っている環境活動家と重なって見えたことであまり共感を覚えられなかった。これはテロ行為ではないのか。

またそういったテロリストらしい敵対者に対する攻撃的な姿勢がクライヴにあったのもあまり好みではなかった。アルテマに発した「どちらか片方しか生きられないというならお前を殺す(SSがないので不正確)」の台詞はとても心優し主人公のそれではない。序盤はなんかもうちょっとこう、優しかった気がするんだが。

序盤

思い返すと序盤~中盤くらいは疑問点はありつつもアルテマの登場やジョシュアらしき人物の謎など今後に期待できそうな雰囲気はあって、つまらないとは感じなかった。逆に言うと序盤から疑問点はあったしクライヴが誰かに復讐しようとしている姿を見て、あれ?もしかしてあのイフリートってクライヴじゃないの…??と思ったりなどしていた。そんなわけはなかった。

さよならナラティブ

クライヴがイフリートであることは事前情報としてかなり広まっていたし、クライヴが「復讐」を語り出したことに疑問を持ったプレイヤーは多いのではないかと思う。こういったプレイヤーと主人公の知識・感覚や感情の乖離を感じられる展開やカットシーンが多く、FF15があの時代にあれほどまでに成し遂げていた「ナラティブ」が微塵も感じられなくてとても残念だった。

象徴的なのは体験版にもある最序盤、暴走したジョシュア=フェニックスを止めなければ!と焦るクライヴのカットシーンから、戦闘になったら今度は操作するのがクライヴ=イフリートではなくフェニックスになる一連の流れ。流れというか、流れがない流れていない。こういう断絶が気にならない人向けの作品だよ!という自己紹介としては優秀だと思うが。

昨今ゲームにおいて「映画のような」という表現は「まるで自分が映画の登場人物になったかのような体験」という意味であってFF16のようにカットシーンが多いことではないし、映画のようなバトルカットシーンの間にQTEをすることでもない。


ジェットコースターは停車しない

また吉田PはFF16を「ジェットコースターのような」と形容しているのだが、中盤以降マザークリスタル破壊のあとに拠点でおつかいクエストが必ず挟まれるため、ド迫力召喚獣バトルで吹き出たアドレナリンが霧散してしまう。ジェットコースターってもっとこう、息をもつかせぬ展開の事じゃね?と思うのだが。このジェットコースター、完全に一回停まってしまう。よしだ?

ストーリーに関してはとりあえず今回はこんなところで。あとは戦闘について。

完全にDMC

別にFFがコマンドを棄ててアクションRPGになること事態は構わないのだが、どう好意的に解釈しようとしてもこれはDMCのコピーでは…?という手触りのアクションゲームになっているのは「ファイナルファンタジー」としてマジでどうなんだと頭を抱えた。

たとえば原神は元素反応という仕様で属性攻撃をARPGに効果的に取り込んでいるし、アタッカー・サブアタッカー・シールド・ヒーラー・バッファーと様々な特徴のキャラクターから4キャラ選び、切り替えながら戦うことで戦術に幅を持たせている。

なぜ我々は敵だけがプロテスやケアルを使っているのを指をくわえて見ていなければならないのか?手癖で作られたDMCっぽい何かを触りながら考えてしまう。

それはそうと基本がDMCなので手触りは悪くなかった。それだけが救い。

総評

これでもそれなりに期待はしていたので、事前情報は追っていた。なので社運を賭けた超大作です!!!みたいなものでは無いことは分かっていたけれど、吉田直樹Pを筆頭にFF14を立て直したクリエイター陣が作るということで「80点を目指して全力でブラッシュアップした佳作」くらいのものを予想していたら「80点を目指したけど90点のグラフィック以外が足を引っ張り平均71点の凡作」が出てきてがっかりしてしまった。もうちょっと何とかなったんじゃないか。

またテイルズオブアライズやゼノブレイド3など競合他社作品が出そろった後というタイミングも悪かったように思う。7年かけてこれなのか、というのもある。

(そんな周辺情報は関係ないだろという声が聞こえそうなのだけど、俺が評価する以上は俺の持つ変数全てが評価に影を落とすし君の評価基準とやらとは知ったことではない。別に中立や公正である気もないので)

そういう訳でこういう事をごちゃごちゃ考えるのを含めて中々楽しめたのでよかった。もうしばらくはtwitter上の評価をのぞき見したり、気が向いたらもうちょっとごちゃごちゃ長い文章を書きたい。


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